「海のはじまり」第7話 津野くん回

すべてが受け入れられない津野くん


ついにやってきた津野くん回。水希や海ちゃんの前での優しい表情と、夏や弥生の前での苦虫を噛み潰したような顔の落差を何度もまのあたりにする。

津野くんに対して水希が恋愛感情はなくても、もう少し親密な感じのほうが救われるのでみていて苦しい。いくら津野くんが選んだ道とはいえ、水希に都合よく振り回されてきる状況は否めない。

だからこそ何も救われない津野くんのあの不機嫌な振る舞いが自然に見える。あの関係性、あの状況が許せない津野くん。

津野くんは世界が許せるのか

わかりやすい展開であれば、津野くんも夏と弥生が海ちゃんと家族になることを受け入れることがてきるのか。それは水希の人世を肯定することに繋がるのだから、いつか津野くんは分かってくれると思うし、それは津野くんが自分を受け入れることでもある。その場面がみたい。

みかんとヨーグルトという新たな選択肢

それでも、自分ですべて選びたい水希が「みかんヨーグルト」と決めたところに「みかん」と「ヨーグルト」を持ってきた津野くんのシーンは良かった。

選ばれなかった津野くんが新しい選択肢を持ってやってきて、それを水希が受け入れる。津野くんに笑いかける水希。

水希と津野くんのエピソードをもう少し欲しなと思いつつ、最後に自分に電話するように弥生に伝える伏線があったので、津野くんの役割もまだまだあるのだろう。

それは、外野からだからこそ見える、もうひとつの選択肢の提示かも知れない。

父親、母親、子どもであることを選ぶ

次回予告は夏の父親が登場するようだ。第8話は父親という存在と向き合う夏の回になるのだろう。第9話は母親としての弥生の回か。

第10回は子どもとしての海ちゃんかな。

無償の愛という幻想

家族だから愛し合うのは当然という規範を崩しながら、それぞれがひとりの人間としてお互いを思いやる。

母親の無償の愛を否定しながら、海を愛する水希と水希を愛する朱音。それは母親だからというイメージではなく、ひとりのリアルな人間だから。水希だから、海を愛する。朱音だから、水希を愛する。

肩書、役割、責任、それらはすでに内面化しているけれど、それだけで人は生きるのではない。

みんな幸せになって欲しい。津野くんも。わたしがこのなかの誰に近いかといえば津野くんだろうし。



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