アイドルは「普通の人間」ではない

アイドルとは?

この数日というもの、アイドル×アイドルという熱愛が相次いで報道された。その中で私なりに色々考えたことがある。

アイドルとはいかに?アイドルとはどう有るべきか?

そこで、アイドルについて、私の意見をここに書いてみる。あくまでも私の意見である。私自身は一度たりともアイドルという存在になったことはないし、アイドルという職業に就いたこともない。そのため、彼ら(彼女ら)を応援する、いわゆる「ヲタク」目線で論じていく。

今回はアイドル、ひいては「職業としてのアイドル」について考えを述べていきたい。


結論を先に言えば、私は「アイドル」を「普通の人間ではない」と考えている。もちろん彼ら(彼女ら)はこの世に生を受けて生まれてきた人間である。親やきょうだい、家族も居るであろう。心許せる友人や仲間と共に日々を暮らしているであろう。

しかし、彼ら(彼女ら)は同時に「商品」であるのだ。自らの名前、顔、身体、能力、他者との関係性をある種ブランドとしてプロモーションする「販売主」であり、また自らがその「商品」なのである。つまり、アイドルとは究極の自己プロデュースだ。

この時点で、少なくとも彼ら(彼女ら)は「人間としての自分(元来の自分)」「商品としての自分」を所有していることになる。前者は先天的であるし、後者は後天的に生み出されるものだ。個人個人によって、この両者が近い場合もあれば解離している場合もあるだろう。


ここで話を、今回の本題「アイドルの恋愛」という所に戻そう。よく聞かれる意見として「アイドルも一人の人間なのだから、恋愛は自由である」というものがある。この意見には確かな納得性がある。偶像を演じる彼ら(彼女ら)にも命があり、人生があり、心がある。

しかし、「商品」という一面を持つ「人間」ではどうだろうか?

私のような一般人は「商品としての自分」がない。もっと言えば「商品としての自分」に価値がない。そのため私が歌を歌っても、ダンスを踊ってもそれに金を払われることはない。私のことを「応援している」ということを示すためだけに1年に5000円を払われることもないし、私の写真に200円という値が付くこともない。目があっただけで歓声をあげて喜ばれることも、ドラマ出演のオファーが来て巨額の金が動くこともない。

しかしアイドルたちにはその価値がある。「普通の人間」にはありえないことだ。


現在、男性アイドルも女性アイドルも群雄割拠、コンセプトや方向性、特色など多岐に渡る。すべてのアイドルに当てはまるかと言われればそうではない。だが、大多数のアイドルはその「商品」のセールスポイントとして「擬似恋愛要素」を有している。これもまたすべてのヲタクに当てはまる訳ではないがこの「擬似恋愛要素」を求めるヲタクは多い。言い換えるならば「ときめき」「キュン」とも言える要素だ。


話をまとめよう。自らを「擬似恋愛要素」のある「商品」として価値ある存在として自己プロデュースする彼ら(彼女ら)アイドル。その「商品」を売り、その対価として高額のギャランティを受け取り暮らしている時点で、「アイドルも一人の人間なのだから、恋愛は自由である」と言えるだろうか?

私は、そうは言えないのではないかと考えている。恋愛をするな、とまでは言えない。それこそ彼らの人権を侵すことになる。しかし「顧客」の目の届かない対策をするべきではないか。対価を受け取っている以上、「商品」の価値を下げることは彼ら(彼女ら)にとってもヲタクにとっても、好ましくない。

「自由」になりたいのであれば、「商品」を売ることを辞めるべきだ。それはヲタクにとってだけではなく、アイドルにとって素晴らしいアイドル活動にするために必要なことではないか。

私には、好きになり素敵だと感じたそれが散々値下げされ、包装が破れ、周りが見向きもしなくる様子を見ながら「商品」を買い続けることは出来ない。あまりにも辛く、切ないからだ。


最後に。私にとって「アイドルの結婚」とはとても寂しいものである。別に私がその人と結婚したいとか、出来るとか考えているわけではない。結婚して!と思うこともあるがそれはボディビル大会での掛け声のようなものである。前述の通り「擬似恋愛要素」に反応して繰り出される賛美なのであって、本気ではない。

結婚は人生において大きな決断だ。家庭を持つということは、人生で初めて家族になる人を自分で選ぶという儀式とも言える。またアイドルの結婚には、「人生の最優先が家族(配偶者)になる」という意味もある。ヲタクとしては「グループやその周辺(ヲタク含む)」が一番でなくなるということがどれだけ寂しいか。

私のような平凡一般人には生きることのできない長い青春を、アイドルは生きる。歌って踊って演技して喋って…それでお金を貰うのである。私なんぞはせいぜい一生懸命パソコンに向かったり皿運んだりお茶出したりコピーしたりしなくてはお金を貰えない。だからこそ、アイドルの生きる長い青春には価値がある。私はヲタクとして、その長い青春の只中で笑い、藻掻き、美しく生きるアイドルに拍手を贈りたい。

そのため「商品」の販売停止や市場撤退はもちろん、独占契約もまた、長い青春の終わりと言えるのではないか。そして、出来る事なら独占契約後も「商品」を続けるのならば「顧客」も納得するくらい素敵なクライアントと契約してほしい。

……我儘だ。完全にヲタクの我儘だ。だけれど、「商品」の輝きを保ってほしいと思う顧客心理も理解出来よう。

長い青春には終わりがある。グループ内でもばらつくこともある。しかし、長い青春を演じるその期間だけは、その価値を下げないでほしい。

昨日今日アイドル稼業を始めたわけでもあるまい、アイドルでなくなるその日までは、完璧なアイドルで居てくれ。気持ちよく金を払わせてくれ。それが私の願いであり、「アイドル観」である。

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