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歌声の正体を知っていますか? 歌声の種類について

今回は歌声についてお話をしていこうと思います。
まずは、呼吸の種類を2つ。
そして歌に使われる声の種類を5つ、番外編として3つ。
小難しい用語を使った解説や習得のイロハなどはまたの機会に、今回は分かりやすく紹介、解説します!

胸式呼吸

胸式呼吸とは、簡単に言うと息を吸った時に肩が上がる呼吸法です。
肺の周りの筋肉を用い、肋骨を広げるイメージで息を吸います。
話す時になりやすく、特に日本語は胸式呼吸を使って発音します。
・特徴 声の響きが少なく、声量に限らず通らない声になります。
人間の声というのは、発声の時に息が声帯に触れて起こる振動によって形成され
その息の量や圧によって変化します。

胸式呼吸だと吸える空気の量が少なく、息が漏れやすいため不安定な声(音)になったり持続力に欠けます。
・メリット 浅い呼吸になるが素早く息を吸えるため瞬発力がある。表現の幅が広がる。
・デメリット 響きにくい声になる。息のコントロールが難しく、不安定。持続力に欠けるためロングトーンなどに不向き。胸や肺周りの筋肉を使うため上半身に力みが生じて喉に負担がかかる。

腹式呼吸

腹式呼吸とは、簡単に言うと息を吸った時に下腹部やお腹周りが膨らむ呼吸法です。
お腹周りの筋肉を用い、胸の下辺りにある横隔膜を下げることで肺を下に引っ張り空気の内容量を増やすことができます。
また、肩が上がらず下腹部やお腹周りが張るイメージで息を吸います。
英語や韓国語、中国語などは腹式呼吸を使って発音するため海外からの旅行客の声は通りやすく耳によく入ってきます(経験ありますか・・・?)
・特徴 声がよく響き、通る声になる。胸式呼吸に比べ、大きな声が出しやすくなる。肺活量が増える。

腹式呼吸は大きく力強い息を吐くことに長けているため小さな声の改善にも役立ちます。
また、息を吐く時に下腹部の丹田(たんでん)と呼ばれる場所に力が入っていたら上手にできています。
(丹田はおへそから指2本分下辺りの場所にあります)
・メリット 深い息を吸える。空気の吸える量が格段に増える。息のコントロールがしやすくなり、安定した声を出せる。息の量やコントロールの調整によりロングトーンに向いている。下腹部やお腹周りに力を入れるため上半身に無駄な力が入りにくく、喉に負担がかからない。
・デメリット 特にありません。
歌に関して言えば腹式呼吸を使えることは得しかないのです。

しかし、胸式呼吸がダメ、腹式呼吸だけをしろというのは理にかなっていません。
プロの歌手でも胸式呼吸をしている歌手はいますし、あくまで表現の幅を広げるという目的に則って取り入れるべきです。

声の種類5選

それでは歌声の秘密を紐解こうと思います。

1 チェストボイス

・地声
・話し声なども含まれる
・実声とも呼ばれる

歌を歌うときに最も多く使われる声です。地声、または実声とも呼ばれます。
実声とは裏声ではない声を指し、地声とほぼ同義です。
そのため、特別な技術を必要とせず誰でも発声することができます。
たまに「話し声と歌声が同じだ」と言われるという方がいますが、そういう方は話す(喋る)ように発声しているため同じ響きになります。
・改善点として
呼吸法を変えることで明確に響きを変えることができます。
腹式呼吸でお腹から声を出してみると違いを感じて貰えると思います。
また、声というのは人体の音の共鳴に大きく起因するため、音を鳴らす場所を変えることでも響きを変えることができます。


2 ミドルボイス・ミックスボイス

ミドルボイス、またの名をミックスボイスと言います。
何故2つ名があるかというと、この声には特別な定義が存在しません。
低音から高音にかけて実際に声を発しながら音階を上げて頂くと声が出なくなり裏声(ファルセット)に切り替わる高さがあります。これを喚声点と言います。
喚声点をなくし滑らかに音階の移動を可能にする技術がミドルボイス・ミックスボイスになります。

チェストボイスからファルセットの間という解釈だと中間という意味でミドルボイスと表現されます。
また、チェストボイスにファルセットを混ぜた声という解釈だとミックスボイスと表現されます。
この2つの解釈はどちらも正しく、ボイトレの先生の間でも意見が分かれるため
個々人によって表現が異なります。
どちらも考え方次第であるため好みで使い分けられます。

そして、ミックスボイスと呼ばれる理由はもう1つあります。
声の成分の話になるのですが、地声成分と裏声成分を混ぜることで成り立つからです。
ミックスボイスには地声ミックスと裏声ミックスの2種類があります。

上記の図を見て頂いたら分かる通り、斜線のどこに位置するかでミックスボイスの成分は異なります。
左下の地声100%から右上の裏声100%までの間にどちらの成分を多く持っていくのか。
これがミックスボイスを扱う上で重要になってきます。

あなたは地声ミックスですか?裏声ミックスですか?
あなたの好きな歌手がミックスボイスを扱う場合、どちらのミックスボイスですか?
人によって得意は異なり、歌に活かすとなると響きなども考慮しなくてはなりません。
好きな歌手のように歌いたくても思い通りにいかない理由の一端はこの違いかもしれません。

3 ファルセット

次はファルセット(裏声)です。
ファルセットは文字通り‘’裏返った声‘’を指します。
大きな声を張り上げた時にうわずったり裏返ったりする瞬間の声。
また、あくびをする時など、スポーツの観戦時にhu-と発した声などが該当します。
・弱々しい声
・主に高音に使われます
ファルセットは喉に力みがあると綺麗に音が鳴りません。
また、特にウ段音やオ段音が発声しやすいと言われています。

4 ヘッドボイス

ヘッドボイスとは、簡単に言うとファルセットの進化系です。
ファルセットが弱々しい裏声であるのに対し、ヘッドボイスは力強い裏声になります。

ヘッドボイスはファルセットの1種であるため基本的な発声法はファルセットと同じです。
しかし、ファルセットの高さより高い音の発声時に長けているため使い分けが必須となります。


5 ウィスパーボイス

ウィスパーとは囁くという意味であり、正に囁くような声を指します。
また、チェストボイスのような実声を弱々しくした声になります。
息を多く含んだ小声という解釈で問題ありません。
友達と耳打ちをする時の内緒話などをする時の声がこれに当たります。

まとめ

以上が主に歌に使われる声になります。
日本の音楽シーンでは特に、ロックバンドのシャウトやデスボイスなどを除いてこの5つで構成されています。
次は番外編として3つ紹介します。


番外編


1 エッジボイス

エッジボイスとは濁点をつけたような声です。
「あ‘’ぁ‘’」などの表記になります。
代表例として、平井堅さんがよく使われています。
ダミ声と言われることもありますが、厳密に言えば少し違います。

エッジボイスが主に母音につき1音であり、プツプツと切れる音になるのに対し、ダミ声は言葉全体に用い、ガラガラとした不快感のある音になります。
また、エッジボイスは喉に負担がかからず声帯を閉じながら脱力して発声するのに対し、ダミ声は濁った声を指し、喉に負担がかかる発声となります。
ちなみに、がなり声などはダミ声に分類され、咳をするように発声します。

つまり、エッジボイスとは、あくまで声帯を閉じて喉を脱力した上で発声します。
そのため、力みが入っている時点でそれとは異なります。


2 ベルティングボイス

ベルティングボイスとは大きな声で張り上げるという意味のベルトから来ており、チェストボイスの音域から少し高い中音域を大きな声で無理やり出すような発声法を指します。
一概には言えませんが、地声ミックスがこれに分類されることがあります。
しかし、地声ミックスを綺麗に鳴らす人の響きとかなり異なるため、正直全くのデタラメであると考えます。
高い音域を無理やり声を張り上げて出していたらそれはベルティングボイスであると言っていいでしょう。


3 ホイッスルボイス

ホイッスルとは笛の意味であり、笛のようにピーとなる発声法です。
また、超ハイトーンボイスとも言われており人体が出す音の中で最も高い音になります。
声帯を閉鎖し、息を吸いながら発声します。
ホイッスルボイスはできる人はとても簡単にできます(歌に活かすレベルではない場合)。
しかし、できない人はコツを掴むまで本当に苦労します。
もし、後者だった場合は独学でやるのは絶対にやめましょう。
いわゆる諸刃の剣のようなものであり、高確率で喉を痛め、喉に傷がつきます。

まとめ

番外編がなぜ番外編なのか、エッジボイスは歌に活かすというよりは声帯閉鎖の感覚を掴むための練習法としての意味合いが強いからです。
また、ベルティングボイスやホイッスルボイスは喉を痛めやすく、声枯れの原因へと発展するからです。
独学でやる場合は今の自分にできること、できないことを明確に線引きし、段階的に練習することが必要となります。
興味本位で実践することは現状を知る上で大切ですが自分の喉と相談して慎重に行いましょう。

声帯は筋肉です。使わないとみるみる劣ります。
使っていくと発達し自ずとできることや感覚など掴めるものがあります。
筋トレでオーバーワークは怪我に直結します。
筋トレと思って地道に励むことを約束してください。

最後まで読んで頂きありがとうございます。
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今回は歌声の種類とその紹介をメインに書きました。
想像以上の文量にはなりましたが、これを読むだけでかなりの知識を身につけることができると思います。

ボイストレーナーとは、しっかりとした資格を必要としません。
ネガティブキャンペーンをしたい訳ではありませんが、実績なくして研修を受けるだけでなれることもあります。
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人間の臓器や筋肉というのは体質と同じで人によって違います。
自分に合ったやり方を、自分に合った情報筋を、見つけてください。
僕はあなたに寄り添います。

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