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【雑感】さくらねこ

きのう、散歩の途中で猫に会った。

やけに立派な体格の、眼光鋭い猫だった。

ぼくは猫を見ると思わず「ニャァ」と声をかけてしまうのだけど
(自慢ではないが猫の鳴きまねはうまい)
わりと高い確率で返事をしてもらえる。

その猫もすぐに「ニャー」と返事をして近づいてきて
足もとに身をすり寄せてきた。

こういうすぐに寄ってくる猫というのは
自分に自信があるのだろう。
どんくさい人間が手を出してきたところで
つかまったりなんかしねーよ、みたいな。

その猫も、なんかくれるんだろ的な視線をぼくに向けていたが
なにも持っていないらしいとわかると
あっさりと背を向けて去っていった。

後ろ姿には王者の風格が漂っていて
あまりのカッコ良さに思わず写真を撮ったのだけれど
あとでよく写真をてみたら、さくらねこだった。

さくらねこというのは
不妊手術をほどこされた野良猫のことだ。

行政施設での殺処分を減らすために
全国各地のボランティアが
野良猫をつかまえて去勢・不妊を受けさせ
手術済みの印として
耳にV字のカットを入れて
もといた場所に放す。
もちろん術後のケアもしている。

どうりで、毛並みがいいし
人慣れしているわけだ、と思った。
手術を受けが猫がみんな
すんなりと人になつくわけではないのだろうけれど。

なんだかうれしくなったのは
ぼくの住む地域にも
人知れず、猫のために活動している人が
いたりするのだな、と思ったからだ。

そしてぼくの最初の印象
つまり、この猫は自分が強いと感じているから
自分に自信があるのだろうというのは
たぶん間違っている、と思った。

あの猫はきっと
近所に住んでいるだれかから
とっても大事にされているのだ。

名前も知らない人…のような気がするけれど
実はよく知っている人かもしれない。

よくわからないけれど
きっと毎日、そっと餌をあげたりしている人がいて
そのおかげでぼくはきのう
あの猫とちょっとだけ触れあって
なんだかうれしい気持ちになったのだ。

探しだしてお礼なんか言ったら
走って逃げてしまう人かもしれない。
ぼくもどちらかというと
そういうタイプだ。

だからこっそりここで言っておこうと思う。

ありがとう



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