見出し画像

人間はAIと話すために英語を学ぶようになるか

スマートスピーカーに興味を持つようになってから技術的なことを少しかじったりして、コンピュータ(AI)が言語を理解するとはどういうことなのかについて考えるようになった。

基本的には、これまで人間が長年言語学の分野でやってきたように、文章を構造的に分析し分類していくことを、オンライン上のデータや検索などで蓄積されたデータを元にAIが機械学習していく、ということだと思う。(自然言語処理と論理的推論)

そして当たり前だが、学習データの量と質がAIの質を左右するのだとあらためて考えるようになった。そうなると、インターネット上でもっとも普及している言語から学習したAIが、もっとも汎用的なAIになっていく可能性はないだろうか。

もちろんそれは英語のAIである。英語の場合、オンライン上にはWikipediaやプリンストン大学のWordNet( https://wordnet.princeton.edu/ )など、データの量と質が圧倒的に他の言語を凌駕している。

日本語と英語のWikipediaを比べた場合、よく閲覧される言葉であれば情報量にそこまで差がないが、レアな言葉になってくると、とたんに情報量の差が著しくなる。例えば、哲学や科学などで使われることがある「オッカムの剃刀」という言葉についてWikiを比較すると、その差は一目瞭然である。

>>Wikipedia 日本語版「オッカムの剃刀」
https://ja.wikipedia.org/…/%E3%82%AA%E3%83%83%E3%82%AB%E3%8…

>>Wikipedia 英語版「Occam's Razor」
https://en.wikipedia.org/wiki/Occam%27s_razor

検索データについても、やはり英語の情報量が圧倒的である。世界で最も使われているGoogle検索は、そのプロセスがそっくりそのまま言語処理のAIの学習データとなる。ちなみに、GoogleはiPhoneのブラウザ"Safari"のちっちゃな検索窓のデフォルト設定をGoogleにしてもらうために年間3000億円超(!)をAppleへ支払っているという。最近のパナソニックの営業利益が3500億円くらいというから、Googleの桁外れの資金力とデータ収集の熱意にはただただ驚くばかりだ。

>>GoogleがAppleに検索のため3年で3倍増の年間3000億円超えを支払っているのにウィンウィンの理由は?
http://gigazine.net/…/20170815-google-pay-apple-for-defaul…/

言語処理AIを着々と強化しているGoogleに対抗して、ライバルであるAmazonはMicrosoftと手を組んだ。今後の"Google" vs "Amazon=Microsoft 連合" の争いには目が離せない。

>>AmazonとMicrosoft、AlexaとCortanaの会話で合意―両社の人工知能アシスタントの互換性増大へ
https://jp.techcrunch.com/…/20170830amazon-and-microsoft-a…/

インターネット時代の4大メジャーの一角であり、アメリカの大統領選をも左右する(フェイクニュースで…だけど)巨大なソーシャルグラフを築き上げた facebook も、何かしら虎視眈々と狙っているに違いない。(今は動きづらいと思うけど)

いろいろ調べていくうちに、「技術の進歩で翻訳技術が実現し、外国語を学ぶ苦労から解放される」という淡い期待は軽く吹き飛んでしまった。これからは外国人とのコミュニケーションのために英語を学ぶというよりは、優秀な英語AIをいち早く使うため英語を話せる必要がある、というのが今の見立てです。がっかりする人も多そうだ(私もそのなかの一人)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?