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進化する自治を構想する 11「住民の生活を守る有事計画を」

戦時災害援護法を掲げる意味

 今週は、矢野宏さんの大阪空襲訴訟の話でした。重要かなと思ったのは、戦時災害援護法の制定を求める運動が起こっていた。国会議員もそれに賛同して、議員連盟というかたちで動いていた。単に空襲被害を補償をしろということだけではなく、戦争をする・しないという時、背後にいる多くの国民のことを考えた時に、果たして戦争に足を突っ込んでいいのか、と考える時の一つの歯止めとして、この戦時災害援護法が有効に働くのではないか、というお話でした。この視点は重要と思います。
 日本は、憲法第9条をもって戦争をしない、という平和憲法を持っているわけですが、もう一方でこうした「戦時災害援護法」のようなかたちで、戦時災害に遭った国民すべてに補償しますよ、というの法律ががあれば、国家予算レベルで非常に大きな負担になるわけですよ。憲法で規定するだけでなく、実質的な法律で国を縛ることで、戦争に踏み出そうということの歯止めになるのではないか、と思います。

資源だけでなく食糧も備えのない日本

 戦争というと、すぐに隣国の話が出てきて、次は軍事力の話になって、自衛隊どうするのか、海外派兵とか、先制攻撃だという話になる。先制攻撃だという話になります。例えば、シェルターもないし、食料自給率も大したことない。本気でまわりの敵対する国がまず経済的にいろいろなものを断って、ということから始まる。バックボーンが全然なしで、どうするのかと。
 太平洋戦争時でも、都市部から飢えていくわけですよ。食べ物が無くなっていき、疎開する、田舎に買出しに行く、というのが実際起こっていた。まず食料がなくなっていくわけです。
東京都はまだけっこう農業も盛んにやっていると思うけれども、大阪の場合、農地も少ない。特に大阪市内は非常に農地が少ないし、専業農家でやっておられるところもわずかです。
 まず、食料が無くなるということをどう考えるのか。都市部で食料が無くなるという意識を、住民みんなで考えないといけないのではないでしょうか。
 ウクライナの戦争でも、ロシアは、最初3週間程度で終わらせる、あっという間に首都を制圧すると思っていたところが、思惑はくるっている。台湾有事などいろいろ言われているけれども、日本は、石油備蓄が半年分があるのがわかる程度。軍事的にも弾薬が不足しているという話があったけれども、その前に食料どうする?ということですよ。
 例えば、中国からの農産物や畜産物の輸入が止まったらどうするのか。止めますよ、きっと。核汚染された処理水を海に流したら、水産物の輸入を全面的に止めるわけです。兵糧攻めって戦国時代から一番有効と言われている。そういうことを含めて、住民の生活をどう考えるのか。そういうことを考えることが、地方自治の重要な点かなと思います。

戦いを言う前に「有事」を想定した生活計画の策定

 憲法第9条があって、戦争はできないし、戦争をやらないという国において、シミュレーションとして、想像を働かせて、戦争が起こった時どうするのか、と。戦争の被害を照らし合わせてみた時に、その権利(戦時災害補償)を認めさせるということが最大の戦争抑止力になる。
 福島の原発をはじめとした日本の原発。事故は起こらないという前提ですべてが決まっていて、何の計画していなかった。例えば、何らかの有事が起こったら、それをどう対処するのか。国レベルでなくても、地方レベルでも計画は、シミュレーションをして持っておくということは重要です。日頃からの備えは、そういうところにもあるのかなと思います。


矢野宏さんの「平和学習」の大阪大空襲のお話は今回で終わりです。またテーマを変えて、ぜひ出演していただきたいと思います。

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