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イケイケ物語

どうも、生方。


高校生のとき、父親が電子辞書を買ってくれた。

学校で必要だったというのはあるが、前から欲しいと思っていた。
だって電子辞書ってカッコいいじゃん。


当時ガラケー最盛期、言葉の意味を調べるのも今みたいにパッとはできないし、そもそも高校の授業中に携帯で調べ物はできないしね。
授業中に携帯を使っていなかったと言えば嘘になるけど、それはまた別の話。

姉が持っていた電子辞書をお下がりで貰うものだと思っていたが、大学でも使うみたいなことを言ってたんだったか、新しく買ってもらえることになった。


ということで行きましたさ、近所のノジマ。
買ってもらいましたさ、CASIOのEX-Word。
ネイビーとホワイトのカラーリングのカッコいいやつ。

いくらしたんだろう。
スペックで考えると、おそらく今では考えられないくらい高かったろうな。
今の電子辞書事情は全く知らないけど。

余談だけど使っているうちに少しずつ塗装が剥げてきたのが気になっちゃって、自分でもシャーペン使ってちょっとずつ剥いだりしてた。
今思うと本当に罰当たりだな。買ってもらったことに対する感謝がない。



で、その電子辞書には読み上げ機能があって、英単語なんかはもちろん、日本語の言葉の正しいアクセントも音声で収録されていた。
今では当たり前なのかもしれないけど、当時はすごい機能だと感心したものだ。
まず電子辞書のくせにイヤホンを挿せるっていうことが凄いと思っていた。

結果的に大学の英文科に進んだ自分にとって、とにかく英単語の発音周りの勉強で役に立った。


で、単語だけじゃなくて文章の読み上げにも対応していた。
『羅生門』とか『徒然草』とか、いわゆる頻出の名作を読み上げてくれて非常に役立つのだが、そこにラインナップされていた『平家物語』だけなんというか少しだけ様子が違った。

まずタイトルを読み上げてから本文に入るのだが、読み上げられるタイトルがどう聞いても『へいけものがたり』ではなく『いけいけものがたり』なのだ。


おじさまの声ではっきりと「イケイケ物語」と言われるとどうしても笑ってしまう。
姉にこれを聞かせては共に面白がるという謎の時間を過ごした記憶がある。


この辺はまあ、当時の技術の限界だったのかな?
それとも今になって改めて聞いてみたらちゃんと『へいけものがたり』と聞こえるのかな。


今度実家に帰ったら電子辞書を探してみようと思う。


もしまだ電源が入って使い物になればの話だけど、イケイケ物語の真実を確かめたい。







『イケイケ☆物語!』

祇園精舎の~!鐘のこ~?

\Yeah!!/

諸行無常の響き~?

\アリ~!/

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