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1play500円のクレーンゲームじゃダメなのか?

にちようび、彼氏と近くのゲーセンに行った。

基本的には音ゲーに興じるのだが、実は私は元々結構なクレーンゲーマーで、最近はやるのを我慢しているせいかたまに夢に見る。
なのでゲーセンに行くと、クレーンゲームコーナーをうろうろと見回るのが楽しみだったりするのだ。

その日は、結構多くの人がクレーンゲームをやっていた。
私は店側がどんな設定をしているのか観察するのが好きなのだが、設定を確認するためだけにお金を入れてもしょうがないので、他人がプレイしていたらここぞとばかりに見る。

どれもこれも、ふつうにやったら動く気配がなかった。

ああすれば動くのかな〜と想像はするが、特にクレーンゲーマーではない人にそんなことがわかるはずもなく、お金だけを無為に溶かしている人がほとんどだった。

私はそれが、なんとも悲しかった。


クレーンゲームは、大きく2種類に分かれる。
「ふつう」のクレーンゲームと、「確率機」と呼ばれるものだ。

確率機は、大体3本爪のアームが付いており、時間内なら自由に操作できることが多い。
やってみると、一度は景品を掴むが、取り出し口にたどり着くまでにボトンと落としてしまう。酷いと最初に掴むことすらできない。
しかし、稀に最後まで景品を運んでくれることがある。

実はこれは、金額に設定があるのだ。一定の金額を入れると「当たり」が出て、そのときに初めて景品を運んでくれる。

取れる取れぬと一喜一憂している人たちをよく見かけるが、クレーンゲーマーからすれば、あれは「自販機」でしかないのである。

なので、逆に腕に自信がない人は、確率機に欲しい景品が入っていたら喜ぶべきであろう。カネを注ぎ込めば、いつかは確実に取れるのだ。

(前に欲しいものが確率機に入っていたので挑戦したのだが、入れども入れども取れる気配がしなかった。
なんとか店員さんに助けてもらって取れたが、おそらく「当たり」のアームパワーが弱過ぎたのだろう。
「当たり」のときはなんとなく挙動が違うので、そのときに取れなかったら、設定ミスを疑ったほうがよい)


しかし、クレーンゲーマーは思う。
あんなの面白いか?」と。

かと言って、「ふつう」のクレーンゲームは一般人にとって難しすぎる。
あれらはある程度コツを知っていないと取りようがないが、愚直に狙って「無理じゃーん」と嘆いている人たちをよく見かける。

我々からすれば「そりゃそうだよ」と思うのだが、同時に「かわいそうだ」とも思うのである。

だが、クレーン「ゲーム」として面白いのは、明らかにこっちなのだ


ふつうの人でも、なんとなく「この輪っかに引っ掛けるんだろうな」とか「前にズラすんだろうな」ということはわかる。

問題は、それが想像以上に上手くいかないことなのだ。

ほとんどのクレーンゲームは、アームパワーは最弱になっている。
そしてそれを前提に、ツボを抑えながら引っ掛けたり押したりすると、景品は少しずつ動く。

わかっている人はわかっているのだが、あまりにもじれったい動きに、ふつうはギブアップする。というか、取れることすら信じられない


あと、これはデフレマインドも悪いのだろうが、「安く取れる」ということに夢を見過ぎている人も多い。
そもそも景品の原価は最大で800円となっており、お店の利益を考えても、その3〜5倍くらいの金額をかけてもらうのが妥当だ。

ところが、「ゲーム」という形を取っているためか、かなり多くの人が「100円で取れるかもしれない!」という夢を抱いている。

だから思うように動かなかったときに、「取らせる気ないじゃん!」と憤る人もいるが、よく考えてほしい。
店だって取ってほしいに決まっているのだ。

景品は、結構な数で仕入れないといけない。しかも、ちゃんと新しい景品を入れておかないと、誰もプレイしてくれないだろう。
だったら、ちゃんとペイアウトして在庫を減らさなければならないのは当然のことである。

店は取らせる気がないのではない。
もっと冷静にモノの値段を考えてほしい。


私は思った。
「1play100円なのが悪いんじゃないのか?」

たとえば、およそ3000円で取れる景品があったとして、それに必要なプレイ回数は30回

ふつうの人は、多分ここから信じられない。
「30回もやらないと取れないの!??」

この10cmくらいの距離を、30回かけて地道に運ぶという作業が、正直途方もない。というか地味過ぎてやりたくない。100円を30枚入れるのも、ムキになってる人みたいでなんだかバカらしい(それが相場なのに)。


クレーンゲームで楽しいのは、やはり景品が動くときだ。それも、大きく動くとなんだか気持ちいい。取出し口に近付いて、ゴロン!と行くのがたまらないわけだ。

クレーンゲーマーとしては、その快感をもっと味わってほしいと思う。しかし、今のままではそれは難しい。


だいたい、クレーンゲーマーは別に景品が欲しいわけじゃないのだ。彼らはただ遊びたいだけで、景品を手に入れることが目的ではない。

それなのに、肝心の景品が欲しい人たちはクレーンゲームが上手くない。

ゲームと景品のそれぞれの需要が、完全にミスマッチしていることが、何より問題なのである。


そこで、1play500円のクレーンゲームを導入するのはどうかと考えた。

3000円の景品なら、手数は6回。もちろん、アームパワーも強く、おおむね期待した通りに動く。
これなら、取れるビジョンが見えやすい。本当にその景品を欲しい人が、納得して遊べるだろう。

それに、クレーンゲーム特有の快感も楽しめる。やはりこのワクワク感は、クレーンゲームに無くてはならないものだと私は思う。


また、これは客に対する価格についての意識改革も兼ねている。
これくらいの景品には、これくらいの対価が必要なのだ」ということを、1playの価格から想像させるのだ。

「100円で取れる」というのが、いかに店側のことを考えていないものだったかを思い知ってほしい。

ただ、それは1play100円にした店側にも責任があるのだ。


あと、これは完全にクレーンゲーマー側の話なのだが、やりたい人向けの安い台も作ってほしいなと思う。

やはり、欲しくもない景品に結構な金額を払うのもなんか違う気がする。転売するというのも、個人的にはあんまり好かない。

だったら、たとえばメダル制にして、100枚1000円くらいでクレーンゲームあそびをさせてほしい
1play10円とか、100円10playとかでもいい。

ぬいぐるみを落としてね。箱を落としてね。
落とすだけで、その落としたものはもらえない。そんな台が欲しい。

もちろん景品は要らない。あっても粗品程度のお菓子で十分だ。
もしくは少しだけメダルを排出して、それでまた遊び回らせてほしい。
(たぶん風営法的に、現金で遊ぶなら粗品、メダルで遊ぶならメダルが妥当だろう)


クレーンゲーム自体はいいものなのだ。
せっかく景品の質も向上している今、新たなクレーンゲームの在り方を考えてほしいものである。

大学中退病弱フリーター。病気で中途半端な障害を負って、身体という資本をほぼ失いました。あるのは思考大好きな頭と、ちょっと硬くなった手。あなたの支援は、私の存在価値の裏付けになります。