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公営ギャンブルとIRカジノ

 UCOの山口さんはコミュニティを破壊すると言われるIRカジノには反対の立場ですが、実際に公営ギャンブルを楽しんでいる方の話をききたいということで、私の経験をお話します。
 これから3回にわたって、公営ギャンブルの経緯、そしてIRカジノの可能性と問題点について触れたいと思います。

公営ギャンブルとは

 まず、公営ギャンブルとは、中央競馬と、地方競馬、競艇、競輪、オートレースがありますが、中央競馬のみ、国が直轄していて、農林水産省の管轄で行われています。
 その他の競艇や競輪は、地方自治体が主催をして、市や県の自治体の財政に寄与するための施設となっています。

ギャンブル依存症を生む迷惑施設+収益施設

 統計を取ったわけではありませんが、当時、公営ギャンブルをやっていた方の多くは、お金の使い方や時間の使い方を知らない大人であったと思っています。
現在でもギャンブル依存症問題はありますが、当時の方が酷かったのではないかと感じています。カジノを感情的に反対する方は、その当時の印象が元になっていると思います。
 当時のギャンブル場を利用する客は、マナーも何もなく、ゴミはゴミ箱に捨てない、物陰で立ちションをするといった悪行を繰り返していました。
また、ギャンブル場の近くでも同様に近隣住民への迷惑行為を日常的に行っていましたように、とても普通に生活している人とは相容れない性質の人が多かったと思います。そういう経緯もあり、公営ギャンブル場は地域の迷惑施設の代表格であり地元の反対運動も根強かったのです。
 一方、当時のギャンブル場はすごく儲かっていて、財政にも多大に寄与していましたので、自治体としてはなんとしても存続させたかったのです。ですので、地元対策費として地域にお金を使っていましたし、地域の住民を優先的にギャンブル場に就労させる便宜も図っていました。

春木競馬場廃止の衝撃

 そんな中、大阪府の知事が革新系の知事に変わったときに、大事件が起こりました。
 公営ギャンブルの中でも隆盛を極めていて、府の財政にも著しく寄与していた府営の春木競馬場を廃止することを決定したのです。ただ、先ほど述べた通り、廃止論が出るくらいにギャンブル依存症の人が多かったのも事実でした。
 大阪府が貧困世帯に対して金銭的な補助をしても、そのお金をギャンブル場が吸い上げてしまう悪循環が起こります。その大元のギャンブル場を地方自治体が率先して運営していることはどうなのかという議論になり、1974年を最後に春木競馬は廃止となったわけです。

公営ギャンブルの衰退

 そんな公営ギャンブルでしたが、2000年ごろから地方競馬場や競輪場がどんどん廃止されていきました。理由は極めてシンプルで、地域の反対運動等ではなく、ファンが来なくなって、売上が減少して赤字経営に陥ったからです。儲からない公営ギャンブルはただの迷惑施設でしかなく、その存続は意味をなさなくなったわけです。

※2001年から2013年までに9つの地方競馬場が廃止。
(中津(大分)、三条(新潟)、益田(島根)、上山(山形)、足利(栃木)、高崎(群馬)、宇都宮(栃木)、福山(広島))

レジャー化した公営ギャンブル

 そんな隆盛期から衰退期を体験して生き残っている公営ギャンブルは大きく変わらざるを得なかったのではないかと感じています。
 現在も、賭け事としてのギャンブルの本質は何ひとつ変わりませんが、現在では、しくみの改革が進み、スポーツやショーのようにレジャーとして成立していると考えています。

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