普通ってなに?映画『さかなのこ』

9月1日の公開を楽しみにしていたので初日に行ってきた。
さかなクンの自伝的映画かと思っていたのだが案外違った印象を受けた。

「男か女かはどっちでもいい」とまずはじめに釘を刺される。
「さかなクンは男だけど主演ののんは女じゃん」とかどうでもいいこと言う人はまずこの映画観ない気がする。

あらすじ

お魚が大好きなミー坊。毎日お魚を食べ、お魚の絵を描く。
ミー坊は普通じゃないというお父さんとは対照的にお母さんはミー坊の好きを心から応援してくれる。
高校生になっても変わらずお魚一色の生活。
「大きな海に出なさい。」というお母さんの言葉を胸にミー坊は東京へ。
ミー坊の熱意は優しく広まっていき、周囲の人をやがて変えてゆく。

「好きこそものの上手なれ」とは言っても

どんな体験よりも先に情報が目に入ってしまうこの世の中で、
どれだけの人間が自分の「好き」に出会えるだろうか。
自分がなにを「好き」か分からない。という人は意外と多い。
自分の気持ちに素直になること。
そしてそれを自分で否定せず、勝手に見切りをつけないこと。
そのためにはミー坊のお母さんのような存在が大切であると思った。
学校で友達にバカにされても、お母さんは自分の好きを肯定してくれる。
大切に自分の「好き」を育てていける環境。

「好きに勝ること、無しでギョざいます!」

自分が「好き」と思えることを続けること。続けるということがまた難しい。
自分が「好き」と思えることは他人から見るとある程度カテゴライズできると思う。その分野で活躍している人など。
でも、自分が「好き」と思う気持ちは唯一無二なのだ。

自分の中にある「好き」という気持ちと、自分にしかないものを掛け合わせることができればその希少性はどんどん高まっていくのではないかと思う。

ミー坊も絵が得意で、お寿司屋さんの壁一面に魚の絵を描いたり、その可愛らしい人間性で周囲の人を笑顔にしたり。そういうことを経て今のさかなクンがあるのは間違いないだろう。
水族館やお寿司屋さんで上手く働けなくても夢中を貫けば、自分だけの武器を手に入れられるかもしれない。

2時間30分、スクリーンにはミー坊の笑顔が画面いっぱいに広がる。
とても可愛くて飽きることがない。
誰かの「好き」は世代も海も超えて広がっていく。


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