ほとんど登場しない人物に感情移入する読書

今日はよく本を読んだ。「よく」というのは「たくさん」でもあり「良く」でもある。

タイトルは書かない。殺人事件の起きない探偵ものと、責任について書かれた新書。昨日はティーンエイジャー向けの翻訳小説を読んだ。

結婚して子供が生まれてから、好きだった小説が思うように楽しめなくなった。登場人物の家族が不幸な目に合うと自分の家族を思い浮かべて苦しくなる。死ぬなんて耐えられない。

けれど、小説ではたいてい誰かの不幸が描かれるし、誰かは間違いなく誰かの家族の一員でもある。 

今日読んだ本は問題なく楽しめたが、昨日の翻訳小説は苦しかった。

幼い頃に父親を病気で亡くした主人公が精神を病みながら生きていく物語だった。

当然ながら主人公に共感するのではなく、私が死んだあとに残される我が子を見守るような視点になる。

ロマンチストなボーイフレンドは主人公の支えになっているのか心を不安定にしているのか微妙なラインなので、しっかりしろと叱りたくなる。

親友は主人公との距離感が絶妙で喧嘩することもあるけど、心を閉ざしてしまう主人公を懸命に支えてくれる。娘にもこんな友人がいるだろうかと、名前しか知らない友人たちを思い浮かべる。

母親は夫を亡くして、ひとり娘を失いたくないという思いから過干渉なときがある。母親として思春期の娘とどう接するかは難しい。わたしもわからないから咎められない。

主人公の父親はほとんど登場しないが、わたしはその父親が天界から見守っているように感情移入して読んでしまったのだ。

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