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港区か、港区以外か。

東京23区は、港区か港区以外かというほど、格差がある。例えば、歩いている人が来ている服が違う。冬に港区を歩いていると、冬なのに肌が黒い厳つい見た目のおじさんがモンクレールのダウンを着て歩いている。女性は太っている人を見つけるのが難しい。やっぱりモンクレールを着ている人ばかりなのだ。

港区ではもはやモンクレールがコモディティ化しており、モンクレールのほうがダサいまである。新宿区でユニクロアウターやザ・ノース・フェイスのダウンを着ているような感じだ。

ちなみに僕は、何年前に購入したのかわからないザ・ノース・フェイスのウィンドブレーカーを着て、街をウロウロしている。ダサいのは自覚しているが、デブになってから服を買わなくなった。痩せて服を買いたいと思い始めている。

港区のスタンダートはモンクレールだが、新宿区もモンクレールを着ている人が多い地域がある。それは歌舞伎町だ。

まだいるのかわからないがモンクレールやカナダグースを来たキャッチがたくさんいた。歌舞伎町にさえ近づかなければ、新宿区ではモンクレールを着ていると多少はかっこがつくのかも知れない。

しかし港区ではかっこがつかない。モンクレールを着て平均になれる場所だ。

ちなみに僕は21〜22歳ぐらいのときに、港区区民だったことがある。ただし、港区の中では地価の安い新橋に住んでいた。遊びざかりの僕は、早い時間は銀座のコリドー街で友達とナンパをしまくった。遅い時間になると、銀座か六本木のクラブに移動する。六本木のバーという選択肢もたくさんあった。

銀座と六本木からタクシーで1000円ぐらいなので、びっくりするぐらいお持ち帰りが成功する。

バーやクラブで女性といい感じになったあと午前3時ぐらいになったら、「疲れたから、先帰るわ」と言ったあとに「ついてくる?」というと、お持ち帰りできるのである。遊び足りない男性は、ぜひ港区に住んでみてほしい。お持ち帰り率がめちゃくちゃ高まる。

下世話な話になってしまったけど、さっき麻布十番でラーメンを食べて店を出た瞬間、めちゃくちゃかっこいいカップルを見つけてしまった。夫婦かも知れない。この二人はモンクレールを着ていなかった。もっと高そうな見たことがないダウンを着ていた。

女性は深い帽子にマスクをしていて、顔が見えなかった。芸能人かも知れない。ダウンの上からでもわかるほど、めちゃくちゃスタイルがいい。男性は、マスクをせずに眩しくもないのにサングラスをしていた。そのおじさんのイケオジっぷりがすごかった。

多分40代だと思われるそのイケオジが、20代の美女を連れて、そば屋に入っていったのである。

「俺もああいうかっこいいおじさんになりたい」と思った。美女を連れているからなのか、単純に見た目やスタイルがかっこよかったのか、どちらの理由でかっこいいと思ったかはわからない。でもかっこよかった。

僕も気づけば30歳。

人の顔を見れば何を頑張ってきたのか、どんなことを乗り越えてきたのか、なんとなく想像できる。そのイケオジの顔は、失敗を繰り返し、成功したのではないかと思わせる顔だった。

30歳の僕は、今から若くして成功した人間にはなれないかも知れない。でも40代でギリギリイケオジになれるのではないかと思うのだ。

もちろんイケオジは、若いときにもイケてた人だろうというのはわかる。たしかにそうかも知れない。しかし、イケオジでも目指さない限り、僕は痩せる理由も身体を鍛える理由も服を買う理由もないのである。あと誰かに尊敬されたい。

僕は、地位も名誉も金も全部欲しい。もちろん女性にだって相手にされたい。そうじゃなきゃ幼少期の辛い過去を乗り越えられない気がするからだ。こんなものじゃ割に合わないと思って生きている。

それにも関わらず、僕は20代で成功できなかった。挑戦はしたと思う。23歳で独立して小金を稼いで、その金をすべて小便にしてしまった。結局ダメになった後は、もう一度独立するまでに苦労した。

20代で2回も独立していたら良い方かも知れないが、自分の時間を少し高く売っていただけだから、大したことがない。

そんな過去があるのにも関わらず、それなりの稼ぎで満足しそうになっている自分が許せないと思う。ある意味痛いのだが、まだまだギラギラした気持ちが眠っていることに港区を歩いて気づいた。

誰かを見返したいという気持ちもないわけではない。ただその誰かは、特定の人がいるわけではない。しいていうなら自分を見返したいのかも知れない。

自分に負け続けた20代の負けを取り返すために、30代は自分に勝ち続ける。30代は思い通りの人生を手に入れたい。

なんだか気持ちわるい文章になってしまったが、ギラギラしていこうと思う。終わり。

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