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異界へ

自己紹介

  今回のnote担当、総務部長です。組織の中ではまあまあ偉い役職です。以前、「都市文化祭って何ですか?」という記事も執筆しました。こちらもよろしければどうぞ。

  座右の銘は、石垣りん『表札など』より、「自分の住む所には/自分の手で表札をかけるに限る。」です。このあと、「精神の在り場所も/ハタから表札をかけられてはならない」と続きます。



Q&Aコーナー
「生まれ変わるなら何になりたい?」

 猫です。もしくはお人形です。


総務のお仕事って?

 雑務です。あらゆる雑用をこなすプロフェッショナルです。先生方の利用している大学メールアドレスをたくさん持っていることだけが自慢です。


異界へ

 私は田舎の出身です。「雑踏」という今年の都市文化祭のテーマは、私の憧れゆえだったからかもしれません。初めてひとり、東京駅に降り立ち、丸の内側出口からパッと外が開けた途端に、私は都市の自由さを知りました。どこへでも行ける開放感と、あらゆるものの中心地である重厚さは、地元では決して味わうことのできないものでした。

 東京は、私の知らなかったものを連れてきます。それは時に危険を及ぼすものであり、時にクラクラするような刺激的で魅力的なものだったりもします。自分にとって未知のものにふと出会うことは、成長や発見などとは言い表せないほどの恐怖があり、しかしそれがとてつもなく楽しいことだと、都市が教えてくれました。

 知らないものを知ること、それは自分自身の中にも存在します。私にとっては、学科で精神分析を学ぶことがそれに当たりました。外部から向かってくる未知のものより、数十年共に過ごしてきた私自身が、私に牙を剥くのです。

 共生、という言葉は、誰かと共に生きることを意味します。皆さんなら「誰か」に入れる人として、誰を思い浮かべるでしょうか。私は、まだ私が想像できないもの、思い浮かべられないものと生きることができるようにならなくては、本当の意味で共に生きることはできないのではないかと思っています。そして、まだ私も知らない、もしくは見ないふりをしている自分自身という存在も無視することはできません。

 知らないものに溢れる、異界とも捉えられる都市は、それを少しずつ受け入れられるようになるための場所でもあるといえるでしょう。そして、そこにひとり立つ自分という異物をどう愛するのか、この場所であと少し考えたいと思っています。


次の人への質問

 「好きな魚は何ですか?」

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