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進化する自治を構想する 24「市民と行政が向き合う場」

2004年新しい年を迎えました。
本年もucoをよろしくお願いいたします。

能登半島を含む一帯での地震により、多くの方が被災されました。被災された方、ご親族、ご関係者のみなさまには、心より、お見舞い申し上げます。同時に、一日も早い復興をお祈りしております。

ucoでは、この半年間「進化する自治を構想する」というテーマのもとに、さまざまなレポートや記事を掲載してきました。
 市民の「自治参加」という面で、年初に2つのできごとがありました。この二つがある意味対照的であると共に、行政に対するアプローチの違いが際立っていると言えます。

一つは、夢洲IRカジノにおいて、事業者「大阪IR株式会社」が、昨年10月に環境アセスメントの準備書を大阪市に提出し、大阪市環境局が公開しました。この準備書に対する市民の意見を直接発言する「公聴会」が行われました。公聴会は、市民からの要請があれば、大阪市が開催することが義務付けられたもので、今回は12人の市民が意見表明しました。

また一つは、公園の樹木伐採が続いている中で、扇町公園のケヤキが1月9日に伐採されることになっていました。「大阪市の街路樹撤去を考える会」が大阪市建設局との話し合いを続ける中で、なぜ伐採するのかを市民に説明する機会を設けることができ、1月5日に現場の扇町公園に、市民30人以上が集まって大阪市の話し合うということがありました。

公聴会は、すでに自治法や条例などで決められた手続きに則ったもので、ある意味公的に場と言えます。また、公園の樹木伐採については、市民が直接担当部局との話し合いを持つ中で、行政が実施する事業について市民に直接説明する場をつくるという、ある意味イレギュラーではあるが、行政の責任を果たす場が作られたところに、大きな違いがあります。

夢洲IRカジノの環境アセスメントに対して、市民からの意見は大阪市には届くわけですが、それが大阪市の意見(市長意見)としてどこまでとり入れられるかはわからないわけです。手続き上、すぐな答えが出るわけでもなく、今後の動きを静観する状態です。一方で、公園樹木の伐採については、結果的に担当部局は市民が納得できる説明をすることができず、持ち帰り、改めて説明会を開くことになったようです。9日の伐採は「保留」となりましたが、こちらも楽観できる状況ではありません。

この二つの出来事は、示唆的で、しくみがあれば市民からの意見や要望が届くかと言えば、そういうわけでもない。一方で、市民が様ざまな事業やサービスに対して思っている疑問や思いについて、直接行政に投げかけない限り、担当者は疑問にも思わず、市民の思いを受け止めることもないのがいま現在のあり方です。
進化する自治というもののあり方として、こうした市民の疑問を行政に直接話す機会や場を持つこと。あるいは、ぎょをう製側も事業を進めるにあたっては、市民からの要望があれば、真摯に向き合い、説明できるだけの準備をしておくことが求められると思います。今回の「大阪市の街路樹撤去を考える会」のアクションは、一つの方向性でもあると思います。


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