「海のはじまり」第三話 元気じゃないけど大丈夫

ネタバレしてますので未見のかたはお気をつけて。

今回は夏くんと海ちゃんの心が通じ合う感動を描きつつ、二人の世界ができることで、外野が誕生してしまうことの苦しさに包まれた物語だった。

「海のはじまり」では「選択」が大きなテーマになっている。「選択肢から選ぶこと」と「選べない現実」がいくつも交錯する。

生むことを選ぶ水希。選べな勝った夏。堕ろすことを選んだ弥生。母親と一緒にいることを選べなかった夏。娘と一緒にいることを選べなかった水希。海と一緒にいることを選んだ夏。夏と一緒にいることを選んだ海。

そして、朱音と津野は何も選べなかった人物として登場している。

朱音は出産するとこを選んだが順調ではなく、不妊治療をして苦しんで生んだ娘を亡くした。

津野はこれから語られるのだろうけど、弥生に好意がありながら受け入れられなかったように見受けられる。

選べなかった二人は表情を奪われ、自分の人生を生きることなく外野から見ている。

これからどういう状況かわからないけど、この二人にも選択の機会があり内野に入ってきてもらいたいと切に願う。

そして「内野」と「外野」に引き裂かれている弥生が今一番つらい。予告編だけでもう胸が痛い。

この「内野」と「外野」の分断は、きっと「海のはじまりとおわりのなさ」という、もうひとつの大きなテーマとつながっているのだろう。内野と外野の分断などなく、すべてがひとつになっている海。

見ていて苦しくなることが多いけど、見続けていられるのは「海のはじまり」というタイトがこの物語に希望を照らしてくれているからだ。

いつも元気に振る舞っている海ちゃんに「泣いていい」と話した夏くん。そして、学校で鳩サブレの絵を描きながら先生に「今はママを思いだす時間。元気じゃないけど大丈夫」と言った海ちゃんのシーンはとても良かった。

あの場面を思い出すだけで、わたしも苦しい何かを乗り越えられそうな気がする。

元気じゃないけど、大丈夫。
そんな日々がよくある。





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