【書評】膨張GAFAとの闘い-デジタル敗戦 霞ヶ関は何をしたのか


 海外のプラットフォーマーには法律を適用できず、国内の大手IT企業には厳格に法律を適用する「一国二制度」への問題意識に端を発し、霞ヶ関の役所や弁護士、教授、企業の人たちが如何にして対応を進めてきたのか、詳細に追って記述された良書でした。

 この本では、

・日本国内の関係法令をめぐる国内のアクター間の綱引きの歴史
・欧米の議論を背景として議論を進める日本政府なりの政策形成プロセス
・GAFAの日本政府への連れなさと裏にある米国政府の存在

 を主な内容として学ぶことができます。

 この本を読んでいて面白いのは。最終章のタイトルで書いているように、

日本はなぜGAFAを生み出せないのか

 これが、この本の基底に流れる問題意識であり、また、

あの時違う選択をしていれば日本初のプラットフォーマーを輩出できたかもしれない

 といったセリフがたびたび出てきます。


GAFAから日本の消費者を守るにはどうすべきか?
日本のIT企業だけが不利にならない状況を作るにはどうすべきか?

という観点から、奔走し、苦悩する関係者が描かれていて、非常に面白い一冊でした。





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