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ときわ座映画上映会~味噌汁備忘録

前日、スナック美浜にてhalf TOMBIのお二人と初めてリハをしました。「練習場所難民」という話をしたら美浜のゆうこさんが快く、お店の始まる前に数時間なら、ということで場を提供してくださったのです。本当にありがたい。誰にでもというわけではないということなのでここへ書くのもいけないかもしれないけれど(読者も少ないことだし)感謝を記したいので。3時間みっちり、この秋冬に演奏する曲を全曲通すことができたのでようやく告知も安心してできるというものです。half TOMBI with cornet のトリオで10月18日(水)は野毛の旧バラ荘、11月25日(土)は二宮のe:n coffee、1月20日(土)は吉祥寺バオバブにて。そして最新情報として、カンちゃんsoloの「ひとりTOMBI」に12月17日(日)は私も参加することに。スナック美浜での忘年会的なライブが決まりました。

リハの余韻で前日の仕込みはほとんどできず、かといって今回はお味噌汁だけなのでそれほど早起きの必要もなく、朝6時に起床して先に譜面や楽器の準備。たとえ10分のミニライブでも、90分のライブでも、持ち物は同じ。楽器やマウスピース、譜面など忘れ物をすると大変なので、玄関にスタンバイ。音源を聴いて譜読みして。といっても今回用意した2曲は両方ともまだ一度もコルネットで吹いていない。1曲は前日のリハの前に書き下ろした新作で、もうひとつは最近ずっと気に入って50通りくらいの世界の様々なアーティストのアレンジを聴いただけ、たまたまフリーの譜面がダウンロードできたのでそれをプリントしただけという状態。でも、先日の打ち合わせ以来、私なりに様々に試行錯誤して考えて、ようやく選べた2曲なのでなんとかなるだろうと。譜面台を持っていくかどうか迷い、結局荷物の多さに負けて、卓上レシピ立てのみ持参することにした。

7時 茨城の伯父が毎シーズン送ってくれる切り干し大根30gを筒形タッパーに入れて水に漬ける。浦河の漁師・木下さんの昆布を贅沢に3枚、約60g、これはジップロックに入れて水を注ぐ。以前二宮のe:n coffeeさんで分けていただいた地元の椎茸栽培サークルのおいしい干し椎茸、ちびちびと使っていたがこの機会に全部水から煮出して、これもジップロックへ。以上3点が今回のベースとなる出汁。

スタッフ含め33名分のお味噌汁。ざっくりと計算。水4リットル、味噌400g、具2キロ おおよそ1椀につき200gというか200㏄相当。

水曜日に所沢のオギノエンファームさんから送っていただいた野菜のラインナップはモロヘイヤ、長葱、玉葱、じゃがいも、南瓜、茄子など。スーパーの規格品ではないので、なんとなくの感覚で素材ごとに量を決めて、下処理をしていく。

切り干し大根、昆布、干し椎茸、さらに野菜それぞれの出汁が加わるので濃厚なスープ、と思いきや、お客様の感想は「見た目の印象よりスッキリとした味噌汁」だそうです。

南瓜は大まかにカットしてグリルで焦げ目がつくまで焼いてから、皮の固いところだけ取り除いて細かく切った。約350g。
茄子は600g分、ヘタをとって小さなサイコロ状に切って胡麻油炒めに。
玉葱は800g 小~中サイズ8玉を皮を剥いて薄切りし、菜種油炒め。毎度この時点でカレーを作りたい衝動を抑えるのが大変。
じゃがいもは大きいの3つで500gあり、細切りしてから蒸すように炒めた。味見をしてとてもおいしかったので、じゃがいもでもう一品、おかずを作ることにした。時間配分を考えて、とりあえず大鍋に2袋分12個を水から茹ではじめた。塩?バター?味噌?・・・と考えながら台所を見渡して、去年『ニライカナイからの手紙』という映画を観て真似して仕込んだニンニク漬けを思い出し、久しぶりに味見してみる。以前より「食べられる」状態になっているけどまだまだ強烈。好きな人はいいけど泡盛だし、アルコールやニンニクが苦手な人にはそのままでは無理だと思い、細かく刻んで加熱してみる。黒糖だけで塩分がないので、塩少々と醤油を加えて煮立て、それをゆであがったじゃがいもと絡めてみたら、なかなかユニークな味になった。

そしてモロヘイヤは100gを洗って刻んでタッパーに詰めた。長葱は迷った末にtoo muchだと感じて置いていくことにした。

前々日にぬか床へ入れた胡瓜4本を取り出した際、1か月以上入ったままだった茄子1つに気づき、それも取り出してジップロックへ入れた。今回準備したのは以上。荷造りし、身支度をして10時半。集合時間の11時半にぎりぎり間に合った。

左、以前コスギエイゾウ監督にいただいた手ぬぐい、お世話になった高円寺のカフェぽれやぁれ常連の小関さんにいただいたシャツを着た私、右、ときわ座のタローさん。途中でやめるシャツ。偶然二人ともピンクでした。

移動直前まで料理していたので、ときわ座に着いて挨拶もそこそこに、「続き」をすることができた。用意していただいたカセットコンロに大鍋を載せ、えいぞう監督にお願いしたペットボトルの水4Lをスタンバイ(いきなり全部入れると温まるのに時間がかかるので、水は徐々に足していく)。出汁を温め、かためのものから具を入れて、煮込みながら仕上げていく。

今回の味噌は大きく分けて2種類。ひとつは先日、この日のために樽を開けた2020年1月末頃仕込んだ米味噌。エイゾウさん、お客さんとして駆けつけてくれたホカリさんと3人で私の実家で味噌仕込みした時のもの。パンデミックの最初期だった。オギノエンファームさんの青山在来と玄米麹、淡路島の塩を使い、吉野杉の木樽を兵庫県から仕入れて仕込んだ。木の樽は水分がしっかり抜けるので、ホーローや陶器、プラスティックで作った時と全然違う風味になった。樽はひとつしかないので3年に一度しか使えないけど、来年の1月はまた新たに仕込んでみるのが楽しみだ。

もうひとつは、実はひとつではなく、わが家で普段使っている味噌瓶から、いつの間にか数種類の味噌がブレンドされている味噌を持ってきた。豆味噌、米味噌、麦味噌、自家製味噌、グループで作った味噌、オギノエンファームさんから買っている味噌、市販の味噌など様々。切った昆布もところどころに入っている。400gが必要量だけど念のため、700g持って行って、加減しながら作り足すうち、600g近く使ったようだ。

開場前のひととき、手のあいた関係者にまず試食していただき、早めに見えたお客様にホリさんに声をかけていただいて、着席するとお味噌汁が出てくる不思議な映画上映会が始まった。そもそもは上映後の交流会で「つまんでいただく何か」というアイディアだったし、13時半開場、14時開演なのでお昼を済ませていらした方も多かったはずだけれど、お好きなタイミングで召し上がっていただこうという方針にしたところ、案外早くから召し上がる方が多かった。それに今回の映画は3本とも「おいしい」ものが次から次へ出てくる作品だったので、リアルでも手を伸ばせばおいしいものがあるというのは良かったかなと思う。

堀さんのおにぎりも傑作だった。下之坊監督お手製の紫蘇ふりかけを事前に送ってもらったとのことで、紫蘇おにぎりの一種類のみ。33名の参加者に十分行き渡り、中には二つ三つ食べたという人もいたというのだから、いったいいくつ作ってくださったやら。そしてネットで仕入れた知恵で、と謙遜されるが、コンビニのおにぎりよろしく、海苔をパリッとした状態で保つためのサランラップの巻き方も工夫されて、私には一生かかっても真似できない素敵なパッケージだった。ごはんの炊き方もほどよく、塩加減もやさしい味わいで、とにかくホリさんの優しい性格がそのまま表れた上品なおにぎり、ごちそうさまでした。

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