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2020年に起きた天文学的大ニュースTOP5!

どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。


今回は2020年も終わるという事で、今年起きた天文学的な大ニュースをランキング形式で5つ紹介していきます!


ランキングは一応アンケートは取っていますが主観もかなり入っているので、予めそこはご了承ください!

第5位:金星大気にホスフィン検出

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Credit:ESO/M. Kornmesser & NASA/JPL/Caltech

第5位は、今年9月に発表された、なんと金星で生命の痕跡を発見したかもしれないという驚くべき大ニュースです。

金星と言えば平均温度460℃、大気圧が地球の90倍以上と太陽系内でも最も過酷な環境を持ったイメージがありますが、実はかなり前から金星の適温で圧力も高くない上空なら微生物が存在できるのではと考えられてはいました。

ですが実際に他の生命が存在しそうな候補天体を差し置いて金星の大気で生命の痕跡となり得る「ホスフィン」という物質が検出されたのは本当に驚きです。

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Credit:ESO/M. Kornmesser/L. Calçada& NASA/JPL/Caltech

ホスフィンは分子式PH3で表される、リン1つと水素3つが組み合わさってできた物質で、リン化水素とも呼ばれます。

このホスフィンは人間が吸うと死に至る強力な毒性を持ち、化学兵器として使われたこともある非常に危険な物質として知られています。

ではなぜこのホスフィンが生命の痕跡となる可能性があるのでしょうか?

実はホスフィンは、自然では酸素を必要としない嫌気性の微生物が生成することで知られているんですね!

地球上ではそれらの微生物が繁殖する沼地や、人間の腸内環境でもホスフィンが生成されるそうです。

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Credit:ESO/M. Kornmesser/L. Calçada

金星大気中でこれほどの濃度のホスフィンが検出されたことは金星の大気中に嫌気性の微生物が現在も活動し続けている可能性を示唆しているために、非常に大きなニュースになっていたというわけですね。

現在ではこのホスフィンの検出自体が間違いだったということを主張する論文が出されたりなどでこの発見自体本当に正しいのかどうか怪しい部分があるのでこの順位ですが、本当に大きな話題になっていたので5位としてます。

第4位:ブラックホールの新説登場

第4位は、今年の7月にブラックホールの構造にまつわる新説が発表されたニュースです。

新説によると、なんとブラックホールには事象の地平面も特異点も存在していないそうです!

これは実証されたわけではないですが、従来の常識を覆す考え方として非常に大きな注目を集めました。

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Credit: ESO, ESA/Hubble, M. Kornmesser/N. Bartmann

まず従来のブラックホールの構造は、中心にブラックホールの全質量が詰まった体積0の「特異点」があり、その周囲を囲うように、光すら抜け出せないほど重力が強い領域の境界である「事象の地平面」が存在しています。

この事象の地平面の内部からは光すら出てこれないので外から内部の様子は絶対にわかりませんし、特異点はもはや常識が通用しない極限の世界なので、いわばこれらについてはお手上げ状態だったわけです。

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ですが新説では、ブラックホールは他の普通の天体同様に球状になった高密度の天体(物質)として捉えることで、特異点や事象の地平面などブラックホール特有のお手上げ状態を見事に回避しているんですね!

この特異点も事象の地平面もないという考え方が本当に正しければ、ブラックホール情報パラドックス問題など様々な未解決問題も解決できると考えられています。

この新説の考え方はかなり深くて難しいので、簡単に概要だけ話しました。

より詳しい内容については、以下の動画をご覧ください!


第3位:ネオワイズ彗星接近騒動

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Credit:NASA

第3位は、今年7月にネオワイズ彗星が接近し、日本からでも1等星以上の明るさで見ることができ、大きな話題を呼んだニュースです。

C/2020 F3、通称ネオワイズ彗星と呼ばれている彗星は、7月3日に公転軌道で太陽に最も近い近日点を通過しました。

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彗星は太陽に近付くほど高熱に晒されて自身を構成する氷が蒸発し、多くの太陽光を反射するようになります。

このネオワイズ彗星は近日点がかなり太陽に近く、当初の予想では3等星の明るさにまで増光すると予想されていました。

3等星は肉眼でも十分に見える明るさなので、注目を集めるのもわかります。

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Credit:Wikimedia commons

結果として3等級という予想を大幅に上回る0等級の明るさにまで増光しました!

0等級は1等星の中でもそれなりに明るい方に位置する、非常に明るい天体です。

このように周囲がまだ明るい状態でも十分に彗星本体と、その尾が肉眼でも見れるほどの明るさで輝いています!

日本を含む世界中で大ニュースとなっていたので、この順位になっています。

第2位:木星と土星の約800年ぶりの接近

第2位は、つい先日話題になっていた木星と土星の800年ぶりの大接近です。

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太陽系の惑星は全て太陽の周りを公転していますが、その周期は遠くにある惑星ほど長く、地球が1年なのに対し木星は約12年、土星は約30年となります。

そして太陽や地球から見た時、木星は360°÷12年=毎年30°ずつ、土星は360°÷30年=毎年12°ずつ公転軌道上で移動しているように見えます。

つまり両者は毎年30°-12°=18°ずつ離れて見えることになります。

毎年18°ずつ離れていくと、18°×20=360°なので、約20年経てば木星と土星の間隔はまた元通りになります。

なので木星と土星は約20年に1度、このように同じ方向に並ぶことになります。

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ですが先ほどは軌道を上から見下ろした際の話で、実際には惑星の軌道にはそれぞれ固有の傾きがあり、木星と土星が同じ方向に並ぶとは言っても高さに違いが出てしまいます。

そのため約20年に一度起こる接近時でも、地球から見た二つの惑星の近さは毎回異なってきます。

そして今年2020年の12月の21日から22日にかけて起こった木星と土星の接近では、地球からなんと過去800年間で最も近づいて見えていました!

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厳密には約400年前にも同等の接近がありましたが、当時はちょうど地球から見て木星と土星が太陽に近い方向にあったため、地球からは見えていなかったようです。

今回の最接近時の2つの惑星の見た目の距離はたったの0.1度で、肉眼だとほぼ重なって見えるほどでした。

日本からでも今月12月の21-22日の夕方頃に見えていて、非常に大きな話題を呼んでいました!

第1位:ベテルギウスが大減光

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Credit: AAVSO

そして今年最も話題になった天文学的ニュースは、オリオン座ベテルギウスの大減光です!

ベテルギウスは2019年末から今年2月下旬あたりまで急激な減光を続け、過去に類を見ないほどにまで暗くなりました。

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ベテルギウスのように質量が太陽の8倍以上重い大質量星は一生の最期に超新星爆発を起こしますし、ベテルギウスはそんな大質量星の末期段階にある赤色超巨星に分類されるため、爆発の兆候なのではと大騒ぎになっていました。

仮にベテルギウスが超新星爆発を起こした場合、ベテルギウスの明るさはなんと満月を超えるほどになると考えられています!

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Credit: AAVSO

一時はベテルギウスの明かるさは3分の1まで低下し、2等星の水準まで暗くなりましたが、急激にV字回復してその後は結局元の1等星の水準に戻っています!

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Credit: NASA, ESA, and E. Wheatley (STScI)

そして現在、ベテルギウスの減光の原因として最も有力視されているのは、ベテルギウス表面から放たれた巨大なプラズマがベテルギウスを長期に渡り覆い隠したとする説です。

2019年の9月から11月までの期間、ハッブル宇宙望遠鏡で紫外線でベテルギウスを観測していたところ、高温高密度のプラズマがベテルギウスの対流層から放たれる様子が観測されていたそうです。

プラズマは、温度が上がりすぎて原子内の原子核と電子が電離してしまった状態のガスを指します。

ベテルギウスの主成分である水素などが、あまりの高温でプラズマの状態になってしまっているわけです!

ベテルギウスの表面から放たれたプラズマは、徐々に冷えていき、星表面から数百万㎞も離れると固まって巨大な塵の雲が形成されると考えられます。

その後去年の12月からベテルギウスの南半球の減光が始まり、今年2月にかけて過去に類を見ないほどにまで減光して大きな話題となっていた、という流れです。

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そのことから、減光の数か月前から観測されていたプラズマ放出によって巨大な塵の雲が形成され、それがベテルギウスの南半球の前を通過することで大規模な減光が観測された、というのが新説の内容です!

その後の研究でベテルギウスはまだ寿命が10万年ほど残っているという発表もあったり、結局爆発が見られるのはまだまだ先になりそうです。

とはいえ人類に大きな話題をもたらしてくれたこの話題が第1位となります!

工学の分野なので今回のランキングには含んでいませんが、はやぶさ2のサンプルリターンミッションが大成功に終わったのも非常に大きな話題を呼んでいました!

はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウのサンプルは当初の予定より非常に量が豊富で、今後の研究に大いに生かされることになると思います。

はやぶさ2の働きによって今後多くの新発見がもたらされる事に期待しましょう!

今年はコロナの影響で世界的な大混乱があったのにも関わらず多くの天文学的新発見がありました。

来年もワクワクするニュースが出てくるのが楽しみです!



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