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日本の核兵器保有(核共有)が現実的でない理由

2022/2/27テレビ番組日曜報道にて安倍元総理が核兵器保有(核共有)に言及した。核保有をタブー視せず議論すべきということらしい。だが、この件について、はっきり申し上げれば、議論に上げるまでもなく論外であり、現実的ではないとしか言いようがない。

議論も許さないのかと抗議する人もいるが、議論には主張が必要であり、主張には根拠が必要であり、根拠には知識や資料集めが不可欠である。
知識や資料集めをした時点で、核保有は無理な話であり議論にならないのだ。

その根拠を述べる。

核兵器保有が現実的でない理由

政府見解

首相、核共有「認められず」

日経新聞より
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA282C40Y2A220C2000000/


翌2/28に岸田総理大臣等閣僚が即時否定したように、政府見解でも議論のテーブルに上がらないことがわかる。

非核三原則

核兵器を
持たず
つくらず
持ち込ませず

政府はこれを堅守する立場にあることは変わりない。

敵国条項

国連憲章第53条、77条及び107条の通称。
いわゆる枢軸国が、将来、再度侵略行為を行うか、またはその兆しを見せた場合、国際連合安全保障理事会を通さず軍事的制裁を行う事が出来ると定められた条項のことである。
どの国がこれに該当するかという明確な規定はないが、日本政府の見解では日本も入っている。
1995年国連総会において敵国条項を削除する決議案が圧倒的多数の賛成を得て採択されたが、現在もこの条項は残されたままとなっている。

要は核兵器保有したり、共有したりした時点で、敵国条項に引っかかる可能性があるのだ。特に中国、ロシアなどの軍事力の持つ近隣国の侵攻の口実にもなりかねない。

核拡散防止条約

核兵器の不拡散に関する条約(略称NPT)であり、核軍縮を目的にアメリカ合衆国・中華人民共和国・イギリス・フランス・ロシア連邦の5か国以外の核兵器の保有を禁止する条約である。

これに日本は批准しているため、核保有は許されない。
ちなみに2017年に国連総会で採択された核兵器禁止条約は日本は「具体的でない」という理由に批准していない。

コスト面

核兵器を保有するのには多大なコストが不可欠である。また戦力や抑止力として機能させ維持するには核兵器以外の後方支援も揃えなければならない。
コストは下記以上に膨大なものになると考えられる。

管理能力

原発と核兵器とでは直接の関係はないものの、原子力業界が核兵器の管理に関わることは確実であろう。その原子力業界が、福島県の原発事故以降体質が変わった等は聞かないし、原発事故はまだ終息していない。そのような業界に核兵器管理を任せることは非常に危険であると考える。要は能力も信用もないのだ。
ましてマスクの管理すらまともにできない日本が核兵器を管理できるかは甚だ疑問である。

国際社会との関係・軍事的緊張の高まり

議論提起すること自体が、軍事的緊張を高まらせることは言うまでもない。またフランス・イギリスなどの核兵器保有国は勿論、東アジアなどの諸外国が核兵器拡散防止条約批准国の日本の核兵器保有を許すとは到底思えない。賛成する立場の国はおそらくいないだろう。また北朝鮮の核兵器開発に反対していた日本の立場はなくなる。国際的に孤立を生む原因にもなると考える。

経済制裁の恐れ

上記に関連して、経済的制裁の恐れは看過できない。北朝鮮を見れば言わずもがなである。日本の状況を悪くするだけだ。

唯一の被爆国という立場

唯一の被爆国である日本はその立場から平和に貢献してきた。だが核兵器を保有しようとなると、その立場もなくなる。国際的な信用の失墜につながる。
また核兵器を保有することは、被爆者やその家族の軽視他ならない。歴史的経緯からも許されてはならないとそう考える。

放射性廃棄物・被曝

放射性廃棄物の最終処分は未だ解決できない問題であり、核兵器を保有すれば核実験も必要となり必ず付き纏う。また被曝の影響も無視することはできない。

為政者の暴走

今回のウクライナ侵攻でわかったように核保有国が侵攻した場合、国際社会は簡単には止められないことがわかる。核保有国の為政者が暴走すれば、世界が危険にさらされるのだ。現在そういった危険性を加味すれば、核保有国を減らせはしても増やす方向に持っていくことは国際紛争や世界大戦の危険性を高めるだけだ。

抑止力への疑問視

核保有国となれば敵国から先制攻撃の危機に直面することになる。核保有するならば、事前に敵基地攻撃能力が不可欠だ。日本はそれを持っていないため、抑止力にならないのだ。
また核保有国同士で睨み合うことが抑止力とするならば、今回ウクライナ侵攻でその均衡は崩れており、全ての国が核兵器を持つことが現実的でない今、核兵器の抑止力は疑問である。また核兵器を全ての国が持つとしても、あるひとつの国が反故にすれば簡単に破れる均衡なのは言うまでもない。

防衛力への疑問視

先制攻撃ができない以上、核兵器を防衛のためにしか使えない。つまり攻撃を受けた後でしか報復として用いることになる。

最後に

核兵器保有共有は資料集めの時点で無理であり議論するまでもないということである。しかも国際的軍事的緊張を高めるだけで、国会や政治家が議論することさえ日本に利がなく害ばかりだと考える。
よって、このタイミングで核兵器共有について議論を持ち出した(しかも核共有についてアメリカへの確認や連携を取っていないと考えられる)安倍元総理や橋下氏は強く非難したいと考える。

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