「役職なし」「評価なし」「人事なし」組織づくりの常識に挑戦する Ubie Discovery 組織が、カルチャーガイドを公開
医療AIスタートアップUbieは、専任の人事をおかず、メンバー全員でリファラル採用を実施。リファラルでの採用率は70%を超えています。2020年には、カルチャーが全く異なるUbie Discovery/Ubie Customer Science/Opsの3つの組織へと分化するなど、独自の組織設計を行ってきました。
ミッションの実現に向けて組織づくりの試行錯誤を重ねながら、人数も100人規模に到達しようとしています。人数は増えているものの、まだまだ目指しているミッションの実現には人が足りず、さらに採用を加速させていきたいと考えています。
今回、社内で実施している組織設計の核となる考え方と、それを担保するためにまとめた採用要件をカルチャーガイドという形でまとめました。社外にも伝わるよう一部をnoteで公開します。
3年で世界規模のオープンな医療プラットフォームをつくるための事業戦略を支える組織
Ubieの企業ミッションは「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」。そのために現在は、医療現場の業務効率化を図るAI問診サービス「AI問診ユビー」と、生活者の適切な受診行動をサポートする受診支援サービス「AI受診相談ユビー」を開発・提供しています。
これらのプロダクトにとどまらず、さらに積極的に事業を展開していき、医療の意思決定全体で価値提供する「医療版のGoogle」を目指していきたいと考えています。今回はカルチャーガイドの紹介が主な目的なので詳細はフル版に譲りますが、こうした企業ミッションと事業戦略のために、カルチャーも全く異なる3つの組織を立ち上げました。(下図はカルチャーガイドより抜粋)
企業文化が成長においていかに重要かは、スタートアップに関わる人であれば、もはや常識。Ubieは、事業成長を第一に考えたとき、別々のカルチャーであるべきものを、同じ組織内で形成することは中長期観点ではハイリスクと考え、組織を分化しました。その背景については、過去にnoteでも紹介しています。
現在、Ubieでは分化したそれぞれのチームにおいて、カルチャーを形成しています。今回、0→10フェーズの「開発」をミッションとしたUbie Discovery組織の文化を知ってもらう必要性を感じ、カルチャーガイドをつくりました。
未来のUbieメンバーへのメッセージとしての3つのバリュー
では、カルチャーの出発点となる、Ubie Discoveryが体現すべき3つのバリューはどのようなものか。私たちは、「Giant Leap」「Launch and Launch」「Stay Healthy」の3つで表現しています。(下図はカルチャーガイドより抜粋)
これらの3つのバリューを策定したのは、人数が30人ほどの頃。創業まもないころは、どのメンバーも呼吸をするようにできていたことを、組織が大きくなっても当たり前となるように、未来のメンバーへのメッセージとして言語化したもの。
また、それと同時に自分たちが向かうべきでない方向に行かないようにするための枷としての役割もありました。事業開発において、「小さくまとまってしまう」「ユーザーの方をむかなくなってしまう」といったことがおきないように。組織において、「不透明な社内政治が発生する」「事業性と社会性のバランスが崩れる」といったことが起きないように。
これらのバリューを徹底できるように、Ubieでは様々な組織設計に取り組んでいます。
これらは元々Ubieが重視してきたバリューであり、Ubie Discovery組織のカルチャーの根幹です。ちなみに、分化したUbie Customer Science組織のバリューは以下の4つになっています。
6つの人材要件へのマッチングがすべての採用活動の土台
スタートアップが急成長するために必要な人材に、優秀であることを求めるのは言わずもがなですが、優秀であれば誰でも良いわけではありません。
Ubieのバリューを体現でき、バリューを発揮できるよう設計された組織にフィットする人材は極めて稀少です。
こうしたバリューを採用レベルで実装するためにまとめたものが、Ubieの6つの人材要件である「Ubieness」です。(下図はカルチャーガイドより抜粋)
それぞれの人材要件の項目については、以前こちらのnoteでも紹介しています。「Ubiness」を設定する上での背景はこちらのnoteを見ていただけたら。
こうした「Ubieness」を持つメンバーが集まるからこそ、バリューが形骸化せず、体現したチームを目指すことができると私たちは考えています。「Ubieness」とバリューとの紐付けを図にしてみると、以下のようになります。(下図はカルチャーガイドより抜粋)
バリューを体現するための人材が、バリューを体現し続けるために、組織レベルと個人レベルで実装しているのが、それぞれ「組織設計における4本の柱」と「バリュー体現のための行動指針」です。
スタートアップ創業チームの集合体であるための組織設計の4本柱
まず、「組織設計における4本の柱」から紹介します。組織設計におけるコンセプトは「PMFを追求するスタートアップ創業チームの集合体」です。Ubie Discovery組織のポテンシャルを最大化するために、4本の柱で独自の組織設計を行っています。
OKRやスクラムなどはスタートアップであれば、決して珍しいものではありません。こうした組織設計のスキームは単体で効果を発揮するものではなく、ミッションや事業戦略、人材要件などと密接に関係します。
例えば、Ubieの事業戦略では、未踏のゴールをスピードを持って達成するために既存事業で蓄積したアセットでレバレッジをかけ、各事業の並行した開発・育成を行う「同時多拠点突破」を通じて、指数関数的に全体成果を最大化しようとしています。そのためには、Ubieに関わるメンバーは全員が事業経営者である必要があります。これらを実現するために、ホラクラシーやOKRといった柱は必要不可欠です。
不確実な環境の中でスピード感を持って事業を推進していくことを踏まえると、実験的に学びを得ることが最も重要であり、正確な評価指標を定めることは困難です。こうした事業特性上、スクラムや会社成長連動報酬などが柱になっています。
Ubieではこうした仕組みを実装し、バリューを体現する行動が取りやすい組織を設計しています。
会社のカルチャーを徹底的に言語化した指針たち
最後が、バリューの体現を個人レベルで実装するための「行動指針」です。バリューは抽象的な言葉であり、運用の課程で人によって解釈がぶれやすいものです。
そこで、Ubieでは解釈にブレがなくなるように、「マーケットとの向き合い方」「External の行動」「Internal の行動」「メンバーとのコミュニケーション」のそれぞれの観点で、【Do's and Don'ts】を具体的に示しています。
行動指針を具体化し、一人ひとりが体現することで、個人レベルでバリューが100%発揮されている状態を目指しています。例えば、Internalの指針で、採用に関係するこんなものがあります。
これは、Ubieの「Willのある仕事が一番アウトプット出るはず」「不得意なことややりたくないことを責任感のみでアウトプットを出すには限界がある」という考えのもと設定された指針です。この指針もあるため、Ubieでは全員が採用担当として活動をしています。
他にも、様々な指針がありますが、すべて紹介するとかなりのものになるため、ここでは一部ご紹介します。
マーケットとの向き合い方
Externalの行動
メンバーとのコミュニケーション
最強の「Ubieness」人材の獲得のために
Ubie Discovery組織のカルチャーは、バリュー、Ubieness、組織設計の4本柱、そして行動指針。それぞれの概念の関係を図にすると、以下のようになります。
これらを徹底することで、Ubie Discovery組織では、チーム間で不毛な縄張り争いや人材の取り合いは生まれず、全員が社会への価値最大化に向かっていることを心から信じられ、意見のコンフリクトを恐れずに一切の忖度や遠慮がない議論が可能になっています。
※カルチャーガイドの行動指針に対する社内での検討記録
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」
このミッションに向かって、事業をスケールさせるために、最強の「Ubieness」人材と出会い、共に未だ見ぬ世界へと到達する。そのために、カルチャーガイドを作成しました。
ただ、このカルチャーガイドに完成はありません。ソフトウェアのOSが常にアップデートされるように、組織のOSも常にアップデートされるべき対象です。
今回、カルチャーガイドにまとめた内容は、いずれも創業からこれまでの組織的な経験学習から導き出された、現時点での最適解にすぎません。目的と状況、今後の組織的な経験学習により、またアップデートしていきます。
Ubie カルチャーガイドのフルver.は、Notionにまとめているのでぜひ気になった方はこちらも見てもらえたらと思います。
-----ご案内-----
Ubie で働くことに興味がある方は、Ubie Discovery採用サイトに詳しい情報を掲載していますのでご覧ください。
【Ubie株式会社について】
「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに掲げ、医師とエンジニアが2017年5月に創業したヘルステックスタートアップです。AIをコア技術とし、医療現場の業務効率化を図る「AI問診ユビー」と、症状から適切な医療へと案内する「AI受診相談ユビー(https://ubie.app)/ US版(https://ubiehealth.com/)」を開発・提供。誰もが自分にあった医療にアクセスできる社会づくりを進めています。