言葉で人を傷つけない為に自分の中に持っていたいもの

言葉が怖いと思ったことはありますか？
言葉で傷ついたことはありますか？
言葉で救われたことはありますか？

僕は、つい最近、自分の作る作品も人柄も生き方も全てを否定するような、そんな言葉がとんできて、まぁまぁ傷ついて落ち込みました（笑）言い返したら負の連鎖が始まるのでぐっと堪えたけど。

「言葉は凶器」と言われることもありますが、僕は仕事柄、実際に言葉で傷ついた人とたくさん出会ってきました。

その中で、言葉の力と重さを教えてくれた一人の大工さんがいます。

その大工さんは、小学校の時に担任の先生から言われた一言で深く傷ついたそうです。約50年間、その言葉が悪夢として蘇り、何度も何度も苦しめてきたそうです。50年もですよ。

そんなに長い間大工さんを苦しめてきた言葉ってどんな言葉なんだろう。大工さんにたずねてみました。

「あんたは勉強できん子やから、授業受けんでいいよ」。今の時代では考えられないけど、担任の先生にそんな言葉を言われたそうです。

そのたった一言の「言葉」が少年を傷つけ50年間も苦しめました。
でも、ある日、少年は「言葉」に救われます。

「あんたは運動神経がいいねぇ。」他の先生からもらったこのたった一言に。

初めて先生が自分のことを認めてくれた。その一言があったから生きてこれた。大工さんとして45年間働いてこれたのもその一言があったから。涙を浮かべながらそう言っていました。

心に一生の傷を残す言葉があれば
心の一生の支えになる言葉もある。

大工さんの人生がそんなことを教えてくれた気がします。

人と関わりあって生きていくのなら、これは忘れちゃいけない。言葉のもつ力と責任を自覚しないといけない。そんな気持ちを込めて「フィルター」という作品を書きました。

もしも、脳で作られた言葉が口を出ていくまでの間にこんな言葉のフィルターが何層もあったとしたら、言葉で傷つく人が減るんじゃないかなと思います。そして、言葉で救われる人が増えるんじゃないかなと。

そんなことを結構本気で思っています。

自分自身、まだまだ人を傷つけてしまうこともある未熟者だけれど、なるべく言葉では傷つけてしまわないように言葉のフィルターを自分の中に持っていたいなと思っています。