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【詩】家路

疲れ果てて駅につくと
バスに乗ろうと思う
風が顔にあたると なぜか歩ける気がして
とぼとぼという音が相応しいような歩き方で
坂を登り
振り返ると
今朝は藍色が橙色に溶けた暁の空が
今や遠くのビルの (それはどこに在るのか) 放つ光の点群を
底なしの闇に浮かべるだけで
それにカメラを向けようとしたけど
後ろを歩く女の視線が気になってやめた

帰ると妻は夕飯の支度をしていた
といってもすでに21時だ
その後ろでコンロの青い火を見つめていると
何か大きな間違いを犯し 取り返しのつかないことになってしまう
という考えにおかされてしまうのだ

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