見出し画像

8月社長朝礼後半 ー木村石鹸 木村社長のものづくり・ことづくりへの想いー

木村石鹸さんはちょうど 創業100 年ですか、うちなんかよりも社歴が長いんですね。
本当にその石鹸っていうものをベースに製造業という形でやっておられる会社さんで、いわゆる釜焚きで手作りで製造されてるところが特徴で、またそれを続けてこられてたっていうところがなかなか無い存在です。
僕らは木村石鹸さんの存在っていうのは、もともと石鹸やシャンプーとかで知ってたわけじゃなくて、いわゆる我々が追いかけているような良い会社という方向で、ラブドカンパニーだとか、オープンファクトリーのみせるばやおだとかですね、結構前から存じ上げてました。
前半の話にあった小さい自治体の話など、結構共通するところもあり、当然我々もそういう展開を狙ってるわけですね。
そこで、せっかくなのでお話も聞きたいなと思っています。



1. やってみて、うまくいけば儲けもん

岡村社長
木村社長が、やっぱり僕と同じところがあって、元々家業を継がないと言ったはったんです。ところが継がないとだめな状況になったんですね。
木村社長自体は始まりは IT なんですよ。
 ITの会社の創業者が、実家のバリバリの製造業を引き継がれて、当初反発されててというところからの入りだけど、お父様の思いで大事だなと思って継承されてるところだとか、でも木村社長が新たにやっていかないとなみたいなことで言うと、どんな感じで考えてこられたんですか?

木村社長
あんまりでも、親父(今の会長さん)から何かと言われたことはなかったです。
言われた事でいうと、「嘘つくな」と「納税しろ」。
あとは「監視するな」ですね。

僕と親父の間にいた経営者の方がやっていたときに、結構社員が苦しめられたということもあって、監視とかをしてしまうと会社と社員の関係はよく無くなってしまうんだろうということで、監視をするなと言われたくらいで、あんまり事細かに事業がどうのこうのなんかは言われたことはなかったですね。
木村石鹸はそんなキャッシュ・フローがいい会社ではなかったので、どうやって納税しないかを試行錯誤してたんですが、親父からそんなこと考えているよりは、1円でも多く納税できる方が良いと思えと言われました。
ちょっと不条理だなと思いつつも、ただでもそれで優良法人に認定されてるので、銀行さんの対応が良かったりとかメリットはあったんで、意味あるんだなと思いました。

あとは、後から知ったんですが、親父の時代は、言われてやらんかったら怒られる、でもやって失敗したことに対しては怒らないという方針。
僕と親父の間の人の時は、やって失敗したことに対してめちゃめちゃ怒られたみたいで、僕は全然失敗してもいいので、新しくチャレンジをして、最後まで失敗しても面倒見るというような文化にしたくて、それを実行しています。
それが親父の時代の経営に近かったよっていうのをベテラン社員から言われたので、意図せず同じになってたんだなと後で知りました。

岡村社長
おっしゃるように監視、管理するなという話ですが、管理するなだからそれは失敗もしますよね。
製造業だから絶対に失敗が許されないところはあるんでしょうけども、会長はいろいろ開発だとか、挑戦的な意味合いにおいての失敗みたいなことは全然 OKよっていうことを思われてたのと、それはすごく一致した話ですね。

木村社長
どうしても新しいことにチャレンジすると失敗はいっぱいある。
ただ失敗をすごく恐れてしまうのを避けたかったんです。
木村石鹸の場合は、僕は戻ってくるまで事業のモデルとして OEM の裏方のモデルで結構安定はしてたんです。
なので、言われたこときちっとやれば儲かってた時代が、そうではなくなってきた時だったので、それはもう新しいことにやっぱりチャレンジをしていかないとジリ貧だなとなって、あの小清水のコインランドリーの洗剤、うちなんです。

岡村社長
えーそうなんや!すごい、知らなかった!

木村社長
そういうのも新しいチャレンジですね。
コインランドリーチェーンでの洗剤で使っていただいている先さんはいくつかあります。
もともとのいわゆる業務用洗剤って言われるのはすでに価格が決まっているので、なるべく洗剤を安くしたいという要望が多くて、僕らみたいなどっちかと高く売りたいというか、良いものを多少高い値段でも買ってもらうものを提供したいと思ってる会社とは合わない。
業務用洗剤ではそんな市場はないんじゃないかって言われてたんです。
特にコインランドリーは水と洗剤をケチらないと儲かんないと言われてるので、大手さんとかだと自分たちで洗剤作ってしまうんですけど、でもその小清水のコインランドリーをやられているバルコランドリープレイス、OKULABさんは洗濯の価値をもうちょっと上げたいと仰って。
家で洗濯するよりもコインランドリーで洗濯するほうが仕上がりが良いじゃないか、気持ちいいじゃないか。洗剤とか水とか洗濯環境が変わるだけで気持ちよさが全然違うみたいなことを価値にできないかと仰ってて、そういう分野もあると。
ずーっと古くから事業してるメンバーからすると、そういうのがもうないと思ってしまっていて。
業務用イコール安さなので、うちは対応できませんってなっちゃうんですけど、そんなことは実はなくて、まあとりあえずチャレンジしてみてあかんかったらあかんかったですけど、やってみてうまくいけば儲けもんじゃないかという感覚で、今いろんなことに挑戦してます。


岡村社長

めっちゃ、めっちゃヒントになる。
いわゆる今の業務用はそんな値段が安いものでないとあかんみたいなっていうのは当然、分かってる人いると思うけど、置き換えると我々to Bじゃないですか?
toC はできるよね?って思いがちで、toBの方は値段でって必ず言い訳で出てくるんですよ。
だけど、そんなことはないとか、あるいは今のちょっと違う価値観って作れるよねっていうのは当たり前でどの業界でも絶対的にある話で、そういうところをやっていかないと、小さい側はそっち側でやらないと勝てっこないですよ。
値段勝負しちゃったらもう端から勝ち目ないわけですよ。
そういう面で、木村石鹸さんがやってこられたこと自体っていうのがいっぱい参考になると思ってます。

それで今のOKULABさんとかそういうとこからは、開発依頼が来るんですか?

木村社長
OKULABさんとは、結構変な出会いで、まず最初は僕らイケウチオーガニックさんと仲良くなって。
全く仕事柄ではなく、タオルを洗うのに石鹸が実はいいよっていう話で、うちのものを使っていただいたら気に入っていただいて、それでまあ仲良くなって、今の阿部社長がめちゃくちゃ洗濯大好きで、洗濯のマニアっていろいろなことを質問されるんですよ。
興味をお持ちで、それに答えてたりとかしてたら、洗濯でイベントしませんかって話になったんです。
最初のイベントを、うちが接点があったフレディレックさんというお洒落なコインランドリー兼洗剤アイテムを展開されているブランドさんがあるんですが、そこの学芸大前の店舗で、最初のイベントを開催したんです。
で、そのフレディレックさんのコインランドリー店舗を設計したりしてたのがOKULABさんで、確か最初のイベントには観客として参加してくれはったんですね。

OKULBの当時の社長もめちゃくちゃ洗濯好きだということで意気投合して、いつの間にかセンタクカイギメンバーなってて、なので、2回目のイベントは、確かオクラボさんが展開されているコインランドリーチェーン「バルコランドリープレイス」で開催したんです。

これが「センタクカイギ」って取り組みの始まりです。
イケウチオーガニックさん、OKULABさんなど、数名の洗濯好きが集まって、イベントしたり、ただ洗濯についての情報交換したり。これを定期的にやるようになりました。
その絡みで、OKULABさんが「バルコランドリープレイス」でうちの洗剤を使う専用コースを作りたいって相談してくれはったんです。

そっから関係が始まって、最終的には今使ってるメインの洗剤、普通に使われる洗剤も全部うちのものに切り替えたいということになって、出会いからいうと 5、6 年ぐらい経ってからの話になりました。

センタクカイギってイベントって全く儲からないんですよ。
洗濯好きが集まって、まあ僕ら洗剤作ってるんで、多少はブランディングになるかもしれないけど、3 、4年くらいやってるんですけど、1回のお客さん来るの洗濯マニアばっかりなんですよ。
これ続けてて意味あんの?みたいな話がやっぱりあって。
人集めるのも大変だし、単に社長連中が洗濯好きやからで何の意味あんの?みたいなことあったんですけど、結果的にはOKULABさんの全店舗、その洗剤を切り替えてもらうことにつながったんですよね。

最初のイベントやるときには別にそれを狙ってやったわけじゃないですけど、何かつながりがあってやってたらこうなったみたいな、ビジネスって結構そういうこともめっちゃ多いんじゃないですか?
無駄とか効率みたいなこととか、直接成果につながってるものだけを追い求めてて、うまくいくかっていうとあんまり行かないなって感覚があるので、いろんな業界やいろんな関係の人と仲良くなっておくと何かしら、特に僕ら家庭用の洗剤とか汚れを落とすとか汚れにくくするとかっていう商品は比較的どの分野にも結構入っていけたり関係できたりするので、沢山のいろんな人と仲良くなってるっていうこと自体が営業になるんじゃないかなって思います。

岡村社長
当然各業種で何々業みたいなかたちで行くと、それこそさっきのマーケットシェアだとか本当にマーケティングの世界だけの勝負になりますけど、今言われたような汚れを落とすみたいなことで言うと、オフィスだって当然ありますからね。
椅子の座面のクリーニングだったりとかオフィスクリーニングやってる企業が、木村石鹸さんの考え方が良いと思って来てくれたりとかがありますからね。
まさに共感マーケットですよ。

2. 良い人が集まる会社へ

岡村社長
実は我々は、冒頭言った良い会社っていうのを、さっきの洗濯マニアに対しては、良い会社マニア的にいろいろ追っかけてずっとやってたわけですよ。
木村社長、木村石鹸さん、会長の言われてることなんていうのはめちゃめちゃ符号することばかりです。
別に会長もそんなことを何か意図されたわけじゃなくて、元々の倫理観などから仰ってたと思うんですけど。
また、木村社長も別にそこを追っかけられたわけじゃないんだけども、なぜ木村石鹸さんにつながってきているんですかね。
さっきの例えば、嘘をつかないかみたいなことだとか、どんなところだと思いますか?

木村社長
親父がどうかはちょっとわかんないですけど、僕はベンチャーの企業経験があって、創業から 10 年目ぐらいまでが一番面白かったんです。
ビジネス的にはめっちゃ大変で、逆に10 年経った後ぐらいの方がビジネス的には安定したんですけど、面白さでいくとはじめの10年。
その面白さの根本は何かっていうと、信頼できる人たちと一緒に働けたということなんです。

ほぼ同世代の友達同士から広がっていったので、マネジメントとか会社のこととかを僕も就職経験がない、創業メンバー誰一人会社経験がないので、会社ってのはどういう仕組みがあって、経営とは何かを一切知らなかったんです。
ほぼサークルの延長で立ち上げたので、会社のことをよくわかってなくてマネージメントってのもよくわかってなかった。
それでも友達同士仲がいいのでお互い結構信頼してて、その10年間ってほんと人の問題で悩むことがほとんど無かった。
ところが人が増えてきてちゃんとマネジメントして組織作りをしっかりやろうと思って、勉強し始めてからめっちゃ色々苦労するようになったんです。
マネージャーをちゃんと作って、ちゃんとマネージャーを通して下に意思を伝えないと、勝手に上がやったらあかんとか、いろんな会社を経験した人が入ってきて、うちの会社のやり方が絶対おかしいとかって言われると、反論できなくて、全部受け入れていったら、どんどん中でギクシャクするようになっていって。

その成功体験的なものとちょっと苦しんだ経験から、少なくとも会社は良い人達っていうか、信頼できる人たちの仕事ができれば大抵のことは何とかなるなっていう感覚はあったんですよ。
その10年間のビジネスの大変さ、あれをよう乗り越えれたのは、多分人とかの問題がなかったからと思ってて。
幸い木村石鹸戻った時も、嫌々戻って、もう本当に自分は仕事だけに割り切って、関係性とか一切作らずにコンサルタントみたいな感じで戻ろうと思って戻ったけど、居た人たちが本当に良い人たちだったんですね、すごく。
親父との間の世代の時に結構色々あったんで若干後ろ向きな感じはあったんですけど、でもすごい真面目で良い人たちだったんで、その人たちと一緒に働けるっていうのは、なんとかなるんじゃないか?っていうことが思えたんです。

だから今でもその考え方で、採用するにしても能力とかスキルとかっていう問題よりも本当に良い人、性格が良い人を取りたい。
性格が良い人たちが集まっていれば、なんとかなるじゃないかなってずっと思ってます。

岡村社長
めちゃめちゃ同意です。
僕も自分では独立創業してて、その流れで僕がウエダ本社に入ることになったんですけど、そんな経験もあったりしながら、ウエダ本社に来てからいわゆるそのソーシャルビジネスだとかスタートアップみたいな人といっぱい付き合うんですね。
当然みんな大変なんですけど、すごい羨ましいところは、まさに今木村社長が仰ったところで、大変やろうけど、でもこの指止まれで、共鳴した人が集まってるんですね。
そんなんで言ったら苦労なんてないよって。
こっちから見ると、ほとんどそこのところで苦労してんだけどって言いたくなります。

ウエダ本社っていうのは普通の中小企業相手にしているので、今のマネジメントだとかそういうことでうまくいかないところを信頼資本なのか、関係性なのかで、ほとんど問題なくなりますよみたいな世界観を作りたいなということを思ってたりするんですよ。

でも、それにおいてはうちの会社がまずそういうふうにしていかないと、と試行錯誤を繰り返しています。
ただもう一方は、うちって製造業じゃないから、逆に言うと人しかないので、まさに今木村社長が仰ったポイントしか勝負どころ無いよっていうのはいつも言ってるんです。
木村石鹸さんは製造業じゃないですか?
いや能力なかっても良い人やったらなんて言うてられない、商品として出していかないといけないじゃないですか。
その製造業としての、今の人の良さだとか信頼関係は、商品にどうつながっているんですか?

木村社長
意外と結構採用に関しては、場当たり的な感じなんです。
だからいい人が居たら採るという感じなんですね。
開発者とか例えば工場勤務とかっていうのも当然狙って採りたいんですよ、優秀な開発者とか。
でもなかなか狙っては採れないんですね。
この前も例えば三重の工場が立ち上げたばっかりで開発者が要りますと、開発担当を募集したんですけど、最終面接に残ったのは開発経験なしで、前職は自動車工場の工場内に勤務してた女性が残って、勉強したいですって感じだったんです。
一方では開発経験ある人は何人かはいたけど、でも面接した人間もめちゃめちゃ良いのでその子を見てほしいって言って、最終面接したら確かにめちゃくちゃ良くて、結果開発者じゃないんですけど採用したんです。

でもその子を採用したことによって、三重の伊賀の方では新卒で高校生を採用していってるんですけど、その新卒で入った女性のお姉さん役になって、若手のチームもまとめる役割をしてくれるようになったりとか。
工場を単なる工場じゃなくて、いろんなコミュニケーションの場所にしたいという目標をずっと立ててたんですけど、それをその子が実現しようと工場直売のイベントをやってくれたりとか。
そもそも開発者を募集してたけど開発者は採用できず、でもなんかめっちゃ良い人を採用したら、工場の新しい展開が結果見えた。
こんな形が結構多いです。

12 / JU-NI|木村石鹸が作る、髪を本気で良くするシャンプー&コンディショナー

もちろん、ある程度の採用とかって戦略はあるんですけど、自分たちが魅力的な会社になっていれば、いずれ出会うんじゃないかと思ってます。
その出会った人たちの中でどういうことができるかを考えたほうが良いんじゃないかなと。
今売上が一番多いシャンプーも、もともと採用をしていなかったときに、いきなり会社のホームページに問い合わせが来たんですよ。
それも、自由に開発できる、自分の思うように開発できそうなんでと問い合わせしてきてくれた。
それもシャンプーをつくってもらおうと思っていたわけでは無かったんですが、採用したらその子がずっと人知れず開発して、5年くらい経って出てきたのが12シャンプー。
採用した人が動いてくれてできたもので、会社としてはそういう戦略を思い描いたわけではなく、常にある程度採用のビジョンはあるんですが、出会った人と今いる人の中で何ができるかを考えていくようにしています。
工場でいうと、正直いうと若い人は来にくいです。

岡村社長
でも多いでしょ?

木村社長
三重の伊賀は比較的多くて半分くらいは20代ですが、八尾の方、本社が老朽化していっていて工場の製造環境はめちゃめちゃ悪いんです。
若い子たちからすると、こんな環境で働くんやったら他に選択肢あるやろといった感じで選んでもらえない。
働きたいと思えるようにするにはどういうふうにしたら良いのか、何か魅力をつくらないとそもそも選んでもらえない。
でも選んでもらえたらその人たちでできることをうちは考えていこうと、先に良い人が集まる場や良い人が選んでくれる場をつくっていって、その集まった人たちから考えていっています。

岡村社長
選んでもらえないといいつつも、その12シャンプーとかを開発した方は、募集してないのに来たわけじゃないですか。
木村石鹸さんは、そこ行けば開発好きにできるというような打ち出しをしてたんですか?

木村社長
その子はインタビュー記事を見て、結構自由に開発できるんじゃないかと思って来てくれました。
もう一人の八尾にいる開発者は、みせるばやおで知ってくれたんです。
もともと八尾に住んでいて、大阪市内の商品開発会社にいたんだけど、みせるばやおでうちのことを知って、八尾にこんな会社があるんだったら良いなと転職してくれたんですが、これも別に採用活動ではなかったです。

岡村社長
そうなんですね、いっぱいヒントがあってまだまだいっぱい聞きたいんですけど、朝礼の時間がもう終わりとのことで、続きはワーククロスで組織づくりなどもお聞かせいただければと思います。
急遽というかたちで、木村社長にお話伺っていきましたが、ウエダ本社の朝礼もこんな形で参加したいと思ってもらえるようにしたいし、共感してもらえるところとつながっていきたいと思います。
今日は本当にありがとうございました。

木村社長
ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?