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公営ギャンブルとIRカジノ 02 「公営ギャンブルという文化」

阪急園田駅―園田競馬場ペデストリアンデッキ計画案

 公営ギャンブルの昨今についてもう少しお話しておきましょう。公営ギャンブル全盛期の園田競馬には人が溢れていました。余りの人の多さに阪急園田駅に競馬場が満員で入れませんという案内が出たほどです。
そこで検討されたのは、阪急園田駅から園田競馬場までの約1.4kmを繋ぐ専用歩道橋(ペデストリアンデッキ)です。来場者を近隣住民と接触させない目的もあったようですが、さすがに実現には至りませんでした。

時を経て様変わりした公営ギャンブル

 そんな園田競馬場も、今では当時のように数万人も詰め掛ける施設ではなくなり、一日平均1500人程度の来場者に留まっています。ですので、当時の広さ優先、収容力優先だった競馬場も、現在は来場者に合わせた、小じんまりした施設になっています。
 競馬場だけでなく、すべての公営ギャンブル場がこのようなダウンサイジングのリニューアル工事を行っています。このようにギャンブル場がキレイで快適な施設になっているのは来場者のマナーが向上したことが主要因です。
 現在の公営ギャンブル場には、女性の来場者も増えていますし、若い人たちも多数来場しています。これは大阪の西成地区(西成区の一部の地域であり西成区すべてではありません)にも似ているかもしれません。

様変わりしている西成地区

 当時の西成地区といいますと、東京の山谷と同じく、古くは日雇い労働者が集まる寄せ場(職安)のあった場所で、公営ギャンブル場と同じような、マナー意識の低い人たちが集まっていました。
 そのような場所も、時代を経て、観光客や若者たちが集まるようになった事により、街は少しずつきれいに整備され、そこに住んでいた人たちの意識も変化する事になりました。
 逆になんでもキレイになってしまうことは、当時のままの意識の人には住みにくくなってしまいますが、それも時代の流れかもしれません。
 公営ギャンブルに嫌悪感を持っている方と同じくらい、未だに西成地区は怖いと思っている方もおられると思いますが、最近の西成地区に行ってない大阪市民の幻想というくらい様変わりしています。

未だ残る格付

 公営ギャンブルの格(ヒエラルキー)についてですが、中央競馬のダービーや有馬記念の馬券を買ったと言っても誰も何も思わない世情となりましたよね。
 しかし大井競馬の東京ダービーの馬券を買ったとか、競輪のグランプリの車券を買ったとかと言うと、「こいつギャンブル依存症か?」といったような、少し人の見る目が変わる状況は未だあるかもしれません。
 そのようにギャンブルの種類によっても世間の認知度による差があるのも事実です。
 確かに、中央競馬とは異なり、以前の競輪場では、子どもには聞かせられないようなヤジや怒号が飛び交っていました。ですが今ではあまりに激しいヤジを発する人は出入り禁止措置になります。
 場内で子ども向けイベントも行われていますので、激しいヤジはおろか、マナーの悪い行為についても違和感があるようになってきていると感じます。

大衆文化としての公営ギャンブル

 ただ、個人的には、なんでもきれいに整える、マナーを強要してしまうのではなく、すこしはみ出た、公営ギャンブル場特有の文化や歴史を楽しんでもよいのではないかと感じています。あまりにも全てがきれいごとでまとめられて、息苦しい世の中になってしまっている中で、受容や許容も必要なのではないかと思っています。

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