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花見見

今年もお花見を逃しました。
ここで言う花見は、春にお花見スポットにブルーシートを敷いて複数人でするアレです。

人生通算のお花見回数が0の自分は、桜が咲き誇る季節になると否が応でも「花見見」をすることになります。
街でお花見をする人が目に入ると、自然と彼らを心の中で腐します。
それが自分の悪き風物詩「花見見」です。

「花なんかどうせ見てねぇだろ。10秒だろ。俺の方が遠巻きで立派にしっかりと花見てるわ!」
「酒飲む口実だろ!?」
「なんじゃ?コンパか?コンパなんか??伝統と私利私欲を混ぜんな?」
「な〜んか、明るい時間から外でベロベロに酔っ払ってる上司っぽい人おるけど、かっこ悪いんじゃ!」
「ブルーシート敷いても外だから下汚いし飲みにくいだろ!」
「そもそも散った桜の花びらがあちこちに散乱しててうっとおしいだろ。
あと周りも花見客だらけでウルセェだろ!」
「というか、お外で無礼講したり、しなかったり、上下関係気にしたり、会を回す人いたり、気使う人いたり、なんか策を講じたり、お外で普通にそういう当たり前のことを繰り広げんな!!天気の良いお外で!!見てるこっちが恥ずいんじゃ!!せめて室内でやれ!!色んな人がいる晴れたお天道様の下でそんなんすんな!違和感半端ないんじゃ!! 
・・なんかちょっと怖いんじゃ!!」

家族でした記憶もないし、悲しいかな友達も少ないので全く経験がない自分は、こんな感じで的を得てんだか得てないんだかわからないやっかみがほとばしります。
今年はバイト先の偉い人が計画を立ててくれて初の花見をする予定だったけど、雨で中止になってしまった。
ただ、毎年春になると1人で桜を意識的に見ようと思う。
一回くらいは流石に見たいと。

桜も散りはじめたある夜。
今年も桜を見とこうと思い、Google Mapでお花見スポットを探した。
土日やお昼だと、「花見見」を高確率でしてしまうので、人がいなさそうな平日の真夜中に行く。
お花見スポットとして有名な公園が見つかったので、そこに向けて自転車を漕いでいたが、途中でやっぱり行くのをやめた。
目的地が思ったより遠かったのと、そして何よりも花見客がいるような気がしたから。
桜を見に行くのをやめ踵を返して来た道にある小さな公園に桜が数本咲いていた。
そこの公園の入り口付近で立ったまま桜を見た。
しかし全然桜を楽しめない。
理由は夜の公園が怖いからだ。
1人で夜の公園にいるのってなんで怖いんだろう。
いろんな遊具やオブジェの影に何か潜んでて、飛び出してきそうな気がする。
ポツンとトイレだけに灯りがあってそれも怖い。
こんなことなら、有名スポットに行って「花見見」をしながら桜を流し見た方がまだ良かったと思った。
公園以外にも夜に家の目の前に人が立ってるのも怖いよな、などと桜に関係のないとこを考えつつ、背筋がゾクゾクしたタイミングで、
桜を見るという行為をクリアしたと自分に言い聞かせて、そそくさと自転車で大通りを突っ切って帰路に着いた。


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