「海のはじまり」11話 わかりあえない夏

夏が海と一緒に暮らすことを目的に続いてきた物語は、目的を達成したことで崩れ落ちる。

幸せになると思っていた海は、自分の選択が周りを悲しませていることに気づき、そんな海にかける言葉が見つからない夏。

「責任」を感じる海を目の前に、夏をフラッシュバックが襲う。夏はかつて水希に「責任を感じなくていい」と干渉することを拒否されていた。

あの時に無理にでもついていけば。そうすれば、最初から海の父親として水希と家族3人で過ごした世界線があったかも知れない。その後悔を思うだけで胸が張り裂けそうだ。

水希が「いた」「いなくなった」と海も朱音も津野も感じているが、夏は「いる」「いない」としか感じられない。津野に言われても実感できない。

たとえば津野が海の父親になったとしたら、海と水希の思い出を語り合いながら、暮らしていくことができただろう。

だけど、夏はそれができない。水希との別れをまだ受け止めきれずにいる。最初から海のパパになれなかったのは水希がそれを選んだからと言えるわけもなく。

ここにきて、海と水希の物語に対して夏が外野になる。



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