見出し画像

大阪市をウォッチしよう!! 05 「いちだんと混迷を深める大阪・関西万博」

 18日午前、咲洲コスモタワー43階の万博協会前を通ったが、何だか閑散としていた。大阪・関西万博開催まで635日と表示されていた。


日本国際博覧会協会事務局前
大阪・関西万博開催まで635日のカウントダウン表示

 14日夕方のNHK「ホット関西」で、海外パビリオンの建設申請ゼロを伝えていた。その後の全国ニュースでも取り上げられた。こんな状況で、2025年3月開催予定の万博準備は間に合うのかが話題になっている。読売新聞の全国世論調査でも万博への関心がかなり低いなかで、万博の機運醸成に水を差す事態だ。

 万博協会と国、大阪府市との溝も目立ってきた。毎日新聞14日朝刊のクローズアップが、万博窮余の「建設代行」「政府と溝 公費負担増も」などと伝えている。

 参加国が費用を負担して自分たちで建設する「タイプA」の参加国に対し、運営主体の万博協会が、業者への発注などを日本側が担う建設代行を提案したのは、早期着工を促す狙いがある。だが、パビリオンの魅力低下や公費負担増になりかねないとも指摘される建設代行について、政府は「聞いていない」と不快感を示しており、協会との溝も表面化している。関係者によると、万博協会は7日、参加国向けのオンライン会議で、建設業者への発注を業界側が担うなどする建設代行を提案したうえで、参加国に8月末までの回答を求めたという。一方、岡田直樹万博担当相は11日の記者会見で、建設代行について「タイプAパビリオンについては、参加国独自のデザインにより建設いただくことが望ましい」と述べ、否定的な考えを示した。


パビリオン建設のフロー図

 タイプAの国が独自にデザインした個性的なパビリオンは万博の「呼び物」になることが期待されている。だが、建設代行の場合、協会が建てた建物を利用する「タイプB」との差異があいまいになり、建物自体の魅力が低下する恐れがある。経済産業省の博覧会推進室は「全体として建設代行が主流になるような状況では駄目だ。参加国が『その方式でいいです』となってしまう」と話す。

 政府は現在、海外パビリオンの整備を進めるため、外交ルートを通じて参加国側に建設予算の増額を要請している。同室の担当者は「日本政府が予算増額を求めている一方で、協会が建設代行を提案したとしたら、相手国にも失礼だ。協会の提案が事実なら、大変遺憾だ」と話す。

 日本建設業連合会の宮本洋一会長が26日、海外パビリオンの建設準備が遅れている問題について、今後、万博から撤退する国が出れば、万博の開催延期を「考える必要がある」との認識を示した(産経新聞27日朝刊)。2025年万博がどうなるか。万国博覧会(国際博覧会)の意義が問われる事態だ。国や万博協会、大阪府・市の責任は重大である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?