大都市における住民自治や行政参加の未来に希望はあるか?
2023.06.19
UCOはリニューアルしました。「自治」をコンセプトとしてきたUCOがリニューアルのアピールコンテンツの一つが、多方面の専門家を執筆&スピーカーとして迎える自治を多面的にとらえ、紹介していく「レポート」です。
21世紀を迎え、すでに四半世紀が経たんとしている現在、日本において民主主義は市民の血肉となったと言える状況にはないと感じています。特に政令指定都市である大都市においては。
「自治」の定義は、法的な自治もあれば、振興町会などの組織としての自治や地域内での狭義での自治などさまざまです。では「住民自治」という場合、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。例えば、「住民自治」をその地域に暮らす人々のさまざまな社会的環境と行政の行なう事業やサービスとの関係としてとらえてみると、その範囲の広さと、市民と行政との結びつきの多様さ、そして日頃からあまりにも意識しなさすぎるのではないか、ということに気づかされます。
知らないうちに、自分の住むところが都市計画の調整区域に指定され、道路拡張のため立ち退きの対象になっていたとか、社会保険料の費用負担が増えることが通知が来てから知った、あるいは、あれほど黒字となっていると言っていた地下鉄料金が、安全装置設置のために値上げされるとか。もう決まってしまったからとか、反対してもどうにもならないと、初めから諦めてしまっていることや、諦めている人が多いけれど、こうした環境の変化は、行政が決める前に住民、市民としてもっと行政にかかわることで、納得できるまで突き詰めて議論すべきことだって多いです。
大都市の場合、人口が多く、行政の規模が大きいため、住民と行政との接点があまり見えてこず、まだ行政と議会の間で何が議論され、どういう条例が法的に決まって行っているのかがある意味可視化されていない状態だと思います。地方の小さな市や町で、住民と一体となって進められているような住民参加型の行政があることすら知らない人が多いです。
住民にとって暮らしやすい環境や、住みよいまちづくりは、決して特定の優秀で優良なリーダーによってなされているわけではなく、多くの住民の積極的な行政への参加や、行政も市民両者が真摯に地域に向き合うことで生まれていることは多いです。
さて、大阪の住民自治です。これは大阪市や堺市のような政令指定都市と、他の一般市とでは違ってきますし、それぞれの地域性や地理的な環境などによっても異なってくるでしょう。しかし、21世紀以降の20数年間で、大阪全体で行政と市民・住民との距離は大きく開いてしまい、行政に関心さえ持たない人が多く感じるようになってきました。
UCOは、提案します。住民自治の概念を新しく定義づけ、20世紀とは違う、市民が主体となり、行政が市民を支援しより良い地域環境をつくっていくような「進化する自治」のあり方を模索していこう、と。
これから始まる「進化する自治を構想する」レポートをぜひお楽しみください。