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船頭多くして船山を登る

ジブリを見て感じたのは、宮さんのプロデュース力だ。

「船頭多くして船山に登る」と一つの船に船頭は二人入らないといわれる。
1つの船に船頭が何人もいたら、船が山に登っちゃうよ!
指示する人がいっぱいいると、間違った方向に進んでしまうという意味だ。

会社でもよくあることだ。特に多くの人がかかわるプロジェクトの現場では一人ひとりの判断が違うので、みんな勝手なことをいう。特に現場責任者以外の職場の上司が口を挟むとろくなことはない。
誰が最終決定権があるのか?方向性がまとまらないのだ。ちょっとしたことで変な雰囲気になる。

ジブリの現場ではどうか。今回の展示会では、映画の作成過程をひとつ一つ細部にわたり、生原稿まで展示している。

コピーライターの糸井さんとジブリの鈴木さんのやり取り、宮さんの直観と指示。すごいと思う。
最終的にはすべて宮さんの頭の中にあることを具体化したものだ。みゃさんの判断との共通認識があるからだ。

しかし、これはと思ったことは、あきらめず、宮さんに進言する。そして、決断する。

船頭はあくまで宮さん一人。
それぞれがいろんな意見を言うけれども、判断するのは1人。
だから意見は分かれても、きちんとまとまる。
船頭が一人だからだ。

しかし、会社ではどうだろう。なかなかうまくいかない。

最後は、部下が、言ってもしょうがないとあきらめてしまうことも多い。
逆に、部下の反対にあい、上司が決断を先送りしたり、止めてしまうことさえある。

戦術が難しかったから戦略をかえてしまう。これでは本末転倒である。

戦略とはやるかやらないか決めること。戦術は対応である。難しかったらやり方を変えればいいのである。だから対応。

広告の現場には、いろんな会社がかかわっていて、それぞれが自分の意見を持っている。船頭が多いのだ。
クライアント担当が船頭役をつとめて、まとめようとすると、「いや、こっちにすべきだ」なんて「君に任すよ」と船頭役を降りたはずの上司がしゃしゃり出て途中から仕切ったりする。そうなると現場はぐちゃぐちゃ。クライアントからもクレームが出る。担当もやる気を失う。

ジブリの現場は宮さんが最終決定する。当たり前だけど、誰が最終決定権を持つのか、会社でも、最初にこれを決めなければならない。船頭は誰なのか。プロジェクトメンバーに伝えなければならない。そして、最終責任は社長がとることをはっきり言っておくことだ。

船頭の役割は、積んだ人と荷物を安全に目的地まで運ぶこと。二人の船頭が、目的が同じでも経路や手段が違っていては、方向がバラバラでベクトルも異なると、みんなの力が分散され、いつまでたっても目的地にたどり着かないのだ。もちろん目的地が違う船頭は論外だ。船を下りてもらうしかない。この船頭を任せては、違う方向に行ってしまうからだ。
「言わなくてもわかっているだろう」と思うのは一番危ないのだ。
BOSSは1人!

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