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【子どものこと】がんばった

きのう、わが家ですき焼き大会をした。
ぼくがすき焼きを食べるのは20年ぶりのこと。

ぼくには自閉症の息子がいて
どんなにおなかがすいていてもきらいなものは食べない。
野菜はほとんど受けつけないから
すき焼きなんかしても食べるはずはないだろうと
ずいぶん長いあいだ作る気にもならなかった。

それがやっぱりやろうと思い立ったのは
娘が大学に合格したお祝いに
なにかをしようと思ったからだ。
そのタイミングで息子に
「すき焼きなんて見たことない」と言われた。

いやいやきみのせいで……と思わなくもなかったが
それならば、と相なった次第。

娘が大学に合格したのは12月のことだったが
いろいろと忙しく、お祝いは今になった。
それにぼくは、子どもがなにかを達成したときに
なにかを「買ってあげる」というのが苦手だ。

テストでいい点をとった、試験に合格した。
だからなにかを買ってあげる、大人が大騒ぎをする。
それって、子どもが味わうべき喜びを
大人が、親が横取りしているのではないだろうか
と思ってしまうのだ。

ぼくも合格祝いにいろいろと買ってもらったことがあるけれど
あれは使っているのかだとか
買ってやったのだから少し使わせろだとか
あまりうれしくないこともあった。

合格したのは…親のサポートもあるのだろうけれども。
たしかに少しは手伝いはしたが
ぼくは、いちばんがんばったのは娘だと思っている。
こういうふうに言葉にすると
なにを当たり前なことを、という雰囲気にならないでもないが
娘はほんとうにがんばったのだ。

小学生のころに小児がんが判明し
再発もして、足かけ2年以上も入院している。
学校からは、がんだから勉強はしなくていいという対応をされて
それでもひとりで、病院の人たちに支えられて
こつこつと勉強を続けてきた。

理不尽なこともいろいろあって
ぼくも学校とたくさん話し合ってきた。
たしかにがんばりは、した。
でもそれは、娘のために大人として学校と交渉できる人間が
ぼくしかいなかったからだ。

がんばったのは、娘である。

そのよろこびを横取りするようなことはしまい。
そう思って、娘の前では控えめにしている。
でもやっぱりうれしいので
SNSで騒いだり、してしまうのだけど。

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