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#14 飼料計算ソフトと栄養濃度を考える!

酪農、搾乳牛の飼料設計時の栄養濃度について考えてみます。

飼料計算ソフト

ほとんど気にしません。ソフトの特徴を知れば良いのです。牛は変わりません。
牛群の外観、環境、旬報、乳検、疾病の発生率などが分かれば良いのです。農場の関係者とのコミュニケーション、さらには牛との会話が大切です。

乾物摂取量

これが決まらないと話しになりません。分からない場合は推定するしかありませんね。牛の体重に検討をつけ、環境が良いか(とても重要)を見ていきます。そして体重×4%を最大の乾物摂取量と考えます。その後、飼料の給与量を確認します。
現状の乳量に見合った乾物摂取量も重要ですが、それに合わせることはしません。昔はやっていましたが…

タンパク質

環境が良いとしたら、高い乾物摂取量になりますね。その場合はかなり余裕のある?設計になります。なので、タンパク質の基準はありません。MUNが12以下で乳タンパクが3.2以上(乳量で変化はしますが)であれば、気にしません。

炭水化物

炭水化物は給与する栄養で最も大切です。乳糖量(付随して乳量)を決めるからです。飼料の中では最も高い割合(70%以上)で入っています。その中でも特に粗飼料割合がとても重要です。
牛の健康が最優先。牛のBCS、状況、便、旬報などを見ますが、まず、サイレージの出来を確認します。

脂肪

脂肪は最初から意識してどれくらいの濃度かは気にしません。ただし、環境が良くないと(暑熱で乾物摂取量が上がらない時などを含む)高めます。
新しい飼料計算ソフトでは脂肪酸組成まで見ることが出来ます。が、粗飼料割合が十分であれば、あまり気にしていませんでした。
また、暑熱時以外に乳脂肪が低下する場合、使用している脂肪酸Caから、信頼出来る脂肪酸に変更し反応を見ます。2~3日で反応があることが多いです。脂肪酸Caの給与がダメではなく製剤の特徴に合わせることが重要と思っています。
脂肪の多い大豆、綿実などは好きな飼料です。ただ、多く使うときは乾物中の割合を気にします。トランス脂肪酸、不飽和脂肪酸の割合を気にすることはめったにありません。

ミネラル

これまでにも書きましたが、Ca、Mgを気にします。Caは乾物中1.0%、Mgは乾物中0.3%程度。あとは塩。配合飼料には0.3~0.5%程度入っていると思います。が追加します。重曹はアシドーシス対策として、よく使われます。粗飼料が十分であれば、最近は夏以外、使っていません。Mgを入れています。昔は保険で重曹も給与していましたが。

ビタミン

NRC2001の要求量は?と思っています。牛群の【ストレス】の度合いを牛に聞いて、給与量を決めます。牛が尿をなめる、パドックの土を食べるなどのサインを出したら微量ミネラルも検討します。



牛乳の87%程度は水ですから非常に重要です。飲める水槽と数が重要です。あと水圧も。TMRの加水も良くやります。現物給与量の50~55%程度でしょうか。エサ押しをすること、スタンチョンがあること、2回給餌など牧場によって、条件が違うので飼料の食べ方を確認しましょう。

以上、私見でした。
そして、自分が飼料設計する場合、必ず農場の情景と牛さんの顔を思いながら設計します。
これが秘訣です。


牛の健康と笑顔溢れる牧場を共に…

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