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[読書] ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか

最近、ワークマンが流行っている。まだ買ったことがないけど僕も欲しいものがいくつかある。
ワークマン自体は作業着や軍手を売っている工事などの職人さん向けのチェーン店として昔からあったのだけど、ここ数年で一気に盛り上がっている。気になっていたので、「ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか」という本を読んでみました。

ワークマンは、カインズ(ホームセンター)、ベイシア(スーパーマーケット)などのベイシアグループの一員で、創業者の甥である土屋哲雄さんという方が入ってから劇的に変化したようだ。土屋哲雄さんは三井物産出身で定年(60歳)のときに叔父の創業者に誘われてワークマンに入ったとのこと。三井物産時代は三井物産デジタル代表取締役社長、三井情報開発(現三井情報)取締役執行役員などを歴任されている。本書には三井物産時代のことも語られている。

入った当時のワークマンは、リスクのあるSPA(製造小売業)を行わない会社だったが、2年の雌伏の期間を経て実験的に作業服でSPAを導入したとのこと。
SPAというのは自分の会社で作ったオリジナル商品を販売する業態のことでユニクロや無印良品が代表的な会社だ。
会社を成長させるには、仕入れて販売するだけの小売専業ではなく、SPAの方が良いが売れ残るなどのリスクも大きい。
また、販売するにはブランド力が必要だ。

まずはマーケティング、いろいろ検証したところ、「高価格⇔低価格」 と 「デザイン性⇔機能性」の2軸の中で低価格&機能性にいるプレイヤーが存在しないことが分かった。低価格も機能性もワークマンの得意とするところ。そこで「ワークマンプラス」という新しいブランドを作ったとのこと。当初は「ワークマン」という名前をなくそうとしたらしいけど、「高品質の証だから」という他の人の意見を聞いて残したとのこと。

つぎに「目標」。とても分かりやすい。誰にでも一目でわかる目標というのは大きい。
* 社員一人当たりの時価総額を小売ナンバー1
* 新業態の開発
**客層拡大
**データ経営で新業態を運営する準備
*5年で社員の年収100万UP

さて、本題の「ワークマンはどのように社員にデータ重視の文化を取り入れたか?」について。

今はAI(?)やBIツールなどでデータ分析をする会社が増えてきているが、ワークマンはエクセルを重視するとのこと。一部の社員や分析担当が使えるものより、全員がデータを重視する文化を作るには、今のところエクセルが最適だということだ。自動化(発注など)のツール開発も、ロジック部分を開発会社に丸投げするのではなく、エクセルでシミュレーションを重ねて最適なロジックを取り入れるそうだ。自社の社員がロジックを考えることが重要なのでブラックボックス化するAI関連の技術は今のところ入れないとのこと。

システムは構想1年、開発1年、使って6年なので、今後、新しい技術を入れてくる可能性はあるが、社員がしっかりとした判断をした上で導入する文化のようだ。これも以前読んだ「ソフトウェアファースト」のITの手の内化の一つだろう。

データ重視の企業文化を作るので、当然教育にも力を入れている。ワークマンはほとんどがフランチャイズだが、30店舗ある直営店で実験と社員の教育を行っている。

全社員向け データ分析講習と中級者向けのデータ分析講習があるそうだ。

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(引用 ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか)

「d3」とはPOS(レジ販売機)データ分析システム。そこからデータをダウンロードし、エクセルの関数を使って、需要の変動を読み解くなどの講習のようだ。指導教官は社内のデータ分析が得意な社員が行い、習熟度を測るテストを実施。平均点が90点なのは受講者が自信をつけるためとのこと。こうすることで社員全員がデータを元に判断をする企業文化を作っているそうだ。

また、データに強い社員の実力をさらに伸ばすための「中級者向けデータ分析講習会」も実施。「分析サポート講習」では、より実践的かつ発展的な演習を行い、その中から特にデータに強い精鋭20人で構成された分析チームのメンバーを選抜。同チームメンバーはSV業務と平行しながら、「分析チーム講習」で更に能力を高めているそうだ。

分析チーム講習は統計学をきちん実務に紐づけている。このようにしてワークマンはデータ重視の企業文化を作り、外部に丸投げにせずIT(データ)の手の内化をはかっている。

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(引用 ワークマンは 商品を変えずに売り方を変えただけで なぜ2倍売れたのか)

他にもワークマンプラス関連の話は多いので、興味のある方にはおすすめです。



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