バイト面接物語①

先日、遂に持ち金が底をつき、バイトの面接に行ってきた。
15年ぶりのバイト。
2年前に上京した時には、まさかバイトするなんて考えてもなかった。
でも金がないんだから仕方ない。
耐え忍んで金が増えるのならそうするが、どうやら金ってやつは働かないと増えないらしい。

どんなバイトをするか悩んだが、第一条件として大手の会社にしようと思った。
中小企業の場合だと、有給休暇や保険関連がゆるゆるの会社があるからだ。
大手はその辺しっかりしている。
しかしそれだけだとまだ候補は絞り切れていない。
この時点で都内23区内だけでも数千件の候補が出てきている。

そこでまず、募集人員が多いところに絞った。
募集しているのが1名~3名くらいの場合、即戦力を求めているので経験者が優遇されると思ったからだ。
また、少ない人数しか募集していないということは、採用された場合、1人あたりにのしかかる責任が多いとも感じた。
急に本業の仕事が入ったりしても休むことが許されなさそうな雰囲気。
僕が探しているのはあくまでもバイトなので、もちろん本業を優先させてもらう。
1名募集のところに応募して、もし採用された場合プレッシャーが半端ない。
もし体調を崩して休もうもんなら残りのスタッフに迷惑がかかってしまう。
その点、大人数を募集しているところは1人くらい休もうがどうにかなるはずだ。
「責任」という言葉が大嫌いなので、少人数募集のところは迷わず消していく。

さらに絞る条件としては過去に同業種でのバイト経験があるということだ。
明日から急にやったこともないプログラミングのバイトをしろと言われても無理な話だ。
このご時世やはり経験がものを言う。
最後にバイトをしたのは15年前の27歳の時。
いくらブランクがあるとはいえ、それまで様々なバイトを経験してきた。
その様々なバイトの多数を占めていたのが飲食店。
つまりは接客業だ。
兵庫一の人見知りと言われた僕だが、仕事となれば最低限は喋ることが出来る。
ということで、大人数を募集している接客業の大手に絞り、探すことにした。

『バイト先は近場に限る』という信念のもと、既に最寄駅から2駅以内の場所に絞ってある。
大雨や天災で電車が動かなくなった場合を考えれば、遠くでバイトするのはリスキーすぎる。
最悪の場合、徒歩で帰れる距離で働きたい。
他に近場を選ぶ理由として、僕が移動時間を一番無駄な時間だと考えているのも大きい。
バイト代は実働している時間に対してしか出ないが、拘束時間という観点からみれば移動時間が片道30分かかる場合、往復で1時間もそのバイトのために費やしていることになる。
この1時間分はもちろん時給なんて出ない。
じゃあなるべく近場にして、バイトによって失う時間を少なくしたいと思うのは当然だと思う。

希望の条件を入力したところ数十件の候補が出てきた。
その中から応募するバイト先を探していく。
ここからは消去法だ。
まず、募集ページに従業員全員が笑顔で肩を組んでる写真を載せているような店は省いていく。
絶対に仲良くなれる人種じゃない。
僕から言わせれば、ああいう写真は逆効果だ。
アットホーム感を押し出せば押し出すほど、新しくバイトで入る人間は二の足を踏む。
きっとその仲間だけのグループLINEがあって、新しく入ったバイトのあだ名を勝手につけていることだろう。
働く前なのにそんなバイト辞めたい。
ああいうのは店の外観や内観の写真で十分なのだ。

次に、明らかな好条件は危険だ。
実際にあったのが「採用されればお祝い金20万円プレゼント」という、どう考えても怪しい誘い文句。
んなはずないやろ。
どういう仕組みで20万貰えるねん。
僕が従業員なら「そんな金あるなら従業員に還元しろ」と思う。
もしかしたら半年間週5くらいのペースで朝から晩まで働いたら実際に貰えるのかもしれない。
しかし貰える条件を細かく書いてない時点で限りなく黒に近い。
貰える条件がとてつもなく厳しいから書けないだけだ。
そんな詐欺まがいの会社は容赦なく候補から外す。

そうやって選別作業をしていき、候補を数件まで絞ることに成功した。

その中で一番希望の条件にあっていたのが、家から2駅先の駅前にある大手のカラオケボックス。
募集人数は10人~20人、従業員の楽しそうな写真を載せていない、1週間ごとにシフト提出、という理想の条件。
まず10人~20人という大人数の募集。
なぜそんな急に大人数が必要になったのかという疑問も残るが、ひとまず考えないでおこう。
僕の希望は「大人数募集」だったはず。
そこに理由なんていらない。

募集ページの写真はその会社のロゴマークのみ。
それでええんや。
シンプルイズベスト。
その募集ページたるや透き通ったスープの塩ラーメンの如く。
笑顔肩組み写真のページは塩ラーメンの上からケチャップとかマヨネーズをかけてるようなもの。
台無しや。
いらんことすな。

さらに最高なのが1週間ごとのシフト提出。
僕には本業があるので、直前に仕事が入ったりもする。
そうなると一か月単位のシフトだと厳しいのだ。
カラオケで働いたことはないが、過去に飲食店でキッチン、ホール、レジ打ちをやり、バイトなのに店長代行として働いていた僕からすればイージーな職場。

全ての希望条件に合っていたのでそこに決めようと思い、ネットで応募した。
久しぶりのバイト応募だったのでこれが普通なのかはわからないが、どうやら履歴書を提出しなくていいらしい。
僕のイメージだと、面接当日に履歴書を持って行くか、あらかじめ応募の際に名前や住所や職歴などを打ち込んで送信するものだと思っていた。
しかしその募集ページには「履歴書不要!人柄重視の採用を行っています」と書いていた。
さすが大手、なんて器がでかいんだろう。

早速、応募ページにいき「面接を希望する」というボタンを押した。
するとその翌日に面接の候補日が何日か送られてきて「どの日程を希望されますか?」と書いてあった。
出来るだけ早く働きたかった僕は、最短の日程を希望日として返信した。
その返信の翌日、面接日が決まったと連絡が来た。

そうして面接当日を迎えた、、、

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