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進化する自治を構想する 09「地方と都市の過疎化」

進化する自治はどこからはじまるか

 伴さんの提唱するOLA革命では、どこまでも個人による意識改革であったり、生活環境を見直したり、あるいは現在の社会環境を改善していく上で、個人や家族がどのような考え、ある意味「方針」を持つ必要があるのではないか、という問いです。
 一方、OLA革命という視点でも、マンション自治というアプローチであっても、それぞれは「個」であったり、点と点という状態であっても、それぞれがこれまでとは違う「新たな自治意識」を持つことが重要で、そうした「個」の意識や行動が広がり、どこかで連帯していくことで、「進化する自治」が表層に現れてくるのではないでしょうか。
 どのようなアプローチであっても、現在の地域環境の中で、どのようなくらし方や、地域とのかかわりを刷新できるか、ということが重要なのだと思います。

資本主義の3ステップ

 伴さんは、ご自分の年齢と、昭和20年というご自身の生まれた年を起点として、日本の社会環境の文脈を3つのページ(3つの章という考え方)に分類されていました。明治維新(1868)から太平洋戦争敗戦(1945)までと、敗戦(1945)から現在(2023)まで、そして現在(2023)から近未来(2100)。起点となる出来事の前後も含めると、およそ78年という単位で3つの章が出来上がる。
 西洋の近代資本主義や機械化産業が導入されて以降、軍拡と帝国主義で覆われていた第1章。またエネルギー革命とコンピュータやITによって、時間と空間を超えて世界がより身近になり、地球規模で環境が変貌した第2章。この2つの章は何れもで自由経済が行きつくところまで行き、格差を広げ、そしてそのあり方に終止符を打った、とも言えます。
 第3章に移る前、あるいは始まる前に、われわれは前の次代を総括しなければならない、伝えておかなければならない、そうしなければ進めない、というのが伴さんの今の心境ということでした。

自然と折り合わない都市環境

 くらしの中での気化熱の利用や、自然環境を利用した暮らし方という、従来の日本の、あるいは地域ごとの暮らし方、自然との折り合いをつけたくらしがあり、先人の知恵でもあった。しかし、人口飽和の都市環境において、自然と折り合いをつけるくらしをするための「広さ」や距離感というものは確保できなくなっていきます。 都市化の中での生活は、外部と内部を切り離した環境をつくらざるを得なくなってきており、その密度が人と人、地域間の距離感が取れなくしている。それが、現在のようなくらし方に行きついているといえます。そうなると、地域コミュニティも変わらざるを得なくなってきている。地域コミュニティもスクラップ&ビルドで変えていかないといけない時代に入った。地方でさえ、そうした都市化が進み、そこに人口減という要素が加わり、地方では過疎化が言われている。一方で都市部でもコミュニティの断絶によるある種の過疎化が現れてきている。
 このような社会環境の下では、自治、くらしをどのように見直すか、また見直さなければ先に進めないのではないか。

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