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ノビルは比較的探しやすく美味しくて同定もすごく簡単

最近暇すぎて野草採りを始めました。

元々は冬にも生えているだろうスズシロやカラシナ,ナズナ系のアブラナ科の植物を狙って近くの河原に行ってみたんですが,文字通りぺんぺん草(和名ナズナの異名です。正確にはたぶんそれらしい草は生えているんですが,冬場はロゼット状で葉の形が一様ではないのでかなり自信がないのでスルーしました。)すら生えていないので,やる気をなくしている中,ふと目を目線を落とすとノビルが生えていて,ノビルなら同定に自信があるし,そもそもノビルしか見当たらないし…でここのところずっとノビルを採っています。


ノビルの同定

ノビルはヒガンバナ科ネギ属の多年草です。
したがってノビルもヒガンバナ科の線状で光沢のある葉の形状をしています。これは同じヒガンバナ科でよく誤食されているスイセンの特徴でもありますが,ギョウジャニンニクとスイセンは似てなくもないけど,ノビルとスイセンは間違えないだろうという気がします。

これがノビルです
これがノビルです。
これはスイセンです。近くに開花したものもありましたので,花弁の形状を見るにたぶんニホンスイセンと思われます。

同定の方法としては

  1. まずは臭覚に頼ってみてください。
    ノビルはニラやネギのような強烈な臭いがありますが,スイセンにはありません。
    適当な葉をちぎって,臭いを嗅いでみたらすぐにわかります。

  2. 次に視覚的な特徴としては,スイセンの葉は平べったいのに対し,ノビルの葉の断面は三角形のような形をしています。
    茎もノビルには長ネギのような筋があるのに対し,スイセンにはそれがありません。
    全体的にスイセンは太くより直線的で,ノビルは細くしなやかな姿をしています。

  3. 第三に触覚的な特徴としては,ノビルはスイセンほど葉がツルツルしていません。

と,ここまで同定のための特徴を書きましたが,スイセンの誤食は例年報告が絶えませんし,死亡例もありますので油断はしないようにしてください。
ノビルが生えるような環境にはスイセンも生えていることが多いので,まずはスイセンの花を探してみて,スイセンとノビルを比較してみるとよりわかりやすいかと思います。


採取の仕方

採取する時は群落(密集して生えているエリア)を見つけて,鱗茎を傷つけないように周りの土を掘り返し,土を落とすように選別するのが一番早いと思います。

白い塊は鱗茎ではありません…上に生えていた謎の実か,小さいカタツムリの空殻でしょうね…


大きな群落に生えたノビルは一本一本の個体が小さいのに対し,小さな群落は個体が大きい傾向にあると思います。茎や葉が太くても,鱗茎は小さいことが多いので,採取効率を意識してみてください。
小さすぎる個体はあまり食いでがないですし,次に採取することも考える土に戻しておくと良いと思います。

ノビルは人の手が加わっている土地(農業地ほどではないが,放置された土地ではないくらいの意味合いで)が好みで,河川敷によく生えています。
基本的に河川敷の植物は,地形を変えない限り,竹や葦以外は採取が認められますが,土を掘り返してそのままにしていると地形を変えたと言われかねないので,掘り返した土はきちんと埋め立てておきましょう。

また近くに水辺や水道がある場合は,泥をある程度落としてから持ち帰ると下処理が楽になります。


調理法

ノビルは生でも食べることができます。
とはいえ野生環境で育ったものなので,環境と相談して,食べる際はよく洗った上で,自己責任で…
生ニンニクのような鮮烈な辛味とニラとネギの突き抜けるような香りが特徴的です。これらは加熱によりある程度失われるので,ニンニクやネギの辛味が好きな方は生のまま味噌をつけて食べると良いと思われます。

下処理としては付いている泥を落とし,黄色く変色した部分や外の皮を剥がします。

before
after

ここからは私の好みですが,冬のノビルって春先のものに比べてどうしても細く鱗茎も小さいものが多いので,一本一本食べるとなるとどうしても小さい気がするんですよね…
そこで参考にしたのが熊本の郷土料理の一文字ぐるぐるです。
一文字ぐるぐるとはヒトモジグザ(ワケギ)を湯通しし,根本の茎に茎全体を巻き付ける調理法です。
湯通しした2〜5本まとめてぐるぐるにすることで食感も良くなり,味もよりわかりやすくなると思います。

ノビルのぐるぐる

また,数本を束にすることにより,酢味噌を絡ませぬたのようにして食べる時に,より絡みやすくなるのでおすすめです。(数本一気に食べることになるのでその分すぐになくなってしまうという短所は大きいですが…)

また天ぷらも美味しくいただく調理法の一つです。
私は個人的に野草を天ぷらにするのはあまり好きではないのですがノビルは天ぷらにしても負けない香りの良さがありますので,これもぐるぐるに衣を絡ませ,高温でサッと揚げるのが良いと思います。

ノビルの天ぷら。天つゆより塩が良いと思われます。

試しに湯通しせず生のまま揚げてみたのですが,湯通しの際に失われる風味もそこまで多くはないので,生で食べる分以外は全て湯通ししてしまうのが良いと思います。
湯通しの際は鱗茎から火を通し,葉にさっと熱を通したら引き上げ,冷水で締めてください。野菜全般そうですが,冷水に浸けることで色止めの効果もありますので,これをしないと青々しい緑色がくすんだ黒色に変色してしまいます。


まとめ

これまで家に篭ってばかり居ましたが,外に出て草を摘みそれを食べる経験をすると,外に出ることが楽しくなりました。
これから春に向けて,植物たちも芽吹いてくるので,また食べられそうな野草を探しながら近所を散策ができたらなと外出に前向きになっています。
また,私はすぐに食べなくなるので,採ってきてすぐに調理して料理に加工していますが,味噌漬けのような数日置いておくような調理法も試してみたいと思います。
ノビルの美味しい食べ方を知っている人がいたら,教えていただけたら幸いです。

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