友人に要求仕様書という名のプロットをもらい、二次創作小説を書いて納品した話

この間、「友人からプロットをもらって小説を書く」という遊びをやりました。とても楽しかった! その記録です。

概要

1. 友人が書いた二次創作小説から、私に渡すためのプロットを作ってもらう(全文のプロットをもらうと同じ話ができてしまうので、部分的なプロット
2. いただいたプロットから、話を考えて、小説を書く
3. 友人に小説を送る
4. 友人から感想マシュマロをもらう
5. 友人が書いた本来の小説を読ませてもらい、感想戦をする
6. 互いにハッピー!

※なお、本記事は、友人に許可を得て掲載しております。


プロットをもらって書く遊びのいいところ

・自分一人では思いつかない話が書ける
・書き終えた後、友人が書いたものを読んで、「こんな展開か……!」と感激する
・物書きとしての互いの良さを改めて感じ合う
「確実に一人が読んでくれて、感想をくれる」と信じて小説を書ける


先にだいたい言い尽くしてしまいました。以下はゆるゆると詳細を。

1. 幻覚具現化の発注

私:ゆあれ「人にプロットを渡して小説を書いてもらうのって、幻覚具現化の外注じゃない?」
友人:香原氏「楽しそう、やりたい」
私「やろう?」
香原氏「やろうやろう!」

などと言っていたら、翌日、香原氏から発注書と要求仕様書が届いた。仕事が早い。しかも本気すぎる書式だ。何だこの熱意は。嫌いじゃない。


発注書(本人の許可を得て掲載)

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読んだ時の感想:
マシュマロくれるの!? 嬉しい!! やる! がんばる!!


要求仕様書(全5枚・本人の許可を得て掲載)

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読んだ時の印象:
・どうしたらこんなに「それっぽい」文書ができるんだ、さすがやな……
顧客満足度、上げるぞ!!
・このプロット、「状況」が設定されていて、その理由を考えるやつ……?
国語の問題みたいだな??
・「文章であることを要求」されたこと人生で一度もないな……(面白い)


2. 受注

やるやる! と思ったので、私から請書を出しました。


発注請書

20210202_発注請書_page-0001

私も本気を出しました。会社名など作るの楽しかったです。(スイカについてはこちらの記事など:愛に振り回されるな、愛を(やさしく)振り回せ──一人でスイカを割る二次創作小説書きの虚空ダンス


3. 書く

そんで、書きました!
いただいたプロット内に謎が二つあって、どうしたものかと悩みながら。

・なぜ互いの目の色の箸を使っているのか
・なぜそれは内緒のことになっているのか

あと、主要キャラクターふたりは「親友」と指定されていて、

親友ってどんな感じよ?

とも思いながら……。恋人じゃなくて親友……、親友……?

依頼をいただいて書いているので、香原氏のことを考えながら書きました。
香原氏が小説中でやりそうなことを入れようとしたりとか。


4. 質疑応答

書いているうちに、要求仕様書でわからない点が出てきて、質問しました。


送った質問

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ご回答

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丁寧にご回答をいただいてありがたい。が、余計に謎が深まってしまった……。

なんで素材が違うんだろう……? わからないが、わからないなりに書く。


5. 納品

小説がめでたく書き上がったので、納品書と一緒に納品しました。

ご依頼を受けてから納品までに、3ヶ月半が経っていました。総文字数は8,696文字でした(ふたりの極の刀帳番号に合わせたんですよ!)。
小説はnotesにパスワード付きで公開して、パスワードをお伝えしました。


文字数(notesによるカウント)

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納品書はこんな感じ。

納品書

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納品書に「支払いはマシュマロで」って書いたの、生まれて初めてだわ……。
マシュマロについて「翌月末まで」って期限を切ったのも初めて……。慇懃な強盗だな……。


6. タネ明かしと感想戦

ドキドキしながら納品したら、ちゃんとマシュマロが来ました! すごい! 嬉しい!!

それからテキストのやり取りに移行して、あのシーンがよかったとか、実は箸の話はこうでとか、怒涛のようにやり取りいたしました。やはり意図的に伏せられていた情報があった……! とか、いろいろなことがわかって楽しい時間です。

そして、香原氏が書いた、もともとの小説を読ませてもらったのでした。
これがまた面白い体験でした……。「あ~、こういうこと……!」となったり、「やっぱり喧嘩してた! けど、私の書いたやつの比ではなかった、さすがだ……」「やはり愛と死と激情が上手だなあ……とっても味がするわ……」となったり。

あ、そういえば、マシュマロの領収書出してない! まあいっか。


7. 我々の小説それぞれ

と、いうわけで、我々が書いた小説はこちら。


香原氏が書いた、もともとの小説:

激情がうまいんですよね、本当に……。


私が、いただいたプロットから書いた小説:

※文字数はnotesとカウントが違っております。

『嫌いになることにした』とか、殴り合いの喧嘩とか、私がめったに書かない要素を入れてみたのでした! しかし、実際に香原氏の書いた作品に似ているかどうかは、読んでお確かめください。笑


8. 幻覚具現化の外注は楽しい

すごく楽しかったので、おすすめです。幻覚具現化の外注(人のプロットで小説を書く)。ぜひぜひ。

よかったことについては、最初に箇条書きにしましたが、再度。

・自分一人では思いつかない話が書ける
 これは本当にそうなんですよ!! 私一人だったら、このふたりに喧嘩はさせなかったであろう……。監査官コンビを書くこともなかったであろう……。

・書き終えた後、友人が書いたものを読んで、「こんな展開があるのか……!」と感激する
 自分が書き終えた後に、タネ明かしをされるのが、本当に楽しいです。今回は「理由を考える」タイプの作業だったので、特に。他の物書きの思考をこんなに詳細に覗くことってないですね……。

・物書きとしての互いの良さを改めて感じ合う
 互いの書いたものを読むと、同じプロットからできていても、違う話ができるわけです。また、話の筋書きだけではなくて、文体や、何に着目して描写をするかとかも、個性が出ます。大変面白い! あなたの文章のこういうところがすごい、好き、というのを言い合えるのがとてもいい感じです。

「確実に一人が読んでくれて、感想をくれる」と信じて小説を書ける
 これ!! これですよ! 不思議なことに、とても力をもらえるんですよね、これ……。それと、「確実に一人が読んでくれる」と思って書くと、その相手に似た感じの文章が書かれる気がします。当社比、ですけれどね。


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