想定はしていたが…

2021年6月末、17年間一緒にいて13年の結婚生活を過ごし二人の子供たちを共に育てている妻から私に対する気持ちが枯れていると言われた。その瞬間、これまで彼女との間に起こった口喧嘩や彼女の涙顔が頭の中で一杯になり、そんな時を過ごしたことの後悔で胸がつまり涙が止まらなかった。失敗。その言葉だけが私の身体の中で行き着く場所も見つからずぐるぐると回り続けた。

7月に入り友達家族と私の家族とで毎年恒例となっている休暇を過ごす事になった。寝室は妻と下の子と一緒だが、ダブルベッドには子供と妻、私は床のマットレスで一人寝。友達夫婦はそんな私たちの関係を見ても、一時的なものだとそっとしておいてくれた。いつか時間が解決してくれる事を願いつつ、自分の気持ちを整えるために早朝のウォーキングメディテーションを休暇中日課にしていた。しかし、妻の目には私の存在は映ってはいなかった。

8月、下の子の誕生パーティーを祝った週末を過ごした後、妻は3週間の滞在中Vision Questに参加するスペインへ行く準備に追われていた。これまで恋文のような文章をほぼ毎日恥しげもなく送り続けては既読スルーされていた私には、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』が気持ちの支えになっていた。そして、旅立つ前日の妻へその本をプレゼントすると元彼からも同じ本をプレゼントされたと笑って受け取られた。翌日、空港で見送る時に楽しんで来てねという私の言葉に妻はそれが嫌味でないなら良いけれど…と言葉を返して来る。私の気持ちは逆撫でされ怒りを押さえつけ、口論にならないよう必死に気持ちを伝えようとするが、妻は私の言葉よりも搭乗時間の方が気になる様子だった。

3日前の夜、子供たちと一緒に妻を迎えに空港へ行く。妻のスペイン滞在中も私のメッセージの9割は既読スルーされ続け、子供への電話も一切無かった。出迎えた妻の顔は日焼けしてスッキリとしている。これまでのことを考えると離婚という言葉は想定内だった。しかし、どうにか踏み留まりたい私はこれまでの結婚生活に一旦ピリオドを打って、もう一度スタートラインに一緒に立とうという趣旨の手紙を認めていた。その夜、妻は翌朝手紙の封を開けると言ってそのままベッドへ行った。

注:今回のノートはこれまでの私が妻へとった態度など書いていない, 私だけの近視眼的視点で書かれている。次回妻の決断や私がして来たことを書いていくつもりだ。今回はこれで席を立たなくてはいけないのでおしまい。



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