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日曜日のクルーメイト #89

お久しぶりでございます。冲方丁です。
前回の投稿からなんと半年くらい経っておりますが皆様お変わりありませんでしょうか。

冲方は今年の猛暑にやられたか、夏風邪→熱中症→コロナという三大病気祭りの夏を過ごし、体力が戻るのに一ヶ月以上かかりました。
熱中症は生まれて初めてですが(コロナは相性が良すぎてワクチン接種のたびに副反応で二週間は寝込む上に、普通に感染してまた寝込むのでもはや慣れっこです)、地獄とはこのことかと

熱中症のせいで体温調節機能がどこかに飛んでいってしまったがため、三十九度越えの熱が出ても汗一つかかず自分の体温で炙られ、かと思えば体温がどかんと下がってぶるぶる凍え、そしてまた三十九度越えとなって炙られる、ということを繰り返すわけです。体力が衰えた高齢者が命を奪われるのも当然だと思わされました。
ちなみに解熱剤などは禁忌とされるため、自分の体温にただひたすら耐えるしかなく、本当にしんどいのでご注意を!

そんな一人・体温・ジェット・くそったれ・コースターが、一週間以上も続き、内臓が生きながら弱火で煮込まれるような日々ののち、ふらふらになりながら仕事で外出したとたん、さらにコロナをゲット
コレが死線をさまようということか。
今となっては、むしろ一ヶ月ちょいで復活した自分は、快復力バツグンなのではないかと思う次第。

そうそう、快癒を祝うがごとく今は執筆と飲んべえライフをエンジョイしておりますが、そんな飲みのひとときにて、酔っ払って自分の服に指で絵を描き始めたクリエイターの技に感嘆し、今回バナー画像に使ってしまいました。

これ、すごくないですか? 
すごいすごいと言っていたら、冲方の顔まで描いてくれました。

服の生地に指先で描く、砂マンダラみたいなイラストです。
ひゅー、すごい!本気で著者近影に使いたい!

ところで。
SNSからすっかり遠ざかっていた冲方は、「今年終盤の刊行物がいろいろあるのだから告知をせよ」と言われてようやく久々にツイッターを開こうとしたものの、どこをどう探しても「×」と表示されて困惑するほかなく、もしやあまりにアクセスしないがためツイッターから追い出されたのかと疑うほど、まったくアンソーシャルな人間と化しておりました。

というか、みなさんは、あれをエックスって呼んでますか? 
冲方は反射的に「バツ」と読んでしまいますよ、いまだに。
思えば、冲方が日頃見るニュースサイトなどでは「X(旧Twitter)」といった感じで表記されていたものの、大して意識にのぼらずスルーしていましたが、いまどきは「エックスでポストしなきゃ」とか、「リポストお願いします」といった言い方をしないと旧世代の人とみなされるのでしょうか。
まあ別にそれでちっとも構いませんが。

おっと。久々に記事を書き始めたとたん、近況ばかりで何を書くべきかするするっと忘れ、このまま「では、みなさんご機嫌よう」みたいなノリで締めてしまうところでした。
宣伝です。
もう体調があれだったりしながらも四冊分の文庫のゲラがいっぺんに来てしんどかったりと大いに頑張ったことですし、ちゃんと宣伝をしたいと思います。

2023年終盤 刊行・発売・発表等!

10月11日 文庫『剣樹抄 不動智の章』刊行
『剣樹抄』の第二巻の文庫版が刊行されます。
父の死の真相を知った了助は、激しい怨みを克服出来るのか?
柳生列堂義仙は、これまで書いてきた人物の中でも格別にわくわくしながら執筆いたしました。

ドラマの黒川想矢さんと舘ひろしさん、良かったですねえ~。
拾人衆の面々も可愛くて楽しいし、山本耕史さん、松本穂香さん、加藤シゲアキさんと本当に豪華でした。


書籍のほうは、今回のカバーも文庫一巻に続き、わいっしゅさんの素敵な絵が楽しめます。
ぜひお楽しみに!

日光街道の取材時に撮影した写真がしこたまあるので流用。
今さら普通に宣伝したところで面白くないなあ、と思い、あれこれやってX/Twitterに投稿してみましたが、なんかもう少し面白くできないかなあー、と反省しきり。
面白宣伝はなかなか意図してやるのが難しい。
こつこつトライあるのみ。

ところでアプリを使って絵っぽくしたところ、カバーイラストまであれなことになってしまいましたが、ぜひ本物を手に取って素晴らしい絵を堪能して頂きたいと思います。

ところで日光街道は全長およそ140㎞
江戸時代の人たちは「足腰の強さが経済力の源」だったこともあり、隠居した女性や、町娘ですら数日で往復したそうです。
ちなみに当時の旅では「下駄などは1日で歯がなくなるほど削り尽くす」ので、予備を持っておくのが常識だったとか。
徳川将軍の参拝は、約4日間で江戸の日本橋から日光に達するのが普通だったようですが、これはあくまで「余裕を持ってのゆるゆるした行軍」だったとのこと。
現代においても、徒歩にて4日間ほどで日光に赴こう、というツアー等があるようです。
とある年末年始に、サハラ砂漠を10日間で120㎞ほど歩いたことがある冲方からすると、日光街道を4日間で踏破というのは、整備された平坦な歩道を歩くということを考えても、けっこうきついのではと思います。
冲方は徒歩で向かう気はさらさらありませんが、ご興味がある方は、ぜひ日本橋と日光の往復にトライして感想をお聞かせ下さい!



10月13日 『マイ・リトル・ヒーロー』オーディオブック発売
ナレーターは橋本雅史さん!
16時間40分にもわたるオーディをブックを読み上げて下さいました。
発売の詳細がわかり次第、Twitterなどでお報せします!
いや、「えっくすで記事をぽすとしたりしたい」と思います!
ファ●ク!言い換えが面倒くさすぎます。


10月25日 『サタデーエッセイ 冲方丁の読むラジオ』刊行
かれこれ7年以上にもわたり出演させて頂いておりますNHKラジオのコーナー、サタデーエッセイでお話ししたことを文章にしてまとめたものです。
なんとディレクターが過去のトークを全て文字起こしして下さっていたことに驚き、感謝を込めての改稿と刊行と相成りました。
なんとなくの気づきや思いつきを楽しむエッセイとなっております。
カバーがとっても素敵で、ぜひお手に取ってみて頂ければと思います。


11月上旬 文庫『月と日の后』上下巻 刊行
単行本から、めちゃくちゃ改稿しての文庫化でございます。
大改稿の理由は、一つに、史料として大いに頼っていた書籍の著者である山本淳子先生が、「望月の歌」に関する新説を発表されたからです。
この新説には冲方もなるほどと思わされ、冒頭から道長のスタンスや彰子の願うところなど、あらかた書き直しております。
また一つは、『栄花物語』を改めてベースにしつつ、最新の説と照らし合わせ、可能な限り物語と史実の融合をはかったことによります。
紫式部が彰子に出仕した時期や死亡時期など、連載を単行本にまとめる際は、あっちの説かこっちの説かと頭を悩ませながら何とか辻褄を合わせるため、そしてまた〆切に間に合わせるため、四苦八苦しておりました。
文庫では改めて「これ」と定めて従うべき説などを統一しており、その分だけ物語の柱がどっしり強固になっているはず。
来年のNHK大河ドラマが、紫式部を主人公としたものであるそうで、ぜひこの機会に、平安時代きってのゴッドマザーこと彰子の人生に興味を持って頂けましたら嬉しい限りです。


11月12日のイベント情報 

来月になりますが、つくばにてイベントが行われます!
『月と日の后』の文庫刊行をネタに、平安あるあるトークなどをするのではないかと思います。
読者と会場でお会いできるのを楽しみにしております。

あとがこ

なんだ、あとがこって。
打ち間違えたものの面白いのでママで。

ときが経つのは早いもの。
ときを効率よく使おうと工夫し続けること幾星霜、そろそろ「工夫すればどうにかなる(なんとか間に合う)」といった、むしろ忙しなさを自己増殖させるだけの考えを改め、ときとともにおのずと成されることに注力する、という態度にシフトすべきかもしれません。

そんなわけで、また来週、ないし来月、あるいは来年、成されたものをみなさまにお届けできるのを楽しみに、執筆の日々に戻りたいと思います。
冲方丁でした。
アデュー。

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