キリアン・マーフィー、ノーランの歴史映画『オッペンハイマー』で主役演じる

クリストファー・ノーランが新しい映画についてキリアン・マーフィーに電話をした日、マーフィーは信じられない気持ちで電話を切った。
アイルランド俳優のマーフィーは、20年近くノーラン映画の常連であったが、これまではいつも脇役であった。今回は主役の依頼だった。

キリアン・マーフィー
「(ノーランに)『オッペンハイマーについて台本を書いたんだけど君にオッペンハイマーをやってほしいんだ」と言われた。素晴らしい日だったね」
「みんなにもクリスにもいつも言ってるように、クリスから出演の依頼があるときは、スケジュールが合う限り必ず出演するよ。役の大きさは関係ない。だけど、心の奥底では、ひそかにノーラン映画で主役を演りたいと熱望していたんだ」
「ノーランとは長い信頼関係があってお互いのことをよく分かっている。そろそろより大きい責任を負ってもいい頃かなと思っていたちょうどその時に、この大きな仕事が舞い込んだんだよね」

2020年9月、ノーランはマーフィーに電話をしたあとすぐにダブリンに飛び、マーフィーに会って紙の台本を手渡しした。マーフィーはノーランのホテルの部屋で台本をむさぼるように読んだ。それは、マーフィーにとって、これまで読んだ台本の中で最も素晴らしいものだった。

キリアン・マーフィー
「これは大きな責任だと思ったね。オッペンハイマーは複雑で矛盾に満ちてすごくアイコニックな人だから。だけど歴史上最も偉大な監督の一人であるノーランと一緒だからね。クリスとならやれると確信したよ。彼は僕の人生にクリエイティブな意味でも仕事という意味でも深い影響を与えた人だから。これまでもすごく興味深い役をくれてどれも本当にやりがいがあった。それに彼の撮影現場にいるのがただただ好きなんだ」
「俳優は誰でも、クリス・ノーランの撮影現場に来て、どうやって撮影しているか、どうやって映画の撮影技法を使いこなしているか、すごく難しい人間の物語をメインストリーム映画会社の枠の中でどうやって作っているか、見たいと思うんだよね」
「例えば『ダンケルク』は、台本が70ページしかなくて僕の役は名前すらなかったけど、ノーランは『この役がどんな感情を経験してきたのか、2人で考えよう』って言ってくれ、実際2人でボートに乗りながら考えたんだよね。それは信頼と尊敬があるからできること。ダンケルクでのパフォーマンスは本当に誇りに思っているよ」

ノーランは、これまでと同様、『オッペンハイマー』についても秘密主義を貫いている。マーフィーは、そんな「昔ながらのやり方」こそが関心と期待を高めると思って気に入っている。
ただ、『オッペンハイマー』には原作があり、ドキュメンタリーもある。

キリアン・マーフィー
「問題はクリスがどうやってそれを表現するかだね。クリスの表現に、みんなすごく驚き圧倒されると思うよ。実際にIMAXで見ることに比べたら、僕の言っていることはちょっとありきたりだけどね」
「話せる時が来たら、話すことはすごくたくさんあるよ(笑)」

マーフィーは、オッペンハイマーの見た目を正しく表現することに気を使ったと話す。
キリアン・マーフィー
「オッペンハイマーは自分が持つカリスマ性に気づいていたみたいだからね」
ただ、この話もしばらくはお預けだ。

キリアン・マーフィー
「この映画を本当に誇りに思うし、クリスが成し遂げたことを本当に誇りに思う。僕とクリスには長い関係があるから、この映画は間違いなく特別のもの。撮影現場で浮かれていたわけではないけど、特別な感じはしていた」
「彼が映画を公開するときはいつも大きなイベントで、それは当然のこと。僕は自分が出演していても出演していなくても彼の映画は見に行くからね」

※AP News "In ‘Oppenheimer,’ Cillian Murphy leads a Nolan epic, By LINDSEY BAHRの抄訳


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