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コード:わたし

言葉にしなきゃいられない。いい物を書きたい。読まれたい。そんな思いよりも強く強く思うのは"書きたい"ということ。体裁や技法なんか知らない。分からない。私には何かを生み出す才能がない。努力も出来ない。だけど書かなきゃいられない。なんの実りもないデータのゴミ。それが私の言葉。浮かんでは消えて。浮かんでは消えて。実に陳腐でオリジナリティがなくて。すくいようのない言葉た。書きたい。書きたい。書きたいという思いばかりが募って言葉が纏まらなくなる。ある種のパニックを起こす。Twitterで細切れにした言葉を吐き出す。打って消して。投稿して消して。意味もないけど溜まり溜まった力を使わないと爆発してしまいそうになる。疲れたんだよ。頑張れない私が誰に何を思ったってその人たちは曲がりなりにも社会生活を送っていて。私は違う。彼ら彼女らはすごい。その劣等感が私を叩き潰す。そんなことない。そんなことない!!って立ち上がろうとするけど踏ん張れない。わきからすり抜けてきた否定の言葉が私に追い打ちをかける。健康な癖に怠けている。頭も良くない癖に。
いつも言い訳ばかり。お前が間違っている。他人は正しい。異常だ。生きている価値も意味もない。お前の言葉の全てが無駄だ。ああ。そうか。そうか。私とはこういう人間なんだと言霊は告げる。冷酷で非情だ。血溜まりに。シミになった私を見て笑うだろう。私は私を※して一体どうするつもりなのだろうか。私が私に成り代わられて私が私に成り代わったなら世界は反転でもするだろうか。分かりそうで分からない向こう側に立っているのは確かに私だ。私は。そうか。私は、私が生きていることそれ自体が気に食わないのだ。いつから分岐していたんだろうか。もう嫌になったんだ。続けることに。続けることが。信頼も得られない。上手く立ち回れない。そんな自分に嫌気が差した。これは"廃棄物"なんだ。残念でした。ミスでした。すみませんでした。捨てておきます。そうか。ぱくぱくと動く口はそう言っていたのか。私は私にすら私をどうこうされることが嫌だ。私がそこに立って私を見下ろすならば私にだって同じ権利がある。憎しみの眼差しがこちらを刺す。純文学。そんな言葉が浮かぶ。そう、これは芸術だ。芸術とは終だ。終なんて理解できるわけがない。正しいも正しくないもない。それはただ果てまで広がる個性なのだ。私が私を表現する言葉たち。コード:わたし。こんなものが。このアルゴリズムが。他人に理解できるわけがない。私に流れ着く場所などないのだ。私を受け入れてくれる場所はどこにもない。私は個であり無だ。その事実があるに過ぎない。私が私をどれだけ飾っても。そのティースプーンひと匙分にも満たない知識という装飾品とてゆくゆくは灰燼に帰するのだ。なにが哲学。なにが文学。なにが言葉。なにが絆。くだらないものを抱えて自分を誤魔化して。ヘラヘラ笑って嘘をついて怒りに震え。或いは怒りに震えた"フリ"か。なにをやったって失敗するさ。お前に成功の文字はない。そんな定義は存在しない。お前は成功になんて期待していない。面白いかどうかだけだ。つまらない人生がまっぴらでいつでも刹那的な快感を求めている。実に陳腐。浅はかで愚か。そんな言葉では足らないほどに惨め。くだらない。言葉だ。言葉が浮かぶ。書式もなにもないままにどんどんどんどん指が動き。さながら踊り。画面には文字が入力されていく。何も考えていないから理解できない。誤字を回避するので精一杯。繋がりも分からない。これは文章なのだろうか?文字が並ぶものは文章か?誤変換に苛立ち。ペンを握っていた日のことを思い出す。ペンだこが出来て痛かったこと。ペンの持ち方一つも人並みに出来ない。大してペンも使わない癖にタコだけはいっちょ前に。皮膚が柔らかいのさ。手はまるで子供のよう。見た目に違う柔肌は吸い付き、繊細で。だからなんだっていうのか。なんの役にも立たない手だ。ううん生活の役には立ってる。あって良かった。それ以上を期待する方がおかしい。何かを生み出せなんて自分のエゴだ。だいたい手は私の付属品なのに。自分でも何を考えているのか分からない。なんなんだ私は。うんざりだ。とにかくうんざりだ。私をこんなに退屈な目に合わせている。本当に。本当に、何も出来ないのか?人と合わない。人の社会から抜け出しただけで何も出来ないのか?何も出来ないってそもそもなんだ。なにかしたいことはあるのか。ないな。ないんだよ。頭はモヤがかかって何も浮かばない。いつもボーッとしてる。生きてるのか?死んでるのか?ほぼ限りなく死んでいるぞ。これは命の存在証明だ。これを打っている私、生きてる!生きてる!!生きてるぞ。なんの確認だ。だからなんだ。次の瞬間には死んでるのかもしれないのに。はぁはぁと息が上がるような感覚。ざまぁみろ。私が言葉を浮かべるよりも早く打ってやった!くそが。

ああ。それだけさ

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