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『サメがいないゴルフ場!!鮫無カントリー倶楽部』

 「ファーーッ!!」

 9番ホール 550Y PAR5。アゲインスト気味の風が打球を隣接するA1番ホールまで運んで行った。

 「OBにしておきますか?」武装キャディ 松島たか子(44)はそう提案したと証言する。

 「Aコースは出るんですよ」
 「サメか?」
 「サメは出ませんけど……未知の人類とかは出ます」

 オナーである犬養滅次郎(50)は1番ウッドを松島に渡すと命じた。

 「8番アイアン、いや、18番ブレードを寄越せ」

 無数の血を吸ってきたであろう凄味を放つ分厚い刀身を引き抜き肩に担ぐと犬養氏はAコースへの連絡通路へ歩みだし言い放った。

 「人型なら問題なく殺せる!」

 意気揚々と打球落下地点へ近づく犬養氏、打球の周りにはグレーの粘液めいた痕跡が水蒸気を上げている。

「私が記憶にあるのはそこまでです」

 白球へアドレスし9番ホールへ向けてスライス気味にブレードを振りかぶる犬養氏。

 この時点で彼は気が付いていなかった。背後のキャディが扁平な頭部をもつ異星人にすり替わっていることを。そして、意外とその姿が似合っていることを。

「繝輔ぃ繝シ繝シ繝シ繝シ繝シ!!」

 A1番ホール 4天文単位 PAR5。アゲインスト気味の太陽風が打球を乗せて隣接する9番ホールを通過してE8番ホールへ到達した。

「縲?縲薫B縺ォ縺励※縺翫″縺セ縺吶°?溘?」

「構わん、そのまま打つ」

「?・繧ウ繝シ繧ケ縺ッ繧ィ繝ォ繝輔′蜃コ縺セ縺吶h縲」

 9番ホールを横断する姿を見送った犬養財閥の取引先(匿名希望)は証言する。

 「はい、突然のことでした。E8番ホールへの連絡通路へ近づいた途端に無音の矢がキャディへ突き刺さったんです。キャディは灰色に液状化して姿を消しました。犬養さんはまだ誰も斬っていません」

(森を荒らす"枝折り"め!!今日こそは許さんぞ!!)

(標準語で喋れや耳長ァ!!)

 鍔鳴りと共に疾風が吹いた。

【続く】

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