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デジタルスキルの高い人材を育成し地域活性化をめざす|恵那市の未来を切り拓く鍵となる「2つの事業」とは

岐阜県恵那市では、地域全体のDX人材育成を目的とした「恵那市民ICTスキル向上事業」と、若い世代の地域への定着を促す「恵那未来キャンパス」という2つの事業を実施しています。

これらの事業でUdemy Business(以下、Udemy)を活用して感じたメリットや、恵那市がめざす未来の姿について伺いました。

市民・企業・行政のDX活用を総合的に推進する「恵那市民ICTスキル向上事業」

小林:恵那市民ICTスキル向上事業」は、市民・企業・行政が一体となって、恵那市全体でDX化に取り組むための事業です。
近年のコロナ禍で生活様式や働き方が大きく変化し、社会全体でデジタル化が求められるようになりました。
そこへ対応するには、行政だけでなく市民や企業も最先端のデジタルスキルを学ぶことが急務です。

恵那市民ICTスキル向上事業」では、eラーニングのUdemyを市民と企業向けに提供しています。多くの人に学んでいただくため、市民50人・企業300人の枠を設けてUdemyの講座を視聴できるようにしました。

後藤:Udemyは内容が非常に幅広く、いつでもどこでも学べるところが最大のメリットだと思います。
当初は若い世代の申し込みが多いと予想していましたが、実際には50代や60代の方も多く申し込みをいただき、様々な世代でオンライン講座に関心が高まっていることを実感しています。

Udemyで学びを継続するためのサポート体制

小林:受講者の募集は、チラシの配布やポスター掲示、ホームページへの掲載はもちろん、地元の高校や商工会議所の担当者から話を広げてもらうことにも取り組みました。

8月にはUdemy体験会を開催して実際に講座の内容に触れていただく機会を設け、講座の数が多く何から受ければよいか選べない方には、恵那市独自で用意した10時間ほどのパッケージもあわせて提供しています。

ただ、予想に反して企業からの受講者が少なかった点は課題となりました。
恵那市は小規模な企業が多く存在していますが、人員不足によって研修時間が確保できないのが要因としてあるのではと考えています。

働き方の観点から見れば就労時間内に学ぶことが理想ではありますが、今後はどういった形で企業に学びを取り入れてもらうかを検討する予定です。

後藤:市民の参加状況は、すでに100時間以上Udemyを視聴した方もいる一方で、まだ学習が進んでいない方もいるのが現状です。
熱心に学んでいる方々からは、「こんなに色々なことを学べるコンテンツは他にないから本当に嬉しい」という声をいただき、大変好評です。

恵那市民ICTスキル向上事業」は今年スタートしたばかりですので、「まずはやってみよう」と参加した方も多かったと思います。
せっかく興味を持ってくださったのですから、継続した学びを定着させるのが重要だと考えます。

オンラインとリアルをつなぐ、恵那市独自の工夫

小林:本事業では受講者が目的意識を持って継続的に学ぶことを促すため、オンラインに加えてリアルの交流の場である「Udemyコミュニティ」を設けました。

月に2回ほどのペースで、受講者同士が交流できる場を提供しています。
ただ、このコミュニティはまだ限られた方しかご利用いただけていないため、運営方法に課題が残っています。

今後は自習室のような学べる部屋を解放することや、そこで徐々に顔見知りになって話ができるような場づくりを行うなど、工夫を重ねていきたいです。

後藤:本事業では対面型の集合型研修もいくつか予定していますが、Udemyに同様の内容の講座がある場合には、「Udemyで予習・復習ができます」と案内するなど、活用の幅を広げる工夫をしています。

今後もオンラインとリアルをつなぎ、学びを深める一つの手段として、Udemy講座の案内と併せた受講者への発信を加速させていきます。

恵那市の未来をつくる人材を育てたい!「恵那未来キャンパス」とは

後藤:恵那市では、かねてより18~22歳までの若年世代が市外へ出ることが課題で、まちの活力低下や企業の人材不足などの大きな要因でした。
その解決に向けて、2021年度に市内の産業界をはじめとする有識者の皆さんと教育関係者で、検討委員会を立ち上げました。

若者を対象としたアンケートや大学への聞き取り調査を行い、実証実験も交えながら検討を重ね、恵那市の未来をつくる人材を育てるための学びの場として「恵那未来キャンパス構想」を策定しました。

この構想は若い世代が恵那市に戻って地元へ定着し、雇用拡大することを目的としており、若い世代と地域とを繋ぎ、様々なスキルや経験が得られる学びの場を創出することを目指しています。

若者だけで取り組むのではなく、地元の企業や大学とともに作り上げることで専門的かつ具体的な解決に繋がり、さらに地域との結びつきが深まります。
将来的には「恵那未来キャンパス」が地域の好循環の原動力になることも期待しています。

恵那未来キャンパスの概要

企業との連携を通して学生や若者に地域の魅力を発信する

後藤:検討委員会では、どの企業にいても役立つデジタルスキルの習得が重要だという話が出ました。
地元企業の成長には、やはり若手のスキルアップは欠かせません。

また、まだ若い人たちが知らない魅力的な企業は恵那市にもたくさんあります。
そういった企業の良さを発掘して発信するために、商工会議所や青年会議所に声をかけ、積極的に関わっていただけるように動いています。

2021年度から2022年度にかけては、実証実験や様々な講座の開催で高校生・大学生・社会人の学びを推進してきました。
そして2023年3月には、Udemyとランサーズを活用し、「“学ぶ”と“稼ぐ”をつなぐ教育プログラム」を実施します。
これは未経験でもフリーランスで稼ぐ力を身につける実践講座です。こうした取り組みを通して、幅広い学びの創出を図ることを考えています。

若い世代に選ばれる地域づくりをめざして

後藤:恵那市民ICTスキル向上事業」の受講者の中でも印象的だったのは、育休中の女性が学んでいらっしゃったことです。
「職場復帰が近づいているのでUdemyでスキルを高めたい」という話をしていました。

育休後の職場復帰の支援は、さらなる女性活躍推進につながりますし、若い世代の職場定着にも良い影響があります。
お子さんが小さいと外に学びに行くのは難しいですが、オンライン講座なら自宅で学べますよね。
次年度以降はUdemyを職場復帰前の方々にPRすることも視野に入れ、より幅広い人たちに学んでいただけるよう取り組みを広げたいと思います。

小林:「恵那市民ICTスキル向上事業」や「恵那未来キャンパス」はスタートしたばかりで、まだまだ課題はあります。
2つの事業をうまく連携しながら、一つひとつ課題に着手して多くの方が学べる施策を実施したいと思います。

受講者同士の交流として、Udemyで学んでいる内容や、自分の仕事と将来について話し合える場はぜひ設けたいです。
今後はオープンチャットの活用や、バーチャル空間での交流なども視野に入れながら検討を進めたいと思います。
そして地元の学生や若手社会人がしっかりスキルを身につけ、恵那市でやりがいある仕事に就き定着することで、地域の活性化を図っていきます。