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大阪市をウォッチしよう!! 15 「一旦立ち止まれ、万博・カジノ」

 万博では、夢洲特有の問題が噴出している。大きな問題点として、夢洲で建設工事を行うことがある。夢洲は建築残土や浚渫土砂、産業廃棄物などで埋め立てた土地だ。中には危険とされる物質が埋められており、万博会場の隣接する第1区と呼ばれているエリアは、いま現在に立ち入りが禁止されている。
 万博は、1区と2区を使って開催される予定となっている。1区は、廃棄物処分場としてついこの前まで利用されており、当初大阪市の環境局や港湾局からは、1区は使用しないという回答を得ていた。ところが、用地が足りないということで、駐車場やオープニングセレモニーのために1区を使用するように変更されている。十分な調査もせず、博覧会協会が変更をしている。駐車場の予定地は、現在PCBを詰めた袋が山積みされている。しかし、50cmの盛土をするので、健康面や安全面で問題はないとして、進めている。たった50cmで安全が確保できるのか? また、埋立地特有の土壌で大雨が降った場合のリスクなど、博覧会協会が十分に認識して会場用地としたのかなど、問題だ。
 もう一つのリスクは、建設工期が短くなることによって、労働基準法に反するような突貫工事が行われ、過労死で労働者が亡くなったりしないのか、炎天下の夢洲で工事をすることは大丈夫なのか。汚染物質に囲まれたところで長時間作業することの危険性など、人命に対する危険性を孕むのではないかと危惧する。
 2024年問題に関しては、万博工事では、建設労働者とトラック輸送の労働者の2つが重なっている上に、夢洲特有の問題として、地中に埋まっている危険な汚染物質を掘り起こすので労働者の健康被害問題がある。しかし、建設工期の問題をはじめ時間がない、ということだけが強調され、そこで働く人たちのことを考慮せずに議論や計画が進められていることに危惧を感じる。
 また、夢洲にはアクセスが2つしかない、というのが決定的な問題になる。これは開催中だけでなく、工事車両の問題なども含まれる。実際会期がはじまるとなる25年春からは、IRカジノの工事も開始する予定となっており、このことについても「調整できる」というような甘い見通しを立てて計画が進めている。ルートの一つは咲洲と夢洲を繋いでいるトンネルを使った道路輸送と地下鉄輸送。もう一つは、北側の舞洲と夢洲を繋ぐ夢舞大橋の道路輸送。地下鉄は現在工事中で、トンネルについては、現在物流の大型トラックで一日中渋滞が続いている状態で、ここに建設車両が重なるわけで、物流の問題として以前から指摘されてきた。
 現在、大型コンテナ船が入港できる唯一のコンテナターミナルである夢洲4区。万博、IRの誘致により、本来コンテナヤードとして拡張する予定がなくなった。そして今後7~8年間、車輌の渋滞により物流拠点として機能不全に陥ると、神戸港への転換が起きるのではないかといわれている。大阪の成長にとって必要なのは物流なので、それを麻痺させて何が成長なのか。
 こうしたことは以前から指摘してきたことなのに、すべて楽観論で計画は進められている。一旦立ち止まって、万博について精査、点検することが大事であり、このまま進めれば、のちのち負担やリスクを残すのではないか。

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