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「ワクチン接種後の死亡とワクチンとの因果関係が評価できない」がおかしいたった一つの理由

厚生労働省の発表によりますと、2021年2月17日から7月11日までに新型コロナワクチン接種後に死亡した事例は667件、さらに7月16日まで84件を加え、751件となっています。しかし、これらの事例で、ワクチン接種と死亡との因果関係が認められた事例はゼロです。

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本記事では、この因果関係について考えてみます。

因果関係はどのように立証するのか

各死亡事例の因果関係に関するコメントは上記の厚生労働省の発表資料に含まれています。「コメント無し」となっている事例も多数あり、また、「情報が不足している」「因果関係を評価することはできない」と、結論付けられているものも多いです。総合的には、以下の横浜市立大学名誉教授の奥田研爾氏による【Q&A】の回答が参考になりそうです。

【Q】ワクチン接種と死亡の因果関係が認められないのはなぜなのか?【A】「たとえばワクチンを接種してから1時間以内にアナフィラキシーショックや心停止などを発症したとします。それでも明らかにワクチンが重篤な副作用を起こし死亡した、と証明するのは医学的に非常に難しい。確かにコロナワクチンのスパイクタンパクはヒトの血小板を減少させると報告されています。血小板には複数の血液凝固因子が含まれ、血液の流れに影響を及ぼします。血栓症、心筋梗塞、心筋炎などいくつかの重篤な副反応があることは証明されていますし、アナフィラキシーももちろん起きています。ただし現在のところ、国内の接種例の大半は高齢者です。たまたまワクチンの投与後に軽い心臓発作を生じ、それが重症化してしまう例はあると思いますし、間接的な影響で亡くなった例もそれなりにあると考えられますが、もともと持病を抱えていたり血管が弱っていたりした場合、ワクチンが主だった原因で亡くなったとは判断できません。ワクチンの普及を推進している国としては、正確性が曖昧なものを『副反応が原因』と判定できない。『因果関係は不詳』と報告するほかないのでしょう」
出典:https://news.yahoo.co.jp/articles/fbb6509bbd3ee0d71d7a33525212bce14767bea3

高齢者はワクチン接種に関わらず毎日亡くなる

上記は個々の事例の因果関係をミクロ的に見たときの説明ですが、一方では、「ワクチン接種後に亡くなった方は高齢者が多く、高齢者の死亡率は高いので、ワクチンを打っても打たなくてもこれらの方は亡くなっていた」という主張もあります。以下、大阪大学免疫学フロンティア研究センター招へい教授の宮坂昌之医師の意見を紹介します。

「因果関係の証明は極めて困難ですが、軒並み『不明』では不安材料になるだけです。ワクチン接種による副反応のリスクを見るには、ワクチンを接種していない人たちが、例えば脳出血やくも膜下出血によってどのくらい死亡しているかを考慮しなければなりません」
2019年に脳出血は年間約3万3千人、くも膜下出血は同約1万2千人が死亡している。宮坂医師が続ける。
「1日に平均で脳出血は90人、くも膜下出血で33人がワクチン接種とは無関係に亡くなっていることになります。ですから、ワクチンを打ったから脳出血を起こしたのではなく、たまたま脳出血を起こす人にワクチンを打った“紛れ込み”がほとんどだと思います。(後略)」
出典:https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-2021062200062.html

本当にたまたまなのか

上記の宮坂医師の説明のように「たまたま脳出血を起こす人にワクチンを打った紛れ込みがほとんど」なのでしょうか。2021年6月23までの256死亡事例の接種後から死亡までの日数をグラフ化した方がいらっしゃいますので、これをお借りします。

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出典:https://note.com/wagatsuchio/n/nc42602783770

(8/3追記 新しいデータを見つけたので以下グラフを追加します)

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出典:https://twitter.com/kirikabu11/status/1419859923672862721

上の6/23までのデータよると、当日または翌日に亡くなられた方が48%、7日目までに亡くなられた方が91%を占めます。

本当に「たまたま」であれば、死亡までの日数は7日目までに集中することなく、当日から19日までにほぼ均一に分布されるはずではないでしょうか。個々の事例のミクロ的な因果関係の説明は難しいとしても、7日目までの集中が確認できる日数分布データからは、何らかの因果関係があると見るのが自然ではないでしょうか。

可能性としては、恣意的に当日か翌日に死亡する可能性の高い人を選んでワクチンを接種させていることも考えられます。しかし、厚生労働省によると、ワクチン接種は「体調のよいときに受けるのが基本であり、病気が悪化していたり全身が衰弱しているときには裂けたほうがよい」となっているため、当日か翌日に死亡する可能性の高い人が選択されてワクチンを接種している可能性は低いです。

そうなると、何らかの因果関係があるとしか考えられません。「因果関係が評価できない」というのはある側面からのみの話であり、詭弁である可能性を疑わざるを得ません。

一般社団法人セーファーインターネット協会が開催したオンラインイベント「ワクチンデマ対策シンポジウム」では国際大学GLOCOM准教授の山口真一氏が、自然死した場合とどれだけ統計的に有意な差があるのかを見なければいけなく、数字だけ発表するといたずらに不安を広げると主張しました。残念ながら同氏は統計的な分析結果は発表しなかったのですが、是非統計的分析結果を知りたいものです。

新型コロナによる死亡はどうなのか

ところで、死亡者に高齢者が多いという点ではワクチン接種後の死亡事例も、新型コロナによる死亡も同じだと考えます。

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出典:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/h1.pdf, https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/gaikyouR2.pdf

上記宮坂氏や山口氏の主張が正しいのであれば、もともと亡くなるはずだった人が「たまたま」新型コロナ陽性となり、亡くなってしまった場合もあり得ます。その場合は、新型コロナと死亡の因果関係はなし、または評価できないとするべきではないでしょうか。さらには、新型コロナ陽性となった後に別の死因で死亡した人の死因を新型コロナとすべきではないのではないでしょうか。

以下は昨年の記事であり、最新ではありませんが、新型コロナを死因とするときの基準は厳密ではないようです。

これまでに感染者の死亡を発表したのは62自治体。このうち44自治体は、死因に関係なくすべて「死者」として集計していた。その理由として、「高齢者は基礎疾患のある人が多く、ウイルスが直接の死因になったのかどうか行政として判断するのは難しい」(東京都)、「全員の死因を精査できるとは限らない」(千葉県)――などが挙がった。
感染者1人が亡くなった青森県は「医師は死因を老衰などと判断した。感染が直接の死因ではないが、県としては陽性者の死亡を『死者』として発表している」と説明している。
出典:https://www.yomiuri.co.jp/national/20200614-OYT1T50084/
辛坊)おかしいでしょう。何が言いたいかと言うと、日本は新型コロナで死んだのではなくても、自殺を含めて他の病気で亡くなった方が、たまさかPCR検査で新型コロナの陽性が出た場合、それは新型コロナ死として認定されているわけなのです。
増山)そうなのですか?
辛坊)そうなのです。
増山)自殺された方が万が一そうであっても。
辛坊)はい。私は自分で取材して確認しております。実は悲惨なことに、この方、新型コロナに感染したことを悲観して自殺されたのですが、その方は新型コロナで亡くなったとカウントされています。
出典:https://news.1242.com/article/245795

同じ年齢層の高齢者を対象とした場合、ワクチン接種後の死亡には「たまたま」の人が多く紛れ込み、新型コロナによる死亡には「たまたま」の人がいないことはあり得ません。ワクチン接種後の死亡事例に「たまたま」が多く紛れ込んでいるのであれば、新型コロナによる死亡事例にも紛れ込んでいて、実際の死者数はもっと少なくなるはずです。

ワクチン接種後の死亡事例に関しては、因果関係なしとは考えられず、因果関係特定の方法論の再考を望みます。また、ワクチン接種後の死亡事例、新型コロナによる死亡とも、整合した集計方法を使うことを望みます。片方は水増しOK、もう片方は「たまたまが紛れ込んでいる」というのはフェアではありません。

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