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ビラを撒くヘリコプター

今の日本では、絶対にやらない宣伝方法です。

商店の開店セールや何かのキャンペーンの時に、ヘリコプターやセスナ機から、宣伝のチラシを撒くということを昔はやっていましたね。見たことありませんか。

これは昭和30年代生まれの方よりも年配の人でないと、経験したことがない話ですが、今これを書かないと、忘れ去られてしまうのではないかと思い書いております。そんな大層なことではないとは思いますが。

私が幼い頃ですから、昭和40年より以前のことだったと思います。

私が家の中にいると、ヘリコプターが飛んでいる、バタバタという騒音が聞こえてきたので、急いで外に出て空を見上げました。

低空でヘリコプターが飛んでいて、ヘリの下には横長の垂れ幕のようなものが、なびいていました。そこには、「○○商店、開店セール」のような文字が見えました。

さらに、ヘリからはヒラヒラとビラがたくさん撒かれていました。私は、ビラを拾おうと、近所に飛び出して行きました。

近くの畑に2〜3枚落ちてきそうだったので、畑に入って行きました。色紙のビラのそばには小さいおもちゃの落下傘も落ちていました。近所の子どもたちもビラを拾っていました。

落下傘が付いていたのは、今から考えると、おそらく子どもを使ってビラを集めようという意図だったと思われます。

ビラは母に渡し、私はその小さな落下傘で遊んだことを覚えています。そして、その落下傘の作り方を真似して、自分でもっと大きい落下傘を作ってみることにしました。

新聞紙とタコ糸、重しになる物(小石など)があればできると思い、自分で試行錯誤しながら作って、しばらく遊んだことを覚えています。

ゴミを撒き散らすような、この宣伝方法は、今では許されないことですが、当時は当たり前だったのでしょう。調べてみると、東京都は1964(昭和39)年に条例でこの宣伝方法は禁止になったようです。

調べてみると、昭和43年度の運輸白書には次のような記述があることがわかりました。

「広告宣伝は,ビラ撒き,ネット曳行,空中放送等により始められたが,ビラ撒き,ネット曳行は事故誘発の原因ともなるところから強い制限が加えられたため,現在ではこの分野からほとんど姿を消し,最近では,これに代わつて空中放送がその大部分を占めるようになつた。」  (昭和43年度 運輸白書 Ⅲ航空 第3章 第3節)

おそらくは、子どもが撒かれたビラを追いかけて、交通事故などに遭ったり、池や側溝に落ちるなどする事故があったのでしょうか。

でも、セスナ機に吹き流しのような横長の垂れ幕をたなびかせて、「○○キャンペーン」のようなキャッチコピーを広告するのは、今でもあっても問題ないように思います。

そういえば、15、6年前ドイツを旅行してた時、飛行船のボディにキャッチコピーが書いているが青空をゆっくり飛行していくのを見かけたことがあります。

今都心では、巨大な看板をトラックの荷台に乗せた宣伝カーが街中を走っていますね。街の景観を損ねるとして、規制をしようという動きもあるようです。また、繁華街では小さいチラシやポケットティシューが、普通に配られています。

時代は変われど、基本的なところは同じ宣伝方法が続いているのかなと思います。

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