魚住すくも【小説未満?】

本が好きです。主にツイッターに生息中。

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記事一覧

5

 その日も少女は佇んでいた。  誰も口をきかない。  少女も話すことなどない。  唯一の例外が、あの青年だった。彼だけが頼りだった。  でも、いつからか彼…

4

「……ぇ、ねぇってば!」  クミの声に、ナオトは我に返った。同時に周りの音が耳に入ってくる。 「あ、悪りぃ、悪りぃ。ぼうっとしてた」そう言って、ナオトは氷が溶けて…

3

 昼に降った豪雨が嘘のようだ。 (なんか、すんげぇムカつく夕焼けだな)  空を見上げてナオトはため息をついた。  昼に外出する時に運悪く、豪雨に当たってしまったの…

2

 橋を渡ろうとした時、ふとナオトは傍らにいた恋人から視線を外した。 「……ナオト?」怪訝そうな顔で、恋人のクミが尋ねる。 「いや、何か視線を感じたような気がして……

1

 少女は闇の中にいた。なにも見えない、ここがどこなのかもわからない。どうしてここにいるのかすらわからなかった。ただ、帰るところはないのだ、と少女は気づいていた。…

文フリ京都、終わったなぁ。

ほっぺたが熱い。副作用第一号か?

届いた。

製本してもらっていた文学フリマ用の本、届いた。 嬉しい。 #文学フリマ

庭の扉

 もうすぐ帰るよ、お母さんの声が聞こえてくる。わたしはそれを聞かなかったふりをして、一点を見つめていた。  あの入り口の向こうには何があるんだろう。  誘われる…

身体が痛い。関節がギシギシいっている。

観覧車

先週、エキスポシティの観覧車に乗ってきた。彼と二人で。 土曜日だったので、さぞかし混んでいるだろうと覚悟してたら、なんとどっこい。 待ち時間なしで入れた。ラッキ…

自分がもうすぐ死ぬという夢を見た。母親宛に遺書を書く。やけにリアル。

戦い

まさしくこれは戦いだ。 わたしは、抗がん剤・イリノテカンの副作用と戦っている。 3クール目の今回は厳しい戦いになった。投与後からお腹の張りがひどく、吐き気もして…

とうとう、脱毛が始まったっぽい。 #がん闘病

+11

とある しょうじょ の こくはく

あまぶんで買った七歩さんの『最果て食堂』読んだ。メルヘン的だけど内容は重い。また、ちゃんと感想を書かなくちゃ。 #読書感想文

5

 その日も少女は佇んでいた。

 誰も口をきかない。
 少女も話すことなどない。

 唯一の例外が、あの青年だった。彼だけが頼りだった。

 でも、いつからか彼が来なくなってしまった。

 ――寂しい。
 少女は自分に言い聞かせる。

 ――寂しいね。
 こだまのように少女の耳に、言葉が響く。

  *** *** ***  

 ナオトは本日何回目かの溜め息をついた。

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4

「……ぇ、ねぇってば!」
 クミの声に、ナオトは我に返った。同時に周りの音が耳に入ってくる。
「あ、悪りぃ、悪りぃ。ぼうっとしてた」そう言って、ナオトは氷が溶けて薄くなったアイスコーヒーを飲んだ。
 しばらくすると、またすぐに物思いにふけってしまう。

 ここのところ、仕事帰りに橋にいる少女にあっている。
 二十分か三十分くらい話してから帰るのだけど、まったくもって彼女が記憶を取り戻す気配がな

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3

 昼に降った豪雨が嘘のようだ。
(なんか、すんげぇムカつく夕焼けだな)
 空を見上げてナオトはため息をついた。
 昼に外出する時に運悪く、豪雨に当たってしまったのだ。近くに雨宿りする場所もなく、10分ぐらい雨の中を歩くハメになった。
 積乱雲の雲間から、濃い金色の光が漏れている。
 雲間から覗く東の空は藍色になっていた。もうすぐ、街の方まで藍色に染まっていくのだろう。
 視線の先に橋が見えてきた。

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2

 橋を渡ろうとした時、ふとナオトは傍らにいた恋人から視線を外した。
「……ナオト?」怪訝そうな顔で、恋人のクミが尋ねる。
「いや、何か視線を感じたような気がして……」
「ええ〜?」
 ぐるりと周囲を見渡すが、こちらを見ている人間など誰もいない。
「気のせいじゃないの?」クミはそう言うが、ナオトの表情は曇ったままだ。

 ナオトにはよく、変な気配を感じることがあった。いわゆる霊感というヤツかもし

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1

 少女は闇の中にいた。なにも見えない、ここがどこなのかもわからない。どうしてここにいるのかすらわからなかった。ただ、帰るところはないのだ、と少女は気づいていた。
 それでも、それなりに彼女は幸せだった。

 ある時、少女の前に少年が現れた。少年に声をかけたが、気づかずに通り過ぎていく。
 気づいてほしくてほしくて肩に手を伸ばしたが、少年は霧のように消えてしまった。少女はうずくまり、涙を流した。

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文フリ京都、終わったなぁ。

ほっぺたが熱い。副作用第一号か?

届いた。

製本してもらっていた文学フリマ用の本、届いた。

嬉しい。
#文学フリマ

庭の扉

 もうすぐ帰るよ、お母さんの声が聞こえてくる。わたしはそれを聞かなかったふりをして、一点を見つめていた。

 あの入り口の向こうには何があるんだろう。
 誘われるようにして、わたしはふらふらとそちらの方に進んだ。

 向こうには、花の咲き乱れた庭がどこまでも続いていて――

 それ以来、わたしはこの場所にいる。帰る家もとっくになくなってしまったらしい。

 どうやら気づかぬうちに何十年単位で時が過

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身体が痛い。関節がギシギシいっている。

観覧車

観覧車

先週、エキスポシティの観覧車に乗ってきた。彼と二人で。

土曜日だったので、さぞかし混んでいるだろうと覚悟してたら、なんとどっこい。

待ち時間なしで入れた。ラッキー。

高いところ好きの彼。観覧車に乗った瞬間テンションMAX。

バランス崩れるの怖いから、こっち来ないでね。お願いだから。

下はこうなってます。
高所恐怖症の人、ご注意下さい〜。

この観覧車、シースルーなのと日本一の高さが売りな

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自分がもうすぐ死ぬという夢を見た。母親宛に遺書を書く。やけにリアル。

戦い

まさしくこれは戦いだ。

わたしは、抗がん剤・イリノテカンの副作用と戦っている。

3クール目の今回は厳しい戦いになった。投与後からお腹の張りがひどく、吐き気もしてきて、何も食べられなかった。

ようやく、吐き気がおちついたと思ったらお腹を下した。

イリノテカンは特に下痢がひどいと言われる抗がん剤だ。早発性下痢と遅発性下痢と毛色の違う下痢が、ある。

これって、どっち?

もう、3日は経ってるか

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あまぶんで買った七歩さんの『最果て食堂』読んだ。メルヘン的だけど内容は重い。また、ちゃんと感想を書かなくちゃ。 #読書感想文