移動中に読む本が尽きると死ぬ男 vs 恋の瞬間

ま・ず・い!

社会活動(部門歓迎会)に参加したせいで新人が同じ電車に乗ってきてしまった。何を話せばいいんだ。俺に読みかけの本を読ませろ。

「●●駅ですよね」

「あ、うん」

「いつも同じ車両に乗ってくるから覚えちゃいましたw」

「そ、そうなんだ」

「いつも本を二冊もってるんですか?」

「う」

「あっという間に本を取り換えてたからびっくりしちゃいましたw」

(見られてたのか)

「どんな本を読んでるんですか? 私も読ん

「読む? 全部持ち歩いてるよ!!」

俺は通勤カバン狭しと詰め込んだ文庫本を次々と取り出す。

「これは伝奇の、これはSFの、これは呪術、、」

気がつくと彼女の姿は見えず、俺の意識はブラックアウトしていった。



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