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進化する自治を構想する 21「市民と行政の対等な関係づくり」

成熟社会の市民像

 非営利組織、一般的な日本のNPO団体について、社会的に影響を与えるような存在になりえていない、という里山太郎さんの意見。
 uco共同代表の山口がNPOを始めた時、ひな型としたのが、マーガレット・サッチャー時代のイギリスの、あるNPO。当時のイギリス政府が、市中の公園管理は、地域で面倒を見てほしい、と。その時に、植樹や、遊具管理、施設管理を含めて地域で実施しようとした団体。税金で、民間事業者に委託し、整備するのではなく、地域に存在する、植木職や土木業の人や教師などの力を合わせて、なるべくお金をかけないで、いかに楽しく、みんなの公園とするようにするといった形態があった。
 公園のようなパブリックな空間、市民にとっての共有資産については、行政が行政としての考え方で管理するのではなく、市民が自ら管理し、公園づくりを行うようにする。税金の投入は必要だとしても、現在の指定管理者制度のような形ではなく、より地域に密着したような方法を、市民自らが、市民の考えと力によって行う方向にかじを切れるか、あるいは意識転換が行なえるか、ということではないか。

市民と行政の対等な関係づくりに向けて

 NPOが、行政の下請けになっているような状況では、いい形にはなりえない。通常の指定管理者制度の場合、常識的には考えられないような低額で、行政が依頼する。もともと、行政が行なえない金額しかないので、NPOに依頼するという、ある種の悪循環が起きている。
 公園の維持管理を行えるだけの予算がない、市民団体は丸投げされても困る(できる能力や意識の問題)、では予算のある範囲で、できるるだけ効率のいい方法で行う、ということが進められているのが現状ではないか。
 いま、行政の持つ権限を、奪い取るぐらいの市民側の力や、意識が醸成されない限り、成熟した社会での、行政と市民との対等な関係は作れないのではないか。行政主導の自治ではなく、市民側からの発想や計画をもって、市民と行政が対等な立場で話せる場づくりをする「進化する自治」が必要なのではないか。

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