地図を見ながら歩む人生
この小説を読むと決めたら先入観を持ちたくないから、どんな小説なのか予備知識なく読むのが好きだ。
そのほうが純粋に小説を楽しんでいる気持ちになる。
泣けるとか、感動するとか予測した感情をなぞるのではなく、小説から受け取ったものを直接感じたい。
こんなテーマがあるとか、こんな問題に深く切り込んでいるとか、そうしたことは誰かに言われずに自分でみつけたい。
今回の本も読むと決めたので、著者が詩人であること、名作と呼ばれているという帯の言葉だけチラッとみて読み始めた。
3日ほどで読破したが、失敗だった。
この本はあとがきを読んで、どんな著者がどういう状況で書いたかを知って読むべきだった。
たとえば誰かの日記を読んだとき、その人を実際に知っているかどうかで、日記から読み取れるものは変わってくる。
わたしには自分で辿り着く楽しみを求めすぎて、辿り着くことができなかった場所がいろいろある。
地図を手にするからこそ、奥深い場所まで辿り着くことができる。
そう思えば、わたしの人生は地図をみないで歩んできた。周到に準備することなく、行き当たりばったりの人生。
それは、楽しくはあるけれど、たどり着けなかった場所にいくつも気付かされて後悔することも多い。
本ならば再読することもできるけれど、あの時に戻れない。
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