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『分からない』を分かって貰えなかった人

梅子さんが支援学校時代、同じ公共機関に乗る先輩の男子生徒(軽度の知的障害)さんがいた。
彼は高等部から入学してきた人だった。
背の高い男性で、背の低い梅子さんからすれば見上げるくらいの身長差があった。
また、温厚な人柄は顔に現れていた。

学年が違うので梅子さんとは、自力通学の公共機関の中でしか接点がなかった。
その男子生徒さんが支援学校に入学してすぐの時、学校帰りのバスの降車の時、トラブルが起きた。

普段、支援学校の生徒さんは、定期券を持って通学していた。
梅子さんもそうだった。
しかし、男子生徒さんは、手続きが間に合わなかったのか定期券を持っていなくって、お金(210円)で支払おうとした。
しかし、千円札を運転手さんに出そうとしたので、運転手さんから「一旦、両替してください。」と言われて動けなくなった。

男子生徒さんは「えっ?えっ?」というばかり。
真後ろに梅子さんと私と一般男性が並んでいた。
梅子さんは待たされることに関しては、いつも寛容で気にも止めず、黙って待っていた。
私もあぁ、両替をしたことないんだなあ.......運転手さんが教えてくれるかな?と思って見ていた。

案の定、運転手から両替の場所を教えてもらい無事、両替が出来た。
私もホッとみていたら、次に運転手さんから「210円、ここに入れて」と言われた。
男子生徒さんは、カチカチに固まり「えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?えっ?」と言い出した。

私は、少し嫌な空気を感じたが黙って梅子さんと待った。
梅子さんと一緒にすり抜けようかとも思ったが、背の高い男子生徒さんなのでそれも難しかった。
すると私の後ろに並んでいた一般男性が大声を上げて怒鳴り出した。

一般男性「早く払えよ‼️😡前の人もずっと待ってるだろ‼️‼️‼️😡😡😡」

男子生徒さん「えっ?あの.......分かりません💦(小声)」

一般男性「はぁ?分からないって何?😡分からないの意味が分からない‼️みんな迷惑してんだよ‼️😡😡😡」

この時点で梅子さんの顔が蒼白になり強ばっていた。
そりゃそうだろ.......
いきなり見知らぬ男性が狭い車内で声を荒らげて至近距離から怒ってるんだから😔

とりあえず、「私は大丈夫です💦(^_^;お先に(バスから)出して貰いますね💦」と言いながら、梅子さんと間をすり抜けて出た。
梅子さんにこれ以上、自分が怒られているのでは❓と勘違いさせないように無意味な被弾をさけた。

ただ、心残りは男子生徒さんの力になれなかったことだ。
多分、運転手さんが取り持ってくれてると信じたい。😭
ごめんよ💦💦💦

ここからは推測.......
今回のことで、何が起こったのかと言えば、男子生徒さんは千円札1枚でしか支払いの経験をしてこなかったこと。
発達障害者のお金の教育では、あるあるのこと。

両替という言葉も両替の意味も分からない。
しかし、運転手さんに促されて両替は出来た。
男子生徒さんは、両替したから終わりだと思っていたかも。
でも支払いは終わっていないから運転手さんから「210円」請求された時、また、分からなくなった.......と思う。
(ちょうどのお金も支払えたかどうか怪しい)

その事が一般男性には分からず、わざとグズグズしているのではないか❓ふざけているのではないか❓と受け止められたのかと推察。

「分からない」が分かってもらえなかった例なのだ。😖

障害者理解と一口に言っても、本当に難しい.......
家族でも正直、四苦八苦している。
よほど勉強しないと梅子さんはじめ障害者理解にはたどり着けないと思った思い出。

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